遊佐「最後にほら、飴やるよ」
杏「別に……」
といいながらももらったということはやはり気にしていたようだ。
そんな女の子らしい当たり前の考えも持ってるんだよな。
遊佐「んじゃ、飯を食い終わったら、あいつを飼ってくれるやつを探さないとな」
杏「そうね」
ましろ「遊佐君」
遊佐「よ、ましろ。今から杏と朝の話の飼い主探しにいくんだけどさ」
ましろ「それでね、友達に聞いたんだけどこのクラスのね晶子ちゃんがね、いっぱい動物を飼ってるらしいの。だから相談してみたらどうかなーって」
遊佐「ほう、なるほど。相談してみるか。サンキューな、ましろ」
ましろ「うん」
遊佐「で、その晶子って……誰だ?」
ましろ「……一年も同じクラスにいて知らないの? ひどいね」
遊佐「いや、さすがに下の名前じゃわからんだろ……」
ましろ「神契さんだよ」
遊佐「あー、そんな人もいたな。授業中で当たるときに名前聞くくらいだ。話したこともないな。よし、んじゃ杏話にいくか」
杏「私も?」
遊佐「お前が行かなくてどうする」
杏「話すのは苦手……」
遊佐「だろうな……。んじゃ俺が喋ってやるからとりあえず一緒に居ろ」
杏「……」
釈然としないのだが……。
遊佐「あのー、神契さん?」
神契「ひゃ、ひゃい!」
めっちゃびびってる……。
遊佐「いや、そんなに驚かれても……」
俺って実は怖い人?
神契「ご、ごめんなさい!」
遊佐「でさ、相談があるんだけどさいいかな?」
神契「はい?」
1自分で話す
2杏に話させる(こっちでw)
やっぱ説明させることにする。
遊佐「じゃ、杏説明して」
杏「え?おい、言ってたことが違う……」
明らかに動揺してる。
遊佐「ほら、お前が説明しないと意味ないだろう?」
杏「う、いや、遊佐が説明してもいいだろう?」
遊佐「まぁそういわずにさ」
神契「あのー?」
遊佐「あぁ悪い。んじゃ杏」
ほら、っと俺はぐいっと杏を押し出す。
杏「あ、あのだな。その、神契は動物が好きだと聞いたんだけど」
神契「あ、はい。大好きです」
杏「そ、それで相談事があって……」
神契「何でしょう?」
杏「簡単に言うと、犬の飼い主を探している」
神契「犬の飼い主さんですか」
杏「で、その、飼い主を探すのに何かいい方法はないか、と思って。それだけ」
杏は恥ずかしそうに横を向いた。
遊佐「あー、そういうわけなんだ。何かないかな?」
神契「あ、はい。そうですねぇ。やっぱり動物病院に聞いてみるとか?」
遊佐「実は動物病院で入院してたやつで、とりあえず今は病院に頼んで預けてある。こっちで飼い主も探してみると言ってた」
神契「あとは、そうですねー。そういう動物同好会に聞いてみるとかですね。あのー、私もその犬さんに会いに行ってもいいでしょうか?」
遊佐「あぁ、それは構わないが」
神契「どこの動物病院でしょう?」
遊佐「あぁ、川越えた先にある、コンビニが近くにある」
神契「あ、わかりました。あそこは私もよく行くんですよー」
よく、行くものだろうか? よっぽど動物をたくさん飼っているのだろうか。
遊佐「んじゃ放課後いくか」
神契「はい?」
遊佐「ん? どうした?」
神契「いえ、一緒に行くんです?」
遊佐「あ? 駄目か?」
神契「いえ、全然大丈夫です!」
うお。急に大声に。
遊佐「んじゃ、放課後にな」
神契「あ、はい」
俺と杏は席に戻った。適当に授業の準備でもするか……。
最後の授業もばっちり眠って過ごした。まぁいつか本気で勉強すれば取り戻せる。と、言っても絶対やらないよなぁ。
遊佐「んじゃ行くか杏」
杏「神契は?」
遊佐「今呼ぶ。おーい、神契さーん!」
神契「うひゃぁ!」
がたたあぁん! と音を立てイスが下がり立ち上がる晶子。そしてカバンをもってこちらに小走りでやってくる
遊佐「わ、わるい。急に声かけて」
神契「す、すいませんです」
遊佐「んじゃ病院行こうぜ」
杏「手間をかける」
杏もやっぱり少しは気にしていたようだ。
神契「い、いえ。私動物好きだから全然大丈夫ですよー」
理由が何か違う気もするが。
神契「はぁ、それでその犬さん入院してたんですねー」
さっき気付いたが、犬にさんをつけるなこの子は。そういえば飼い主さんとも言ってたな。
遊佐「でさ、俺たちが昨日病院いったんだけどさ二人とも何も考えてなくて、病院に逆戻りってわけだ」
神契「あはは」
杏「遊佐が悪い」
遊佐「いや、俺はてっきり杏が何か考えてるのかと思ってた」
神契「でも、二人とも仲いいですねー」
遊佐「そうか?」
神契「そうですよー」
まぁ噂のこともあるしな。
遊佐「でも、あの噂はちょっと違うからな?」
神契「あ、そうなんですか。てっきり……。ごめんなさい」
遊佐「俺も気にして無いからまぁそう小さくなるなよ」
そうして病院にたどり着いた。
神契「かわいいですねー。この子」
晶子は犬をなでながらうれしそうにしてる。犬も大人しくしていて尻尾を振っている。
神契「私、この子引き取りたくなっちゃいました」
遊佐「そうしてくれるとありがたいんだが、もうたくさん飼ってるんだろ? 流石に大変なんじゃないか?」
神契「そうですねー。でも家族みんな動物好きだから大丈夫だと思いますよー」
ふーむ。ここは好意に甘えるべきだろうか。
杏も座って犬を撫でている。この犬を見ている目はとてもやらわかく見えた。
神契「ちょっと電話してみますねー」
遊佐「え、決断はやっ」
神契「あ、お母さん。実はね」
電話すること20秒。
神契「許可もらったー」
遊佐「あるいみすごいな……」
杏「あぁ……私も驚いた」
そうしてこの犬は晶子に引き取られた。家族全員動物好きだそうだ。これならこいつは大丈夫だろう。
遊佐「よかったな、杏。いい飼い主見つかって」
杏「そうね」
遊佐「気にしてたんだろ、ずっと」
杏「別に」
遊佐「いや、そんなことははないな。杏のことだからな。俺は信じてるぜ?」
杏「好きにすれば、いいじゃない」
遊佐「おう。好きにするぜ」
最終更新:2007年01月14日 07:02