遊佐「そういやさっきお姉さんと何を話してたんだ?」
さっきの慌てようからしてなんとなく好奇心が沸いてくる。
神契「な、何でもないですよー、本当です!」
顔を真っ赤にして拒否をする姿がかわいすぎる……。
俺、まさかこんな趣味が!?
遊佐「気になるんだけどな」
神契「あ、あう。勘弁してくださいー」
泣きそうになる。
遊佐「わ、悪かった。ほらもう話さなくてもいいから」
神契「は、はい。助かります……」
うぐうぐいって鼻をすすってる。あぁ、もう……。
遊佐「ほらほら、犬に会いに行くんだろ。元気だしていこうぜ」
神契「はい……」
いつもの看護師さんに出会った。
看護婦「あら、彼氏。今日は晶子ちゃんと一緒なのね」
神契「もう! 香苗さんってば!」
香苗「はいはい、冗談ですからねー」
遊佐「もしかして、結構暇なんですか?」
香苗「案外暇なのよ。だからこうやって晶子ちゃんをいじるのが私の暇つぶし」
神契「あ、あう」
遊佐「困ってますよ?」
香苗「その困ってる姿がまたかわいーのよ。ほらほら」
わからなくもないが……
身を乗り出して晶子をぐりぐりする。何故かぐりぐりしたくなる素質(?)が神契さんにあるようだ。
神契「あうあうあうーーー」
遊佐「あの、いい加減にしてあげないと」
香苗「あ、泣かないでねほらほら」
神契「うぅう……」
先生「香苗さん。お客さんをいじめちゃ駄目だって」
香苗「あ、先生。ほらほら晶子ちゃん先生ですよ」
神契「こ、こんにちは先生」
すげー子ども扱いされてるな神契さん。

犬のところにいつものように案内された。
神契「大分元気になりましたねー」
先生「そうだね、もう少し様子みたらこの子ももう大丈夫だろう」
遊佐「そういえばどうなったんです? 飼い主は」
神契「あ、飼い主さんのことなんですけど、お母さんに話したら私の家で一緒に住むことになりました」
飼うではなく一緒に住むという言い方が神契さんらしいと思う。
遊佐「そうか、それならこいつも幸せだな」
俺も一緒に犬を撫でながら本当にそう思った。
神契「名前みんなで考えたんですよー」
遊佐「へぇー。何になったんだ?」
神契「リヴァ君です!」
へ……。
遊佐「もう1回」
神契「リヴァ君です!」
ぐっと握りこぶしを作ってそんなキラキラした目をされては……。
遊佐「……いい名前だね」
神契「そうですよねー。かわいいです」
かわいいかな……?
遊佐「よかったなリヴァ君」
俺はもう一度撫でてやる。

遊佐「これで神契さんの家にはフェレットのカー君にフェンリル君にボロ君に加えてリヴァ君だな」
神契「そうですねー。きっと楽しいです」
遊佐「あのじいさんが動物好きなのはちょっと信じられないけどな」
俺は何も考えずに歩いていた。
遊佐「あ、普通について来てしまったな」
気づけば神契さんの家の前。
遊佐「んじゃ俺は帰るな」
神契「あ、ごめんなさい。うちの前まで」
遊佐「いや、つい神契さんと話してるとおもしろくて」
神契「あ、そういわれると、うれしいです」
赤面してうつむく神契さん。
くぅー! たまらん!
??「晶子ぉ。どうした?」
神契「あ、お父さん」
オトウサン!?
遊佐「こ、こんにちは」
ご、ごつい! そして日焼けしまくってる。
父「おう、君が遊佐君か。昨日うちの親父から聞いたよ」
遊佐「あ、はい遊佐 洲彬っていいます」
父「そうか、いい名前だな。まぁうちの上がってけ。お茶くらいは出すぞ」
ソ、ソレハマズイデショウ!?
遊佐「あ、迷惑じゃないでしょうか」
父「気にするな、ガハハ!」
豪快な親父だ。本当にこの人のDNAは神契さんに受け継がれてるのか!?
俺は背中をぐいぐい押されて家に押しこまれる。
神契「お父さん、遊佐君困ってるよ」
父「まぁまぁ晶子、そう言うな。晶子の友達ならこれくらいのもてなしは当たり前だ!」
この一家神契さんにはすごいやさしいんだな……。動物好きってのも何となく分かる。
俺は覚悟を決めた。
遊佐「ま、まぁ神契さん。ここはお言葉に甘えさせてもらうよ」
最終更新:2007年01月15日 21:48