じいさんい着いて行き道場にたどり着く。
雷太「靴と靴下を脱げ」
俺は言われたとおり脱ぎ道場に上がる。
雷太「座れ、正座でな」
俺は言われたとおり正座で座る。
雷太「小僧、わしがお前をここに呼んだ理由がわかるか」
遊佐「え、剣道を···」
雷太「なぜその剣道をやらせようと連れて来たのかと聞いておる」
何故だ? 俺は考える。
試合をするため? そんなの勝負になりゃしないだろう。
雷太「わしはお前の根性を確かめに来た!」
杖を向けながら言われる。
遊佐「根性」
雷太「そうじゃ、お前の根性を確かめないことにはわしは納得できん」
俺の根性を試すために剣道をやらせようというのか?
雷太「まず、剣道の基本を教えてやる」
まて、このまま流されていいのか? 何故俺の根性を試す必要があるというのだ。
遊佐「まってください。俺の根性を確かめてどうしたいんです?」
雷太「知りたいだけじゃ」
知りたいだけ···?
雷太「まぁ、よい。それならば基本は後にして先にわしと稽古してみるか。大地を呼んで来るわい」
じいさんが出て行く。俺は相変らず正座をしている。
稽古、って練習のことか? わしと稽古というニュアンスから試合をするということか?
勝てるわけがない。というか意図が未だに納得できない。
親父さんとじいさんが戻ってきた。
大地「親父、無茶だ。遊佐君は剣道もやったことないのにどうするつもりだ」
雷太「黙ってみておれ。大地、小僧に防具をつけてやれ」
大地「···しょうがねえ。遊佐君すまんな。親父が言い出したら聞かないんだ」
遊佐「い、いえ···」
俺は防具の説明を受けながらまず剣道着、袴を着せられる。続いて垂れをつけ胴。
面下の手ぬぐい、そして面をかぶる。最後に小手をつける。
大地「親父、防具をつけたぞ」
雷太「うむ、まずはそのまま準備運動をしろ」
俺は言われたとおりに準備運動をする。案外防具をつけたままは動きにくい上に
視界がかなり狭い。なんだか落ち着かない。
遊佐「終わり、ました」
雷太「大地、竹刀を」
親父さんから竹刀を渡される。
雷太「よし、ではわしの真似をしながらやってみい。竹刀は最初は右手じゃ」
そして俺はじいさんと7、8mはなれた場所に立たされる。
雷太「大地、審判を頼む」
大地「ああ」
親父さんはその正面に立つ。
大地「礼!」
じいさんが礼をするのに続いて俺も礼をする。
じいさんが大きく一歩でる。俺も足を間違わないよう大きく一歩でる。かなり緊張した
空気だった。そしてもう一歩、さらに一歩。そして蹲踞(そんきょ)をする。
(後で説明を聞いて知ったのだが····。)
雷太「始めといったら立ち上がって始めるんじゃ」
遊佐「はい」
正直何をすればいいかもまったくわからない。
大地「始め!」
そして立ち上がる、その刹那!
じいさんが飛び込んでくる姿が見えた。そして次には頭に打たれる衝撃を感じる。
雷太「面ッッッ!!!!」
スパァッン! っと乾いた音が響く。
大地「面有り!」
親父さんの声。
大地「親父、何も出鼻技は···」
雷太「ふん。まだ試合は終わっとらんぞ」
大地「仕方の無い親父だ···」
今のは何だったんだ。立ち上がったと同時に何も出来ずに打たれた面。面をしていても
頭にはかなりの衝撃があるしいたい。
大地「構えて」
大地「始めっ!」
2本目が始まる。俺はさっきの動きを警戒していたが今度は動こうともしない。
遊佐「打って来てこい小僧」
といわれてもどうすればいいんだ? ただ振りかぶって面をうてばいいのか?
雷太「ここじゃ、ここに思いっきり打ち込んでこい!」
前頭部を小手でさしながらいってくる。
雷太「遠慮は無用!」
俺はその言葉に押されて一歩でて竹刀を振りかぶる! だがじいさんは一歩踏み出す!
その竹刀を受け止めると同時にそのまま竹刀は流れるように俺の右の腹に振り下ろされた。
パァッン!
大地「胴有り!!」
何だ今のは。
雷太「面返し胴じゃ。つまり相手が打って来た面を右前に出つつ竹刀で受け、次に受け止めた
竹刀を振り下ろし胴を打つ技じゃ」
実際にじいさんが動きながら説明してくれる。
雷太「小僧、まずは基礎だ。何事も基本を怠れば成すことはできん」
まだ俺は何も剣道をするともしないとも言ってない。どんどん流されていく。
遊佐「ま、待ってください」
雷太「何じゃ?」
遊佐「何故剣道を俺がやるんでしょうか?」
雷太「文句を言わずやらんか!」
ぐお! なんて強引なじいさんだ。
大地「お、親父! 強引に何もそんなことを」
雷太「ふん、まぁ今日はいい。今日はこれまでじゃ」
大地「たく、何がしたかったんだよ親父」
雷太「ふん」
そしてこんな事が終わった後
神契「ご、ごめんねおじいちゃんが··」
後でいきさつを聞いた神契さんが謝ってくる。
遊佐「いや、でも根性を試すとかいってたけど、どういう意味か帰って考えてみるよ」
神契「た、多分深い意味はないと思うの··」
遊佐「いや、あのじいさんの事だから何かあるんだよきっと。じゃ、また明日ね」
俺は神契宅を後にした。根性を試す···か。冷静になればなんとなくわかる。
どうかんがえても神契さん絡みだよな····。
最終更新:2007年01月15日 22:55