16話

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*第16話:喪失 それは、はたから見れば正常な状態に見えただろうか。 あの惨劇を前に狂気に身を包む事も無く、涙を流す事も無く、それは確かにその個室にいた。 「…俺、は、…何、何で、こんな」 たどたどしく、無機質な声で言葉を繋げていく。彼は自分の状態を疑問に"思おうとした"。 (上手く、いかない…) 「駄目だ、こんな、…アルティミシア」 今度は、憎むべき相手の名前を声に出す。 そうすればきっと憎くてたまらなくなるだろうと考えての事であった。 でもそれも、(上手くいかない) 「―――ッ…」 彼は自分の状態に、恐怖を感じ"ようとした"。唇を噛んで目を開き、息を飲んだ。 確かにほんの一瞬だけ、恐怖を感じた時の表情を形作ったが… それはあくまでも『演技』の部類に入るようなもので、すぐにまたその顔から表情が抜け落ち無表情に戻る。 「………」 彼はしばらく、無表情のまま頭を抱えていた。 しかし数分後、ゆっくりと腰を上げ、ゆっくりとザックから支給品である大きな盾を取り出し手にした。 もう、先程までの行為は時間の無駄だったと思うことにした。いや、考える事にした。 そうでもしないと(自分が、消えて、しまいそうだ) …ドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。自分がこれからどうするべきか…わからない。 フリオニール。彼は首を失ったマリアを見たその瞬間から、感情の一切が麻痺し何も感じなくなってしまっていた。 空虚に満たされた心の奥底、その隅のほうに沈んだ理性では、泣きたい、叫びたい、狂いたいと確かに欲していた。 狂って殺人鬼と化してしまえれば。マリアの仇を取る事が出来れば。…どんなに楽だろうか? しかしそれは、今の彼にはとても無理な事であった。 【フリオニール(感情喪失) 所持品:天空の盾  第一行動方針:ただ歩く】 【現在位置:レーベの村民家一階→レーベの村】

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