第457話:思考合戦カズスの乱
「……?」
ルカは視界の端にある物を捕らえた。
瓦礫の隙間の、ルカの身長だからこそ見えた判りづらい位置にある、最近しょっちゅう目にしている色。
まだ悲しみ冷めやらぬ内だが、好奇心の方が勝ってしまい、ルカはその瓦礫へと近づいた。
少しばかり手を伸ばし、見慣れた色を掴む。
「やっぱり支給品の袋だ。落とし物かな?」
そう、ルカの述べた通り、それは参加者全員が持つ支給品の入ったサックであった。
ルカはこっそりと中身を確認する事にした。
道端に落ちていた財布の中身を確認するような心境である。
「……なんだ、草ばっかりだ」
大した収穫ではないのでがっかりしたルカだが、ご丁寧に付属していた説明書を読んで顔色を変える事となる。
“ひそひ草:つがいのひそひ草を持つ人と会話が出来る”
「おぉー!」
思わず声を挙げたルカだが、慌てて口を押さえる。
そして誰かに聞かれていないか周囲を確認した。
一番近いのは
ハッサンだがそれでも相当離れているので気付いていない様子。
他の大人達も近くにはいなかった。
ルカは胸を撫で下ろす。
「……ふう。えーと、ひそひ草はこれかな」
説明書に描かれているものと全く同じ草を探し、手に取る。
「すごいなぁ、俺だけの秘密にしよう。みんなには内緒だ!」
こういうところは子供であった。
「あ、あー、誰か聞こえるー?」
草に向かって話し掛けるが、応答なし。
もう一つのひそひ草が焼かれたりして無いのかとも思ったが、それはないなとすぐに否定した。
草をこうして持っていると何かを感じる、絶対にもう一つはどこかにある。という気がしていた。
「……うーん、もう一個のは今みたいに袋ごと落ちてたりするのかな」
それはありえる、と今度は否定しなかった。
とりあえずいつか誰かが拾ってくれる事を願いつつ、ルカは他の草一式をサックへと放り込んだ。
今はハッさんをどうするか考えないと。
と、ひそひ草をクルクルと指で回しながら地面に座った。
だが直後、ルカは背後からした音に驚いて指を止める事になる。
放送ではいくつか見知った名前を確認したが、気になるといえば
シンシアの死亡のタイミングだった。
カインがサスーンを出て
エッジらと会い、その後別れてしばらくしてからエッジはフリオニールに殺された。
その間にシンシアは死んだ事になる。時間的にはそんなに長くはない。
あの瀕死の女マーダーが復活して殺ったのか?それとも別の誰かが?
カインは考えたが「どっちにしろ自殺ではなく他殺だろうな」という結論しか出ない。
女マーダーが殺したとすると、お人好しそな連中だから、自分にその事を伝えにくるだろう。
「君が助けようとしていたのはマーダーだった」とかなんとか。
次に続く言葉が「逃げられたから気を付けて」か「殺したから安心して」かは判らないが、
日没二時間後にカズスに来るのは確実。
よっぽどの事が無い限り、他の誰かに殺された場合でも情報を伝える為に来るだろう。
それを利用しない手はない。
やる事も考えなくてはいけないこともまだまだ沢山ある。
とりあえずカインは手っ取り早く済ませられる事を消化する事にした。
ギルダー、
デッシュ、
ドーガ。今いるこの世界で、かつて世話になったり世話をしたりした人々。
特にギルダーの死は、
サックスにとってショックが大きかった。
また助けられなかったのか。
ロランや
フルートと同じだ、とサックスは溜め息を吐いた。
あーもう、自分はこんな所でこんな事をしている場合じゃないのに。
苛々を抑えながら、サックスは少し離れた所にいるカインをちらりと見やった。
放送を聞き終えたあと幾分か悲しんでいたものの、先程からずっとフリオニールと話し込んでいる。
話している内容は聞こえないが、どうせ期待できるような物ではないはず。
とりあえずカインを視界から外した。ずっと見ていては不振がられる。
だいたい男に見つめられても気分の良いものじゃないだろうしな。
今の状況をどうにかしないと。とサックスは腕を組んだ。
せめて剣だけでも取り戻したい。取り戻さないまでも、代わりになる剣なら別に何でも良い。
ていうかこの二人と一緒に居たくねえええぇぇぇ。
さて、どうしたもんか。考える事は苦手だが、今は考える事しかできなかった。
しばらく考えていると、視界の隅でカインが動いた。サックスはまた目を向ける。
どこかへ行くようだった。村の奥、進む方向には鉱山の入口がある。
ハッサンやルカのいる方か、とサックスは結論付けると残されているフリオニールを見た。
フリオニールは、サックスを見張るかのようにじっと見ていて目が合う。実際にその為に残ったのだろうが。
「……いや本当に気分の良いもんじゃない」
目を逸らし、聞こえないようにサックスは苦笑して呟いた。
「残念ながら、青い帽子の人物はテリーではなかった。珍しい目印という訳でもないから、仕方のない事だろう」
カインはルカに報告していた。ハッサンには近付けないので、あとで君から伝えてくれ、と頼んで。
数メートルも離れていては叫んで会話するしかないが、そんな面倒な事はしたくない。
なにより、ルカだけに報告するのには意味があった。
ルカは子供である。嘘を織り交ぜた報告をして多少の不自然が発生しても感付かれる心配はない。
ルカがハッサンに伝えたとしても、不自然さを感じない・感じても子供だからという理由で気にしないだろうと踏んだ。
だいたいルカもハッサンも単純馬鹿そうな輩である。誰か賢い奴に突っ込まれない限り簡単に騙せるだろう。
「そいつは急ぎの用があるらしく、すぐに別れた」
「その人どんな人だった?」
ルカがカインに尋ねる。あまり詳しく答えたくないカインだったが、そんな素振りを見せないようにした。
「帽子以外は特に特徴の無い優男だったな。名前はすまない、忘れた。思い出したらまた伝えるが」
「ふーん。……そうだ、
ケフカさんは?」
入り口の方にいる?というニュアンスだと判断したカインは、「そのことについてなんだが……」と答え、続ける。
「ケフカは新しい用が出来たらしく、青い帽子の男に同行していった。二人をよろしくと頼まれてしまったよ、まったく」
と、カインは肩を竦めてみせた。
「えぇ!?」
ルカが悲鳴を挙げる。まぁ連れが勝手にどこか行ったのだから当然か、とカインは思った。
「……ピエロって何考えてるかわかんないなぁ」
ルカの深くない考えにカインは深く安堵した。
「ケフカさん、どこに行っちゃったんだろう?」
考えてなさそうな割に質問は多いな、と悪態をつきたかったが我慢。ここまではまだ予想範囲内だ。
「まさか追い掛けるつもりなのか?」
カインは聞き返した。回答によっては答える目的地を変更せざるを得ない。
「え、あ、うん」
ルカはハッキリしない様子で返事をする。
近い場所だったら追いかけて行きそうな雰囲気だ。と判断し、カインは困ったようにしてみせた。
「おまえたちの足では夜明けに間に合わないと思うぞ。二人はサスーン城へ向かって行った」
「サスーンじょー?」
ルカは驚いた顔をする。
「ああ。あっちはヘイストを使えるが、子供の足じゃ厳しいだろう?それに夜の移動は心配だ」
ルカは地図を取り出して場所を確認しだした。
ちなみに子供の足でも、歩きつづければ真夜中には到着できる距離なのだが。
「サスーン……うん、わかった。もちろんサスーンには行かないよ」
「そうか。どっちにしろ追い掛けると言っても、心配だから俺が止めたがな」
「遠いもんね。何しに行ったんだろ」
またかよ。
「うーむ、そこまで詳しく聞けないくらい急いでいたからな。探し人らしいが、よく分からん」
「ふーん、探し人かぁ」
ルカは地図をサックへ詰め込んだ。
「……あ、そうだ。スコールっていうお兄ちゃんに会った?」
ルカが流れと違う質問をしてきたので、カインは少し驚いた。
「ああ、さっきな。それがどうした?」
それでも冷静に答える。
「今どこにいるのかなって思って」
ここは特に注意するべきポイントではないと判断すると、カインは素直に答える。
「スコールとマッシュといったか、あの二人はウルの村へ行ってしまった」
「えぇ!?」
今度はルカが驚く。その驚き様にカインも驚いた。
「何か用事があったのか?」
「あ、ううん!もうここにはいないんだね」
慌てたようにルカは否定した。
「ああ。放送の少し前に出ていったな」
「え?」
「なんだ?」
「なんでもないよ!」
「そうか?」
さっきから少し変な気もするが、まぁ子供だからという事でカインは別段気にしなかった。
「報告する事は以上だな。ハッサンに上手く伝えておいてくれ」
「うん、わかった!まかせろっ」
ルカは自らの胸をドンと叩いてみせた。
「頼もしいな。さて、俺は入り口の方に戻るが……」
「俺はここにいるよ。ハッさんを残してけないからね」
「そうか。爆発には気を付けろよ」
言うとカインは軽く手を振りつつ村の入り口の方へと歩いていった。
その姿が見えなくなるまでルカは笑顔で手を振っていた。
ルカとハッサンについては、今のところはの程度でいいだろう。
カインはフリオニール達の所に戻ると再び考えていた。問題は山積みである。
ラムザ、ユフィ。
フリオニールの事を知るこの二人は、どうも人並み以上にお喋りだ。これ以上フリオニールの事が広まると困る。
ケフカがこちらに有利な手を見せた時点で殺しておくべきだったか。
サックス。
先程から随分と大人しいが、明らさまな敵意が剥き出しだ。まぁ無理もないが。
ルカと話している間も「特に変な動きは無かったよ」らしいが、何を企んでいるか分からない。
こちらもできれば早めに始末したい。
スミス。
未だ戻る気配無し。洗脳という手段が無いのは少々面倒臭い。
どこをほっつき歩いてるんだ。いや、ほっつき飛んでいるんだ。
「カイン、貧乏揺すりはやめろよ」
フリオニールが呆れたように言った。
おまえが一番の問題児なんだ、と心で悪態をつきながらカインは考え続ける。
フリオニール。
元はと言えばこいつがエッジを殺さなければ全ては割と丸く収まっていた筈だ。
ユフィ達との事は伝え、更に少し怒りをぶつけておいたが、考えるとまた苛々が湧き出てくる。
「フリオニールを止める」とユフィに言い、更に説得は不可能とラムザを追い払いまでしたのに、
夜明けになってフリオニールの名前が呼ばれないと不自然か?
それともカズスの三人を殺し、それをフリオニールの所為だという事にし、更に逃げられたとでも言えば矛盾は無いか?
だがそれだとフリオニール本人の処理が色々と面倒になる。
どっちにしろ、この先フリオニールと行動を共にするのは厳しいと思った。
次の世界に移動する時、運悪くとユフィ達と鉢合る可能性もある。
やはりユフィはさっさと始末するべきだった。
あのお喋りコンビが何も喋らずに夜明けまでに運良く殺されれば儲けものだが、そんなに上手くいく訳がないだろう。
「
リュカ達が来るまであと一時間半といったところか……」
カインは苛々としながら呟いた。それまでに状況を変えたいが。
軽く手を振りつつ村の入り口の方へと歩いていくカインの後姿に、ルカは笑顔で手を振っていた。
そう、見えなくなるまでは。
「…………き、きんちょうした」
ルカはその場にへなへなと崩れた。
そして誰もいない方向へ向かって話し掛ける。
「俺わけわかんないよ、ねぇ」
『そうね』
するとルカの目線の先、物陰から一匹の犬が姿を表す。
『言わなくてもわかるでしょう、ルカ』
「わかるけど……」
ルカは答える。
「うーん……もっかい考えるからちょっと待って、
アンジェロ」
時は少しばかり遡る。
アンジェロは風の中の声を頼りにカズスへと到着した。
入り口付近にカインを発見すると、気付かれないように別の場所から村の中へと入った。
まずは村の様子を確認する。何が起きたのかは分からないが、崩壊と呼ぶに相応しい状態であった。
入り口付近にいるのはカインと、カインと話す男性と、一人で何か考えているような男性の三人。
ユフィの話ではスコールもカズスにいるという事だったが、姿はない。
その代わり目指していた人物の姿を奥の方で発見した。
はたしてコミニュケーションが取れるか心配だったが、アンジェロはその人物・ルカの後ろ姿へと話し掛けてみた。
『あなたがハッサン?』
びく、とルカの肩が揺れたが、ゆっくりと振り替える。
「びっくりした、犬か。おいでおいで」
ルカはアンジェロの姿を確認すると安堵して、ひそひ草をしまって手招きをした。
アンジェロは傍に寄る。ルカの手が伸びてアンジェロの頭を撫でた。
「僕はモンスターマスターのルカ。ハッサンじゃないよ」
『え?』
アンジェロは驚いた。当然のように受け答えをしたからである。
『あなた、私の言葉が分かるの?』
「モンスターマスターだからね!」
ルカは胸を張った。
それは一体なんなのかアンジェロは気になったが、話せるならばそれほど好都合な事はないと思い、話を切り出した。
『そう、ルカ。私はアンジェロ。テリーを探しているというハッ……』
「テリー!?ねえアンジェロ、知ってるの?」
ルカが目を見開く。その気迫にアンジェロは少し気圧された。
『え、ええ。会ったわ、その青年に』
「せーねん?」
ルカは訝しげな表情をした。
「アンジェロぉ、テリーは俺と同じくらいなんだから青年は違うだろ」
『同じくらい?何がかしら』
今度はアンジェロが訝しげな表情をした。が傍から見た感じでは分からない。ルカには分かるが。
「歳だよ。今、背比べっこ競争してんだ」
『おかしいわね……テリーはあなたよりずっと年上で背もずっと高いわ』
「えー、ずりー」
なにをずるいと感じたのかは分からないが、ルカは少しふてくされる。だが直ぐに気付いて頭を掻いた。
「あ、そうだ、テリーって名前は二人いたんだ!忘れてたよ」
『あら、そうなの?どうりで食い違う訳だわ』
すっきり。
ルカもアンジェロも矛盾が溶けてすっきりした表情をしていた。
『……すっきりしている場合じゃないわ!』
アンジェロが慌てて話を戻した。
『ハッサ……いいえ、それよりも大切な話があるわ、ルカ』
アンジェロは村の入り口付近にいたカインの事を思い出す。
そしてルカに、今までの事、特にカイン達に会ってからの事を詳しく話した。
自分の事、ラムザの事、カインやケフカに会った時の事、ユフィの事、フリオニールの事、
スコールを探している事、その最中に聞こえた風の声に導かれてやって来た事などなど。
つられてルカも補足する形で、この世界に来たあたりの所からの経緯を話していた。
新たな情報も入手し、アンジェロは人物関係や現在の状況を知る。
「つまり、フリオニールさんが人殺しで、カインさんの友達を殺して、でもユフィって人殺しの名前じゃないの?
ていうかケフカさんカナーンに行っちゃったんだよね?カインさんは騙されてるの?それとも……」
ひととおり話を終えると、ルカは混乱したように捲し立てた。
『落ち着いてルカ。私の推測に過ぎないんだけど、いいかしら』
ルカは心臓を押さえると、こくんと首を縦に振る。
『フリオニールはゲームに乗っている、これは間違いないわ。彼は嘘をついている。
それから、カインという人。ラムザやユフィをカズスから遠ざけたかった事、
先程の彼らの相談ぶりからすると……分かるかしら』
またルカは首を縦に振り、アンジェロの言葉を待った。
アンジェロも頷く。
『カインがフリオニールと協力して、ゲームに乗っている可能性は高いわ』
「ま、まっさかぁ……」
ルカは苦笑を浮かべた。
アンジェロの話の内容から薄々疑ってはいたが、こうもはっきり言われると本能的に否定してしまう。
『そうね。もしかしたらの話よ。だけど』
アンジェロはルカの目を見つめた。真っ黒な瞳にルカは釘づけになる。
『あの男は、簡単に信じては駄目よ』
そしてルカとカインの会話を物陰に隠れてこっそりと聞いていたアンジェロは、ルカに呼ばれて姿を表したという訳でる。
「とりあえずアンジェロの言った通り、行き先とか色々聞いてみたけど……」
そう、ルカの質問責めはアンジェロのアドバイスの下に行なわれていた。
『間違いないわね。カインも嘘つきだわ』
「うぅ、まさか……」
『でも事実なのよ』
アンジェロはぴしゃりと言い放つ。
『ラムザの事を語ろうとしなかった。ユフィの存在を隠した。ケフカが向こうに付いていく理由を適当にでっち上げた。
全く違う目的地を言った。嘘が多くて突っ込みきれないわ、ごめんなさい』
「あ、謝らなくていいよ!」
ルカは慌てて顔の前で手を振る。
『それから』
アンジェロはにっこりと微笑んだ。もちろん傍から見ると分からない。ルカには分かるが。
『ありがとう、ルカ。スコールの事を聞いてくれて。私の為でしょう?』
「う、うーん、まぁ」
ルカは頭を掻いた。
「アンジェロが探してるって言ってたから。村にはいないっての聞いて変だなーって思ったし」
アンジェロは「スコールを探している」とだけ伝えていた。余計な混乱を与えない為に
リノアの事は口にしていなかった。
『ふふ、やさしいのね……おかげで、もう一つ分かったことがあるわ』
「うん。あのさもしかして、放送の少し前にーってとこ?」
『頭も良いのね』
ルカはちょっと嬉しい。
『カインは放送前にここに戻っていたわ。そしてスコール達を見送った。
それなのに今の今までこちらに報告に来なかったという事は』
「とゆーことは?」
『その間に考えていたんでしょうね、立派な嘘を』
まずはルカとハッサンを、サックスから取り上げた剣で静かに殺す。
動けない男と子供だから簡単に殺せる。爆発されると面倒なのでハッサンが優先。
次にサックスに剣を返し、フリオニールと二人がかりで殺す。適当に斬り合って傷を負うくらいが調度いい。
やって来たリュカ達に「サックスが二人を殺し、我々も襲われたので、仕方なく殺した」と言う。
これでカズスの処理は大丈夫。ユフィとラムザは明日探して殺せばいい。
あとはユフィ達の話を聞いた誰かが、自分達に会った時の事だが。
「人伝いに聞いた話などアテにならない、フリオニールは良い奴だ。この目を見ろ」
とか何とか言えばゲームに乗ってないお人よしには通用するだろう。
と、カインはこの段取りをフリオニールに説明した。
「まぁまぁだな」というフリオニールの返事を聞くと、カインは再び鉱山の入口方面へと静かに歩いて行った。
だが数分後、カインは息を切らして村の入口付近へと戻ってくることになった。
「あの二人がいない!村の中を探したが、どこにもいなかった!」
「……って感じなんだけど、ハッさんはどう思う?」
「どう思うって聞かれてもなぁ」
ハッサンは相変わらず雲に流されながら、答えた。
「既に村を出ちまった後に聞く事じゃねーぞ」
「そうだね。ハッさん、急にゴメン」
『私からも、ごめんなさい』
ハッサンは首を傾けてルカの足元を歩く犬を見た。
「わんこ、今なんつった?」
モンスター語は分かっても犬語が分からないのは悔しいので修業するかと決意したのは内緒である。
「ごめんって言ってる」
「うーむ」
ハッサンは考えた。
ルカが犬とじゃれていたり、カインと話していたり、再び犬とじゃれていたりしたのは遠目で見ていたが、
まさか壮絶な騙し合いが行われていたなんて知らなかった。とハッサンは目の前の子供を尊敬の眼差しで見た。
犬とじゃれあって……ではなく話し合ってハッサンの方に近付いてくると、村を出よ、と言われる。
「気付かれないように、音を立てないで、裏の方から出よう。ってアンジェロが」
そう言って雲を移動させるルカ。
抗議をしようとすれば「爆発するよ」と注意されたので静かにせざるを得ない。
そしてなんとか村を出て、北上しながらいきさつを説明された。
アンジェロが常に鳴いている事から察すると、アンジェロの言葉をそのままルカが伝えている感じなのだろう。
ハッサンはアンジェロを見下ろした。
「しかしルカ、そのわんこは信用できるのか?」
「もちろん!」
ルカはすかさず自信満々に答えた。
「アンジェロの目を見れば分かる!」
俺は分かんねーよ、と心の中で突っ込みながらハッサンは考えた。
アンジェロの話を信じるならば、カインとフリオニールは信用しない方がいい。
ケフカについても不穏な動きがあったようだが、自分を救ってくれた恩人であるので疑うまでには至らなかった。
「ところでルカ」
「なに?」
「なんで北に向かってるんだ?」
アンジェロの話によればテリーはカナーンに居るかもしれないという事だが。
ルカはきょとんとした様子で答える。
「だって、アンジェロをスコールの兄ちゃんに会わせてあげないと」
「いや、できれば俺はカナーンに行きたいんだが」
「俺はウルの村に行きたいんだ」
仕方無いか、とハッサンは諦めた。
自分がこうして移動できるのもルカのおかげである。ルカ様様ルカ万歳。そう考えてルカに従う事にした。
一行が目指すは、ウルの村。
【ルカ
所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) 風のローブ シルバートレイ
ひそひ草 様々な種類の草たくさん(説明書付き・残り1/4)
第一行動方針:アンジェロをスコールに会わせる
最終行動方針:仲間と合流】
※
バーバラの支給品を拾いました
【ハッサン(HP 1/10程度、危機感知中)
所持品:E爆発の指輪(呪) ねこの手ラケット チョコボの怒り 拡声器
行動方針:オリジナル
アリーナと自分やルカの仲間を探す、特にシャナクの巻物で呪いを解きたい
最終行動方針:仲間を募り、脱出 】
【アンジェロ
最終行動方針:スコールに会う】
【現在地:カズスの村北部→ウルの村へ移動中】
【カイン(HP5/6程度 疲労)
所持品:ランスオブカイン ミスリルの小手 えふえふ(FF5) この世界(FF3)の歴史書数冊 加速装置
草薙の剣 ドラゴンオーブ レオの顔写真の紙切れ
第一行動方針:また作戦の考え直し
最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】
【フリオニール(HP1/3程度 MP1/2)
所持品:ラグナロク ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) 三脚付大型マシンガン(残弾9/10)
第一行動方針:また作戦の考え直し(を横で見てる)
最終行動方針:ゲームに勝ち、仲間を取り戻す】
【サックス (負傷、軽度の毒状態 左肩負傷)
所持品:水鏡の盾、スノーマフラー
第一行動方針:武器の調達、ついでにとんずらしたい
最終行動方針:ゲームを破壊する。アルティミシアを倒す】
【現在地:カズスの村入り口】
最終更新:2008年01月30日 13:39