474話

第474話:暗き森での出来事


マティウスとゴゴは運良くウィーグラフとアリーナに遭遇することに成功した。
ヘイストを使い何とか先回りができた。
「どうやら上手くいったようだな。…覚悟はいいな?アリーナよ」
とビームウィップをとりだす。いままでただの棒だったものは光線を出し始めた。
そしてゴゴもいつでも戦闘に行けるようソードブレイカーをかまえた。

アリーナはまさか外で奴らと遭遇されるとは思わなくて動揺したが、
すぐに臨戦態勢に入る。
(関係ない。今度は負けない!外で出会ったのは計算外
だけど、この地形は利点もあるわ!!)
「それはこっちのセリフよ!」

一方のウィーグラフもいつでも戦えるように間合いを取った。

…しかしどう出るべきか
さっきの放送までに読んでいた本によると
この黒服―――マティウスは相当の実力者であることがわかった。
そして、実際対峙してみると並ならぬ威厳と威圧感をも持っていた。
その隣にいる男、ゴゴについてもあの本で調べた。
昨日のことといい、奴の技はかなり脅威だ。何といっても他人の行動を真似ることができる。
うかつにこちらの技をだすことは危険だろう。
…が、こいつは付け入る隙もある。
どうやら、奴の物真似はその真似した対象者の資質…つまり魔力などは真似できないようだ。
地力さえ負けていなければ対処できないこともない。
ただ他人の技を使えるというのは やはり脅威でありことには変わらないが。
この二人、なかなか手ごわい面々だ。
しかし、 ウィーグラフは決して臆することはない。
戦いにおいてそのような精神面での動揺は 命取りになるということをわかっているからだ。
そんなことを考えていた時
「黒服の隣にいる奴は私に殺らせてくれない?」
隣にいるアリーナはそう言った。



「それは…魔石!!」
「ロックよ、貴様はこれを知っているのか?」
ピサロは珍しくロックに尋ねた。
ピサロはこれから戦闘に遭遇することに備えて持ち物を確認している時、ロックがたまたまピサロの持っている魔石を見つけたのだ。
「ああ、これはおそらく魔石バハムートだ。
これを持った状態で暫く戦闘をすればフレアという魔法が覚えられる。
また、バハムート自体を呼び出すこともできるぜ。」
興味を持ったのか、ピサロはいろいろとロックに質問している。
ザンデもその魔石の魔力に興味を持ちロックとピサロの会話を聞いている。ケフカは…相変わらずである。
「すると、貴様はもともと魔法が使えなかったのか?」
「ああ、俺の世界では魔法というものは遥か昔に失われた存在だったからな。」
ロックは魔石によって魔法が使えるようになった。
しかし、その威力というのはティナやセリス、リルムに比べると劣っている。
魔力がそこまで高くないからだ

…まぁこの世界では回復魔法などはそこまでその人自身の魔力とは関係ない。
だから彼の魔法も無視できないが。

「この魔石を持ったまま魔法を唱えると
通常よりも魔力が高い状態で魔法を唱えられるようだ。」
「え…本当かよ?それは知らなかった。」
「ぼくちんは知っていましたがねぇ、この男もすぐに気づいたのに
お前はほーーーーんと鈍感ですねぇー」
と横槍をいれるケフカ。
いちいちうるせぇなと呆れるロック。



「何か策でもあるのか?」
ウィーグラフは視線を変えずに言った。アリーナはうなずき
「必ずしとめるわ、だから黒服をひきつけておいてくれない?」
ウィーグラフは少しの間迷った。
…だがアリーナの返答を聞く限り、迷いはなかったし、その語調は自信に満ち溢れていた。
また、夕方のようなラムザのことを話した時とも違う。
本当に何か策があるのだろう。
それに、奴らを分断させた方がこちらも戦いやすい。
ウィーグラフは無言でザックからあるものを取り出した。

「くるぞ!!ゴゴ、気をつけろ!!」
「くるぞ!!マティウス、気をつけろ!!」

ウィーグラフが取り出したのはグリンガムの鞭。
彼は鞭については疎いが、攻撃するために出したわけではない。鞭に注意をひきつけられればよいのだ。
幸いにもこの鞭自体の殺傷能力は高い。
攻撃対象はややマティウスよりにする。
マティウスは数歩下がり間合いを取りながらビームウィップで迎撃する。
一方ゴゴは横に 動くことにより鞭の攻撃範囲から逃れる。
その刹那、アリーナが持ち前のスピードでゴゴの間合いに詰め寄る。
完璧なタイミングであったがゴゴは冷静であった。

ミラクルシューズの効果で間合いを再びとり、ソードブレイカーで牽制する。
アリーナには攻撃する隙はほとんど無かった。
「ちっ…」
ウィーグラフは敵の冷静な判断に舌打ちをした。
しかし、アリーナが再び持ち前のスピードと格闘術でゴゴを追い詰める。
(む…やはりこの女の素早さは高いな。間合いをかなりとらねば危険だ。)
ゴゴはその場から遠ざけられ、二人は暗き闇の森に消えていった。
結果的には二人を分断させることに成功した。しかし、マティウスは
「さて、貴様の実力を見せてもらおうか」
とわずかながら笑みを出し余裕をもって言った。

なぜだ…なぜこんなにも冷静なのだ…!?
仲間を分断させられたのに。
ウィーグラフは疑問に感じた…がすぐに気持ちを切り替えて鞭をしまい、プレデターエッジを取り出した。


一方でマティウスたちも彼らに遭遇するまでに何も考えていなかったわけではない。
「敵は我らを分断させてくるかもしれない。」
マティウスは言った。
ゴゴは今マティウスの物真似をしているため彼の言ったことの真意が
大体わかる。なので、黙って聞いている。
「アリーナは一度多人数での戦いで敗れている。私たちにな。
だからその苦手意識が無意識にあるだろう。
また、先ほどの青年の話によるとおそらく敵は二人。今度は二対二になる。」
ここでマティウスは一息を入れた。

「そのような互角な状態でもアリーナ…いやそのもう一人の方も一対一に
持ち込むほうが良いと考えるだろう。」
この話とマティウスの思考を総合してみてゴゴは全てを理解した。
「そうだな、敵のほうは一時的の結託であろう。
お互い利用しあっていて隙あれば寝首をかく、そういう関係だな。
一緒にはなるべく戦いたくない。」
「そういうことだ、遭遇したらおそらくアリーナは私を殺しにかかるだろう。
一度殺されそうになった相手に挑むのだ。一刻も早く殺したいだろう。
…まぁ私はそうなることはないだろうがな。」
最後の方は微笑しながら言った。
そしてこうつけくわえた。
「ここでいっているのはあくまで机上の空論。確率はそこまで高くないし、
何より奴らに遭遇することができないかもしれぬ。」

そして、少しの間の後
「だが、もしそうきたらどうする?」
ゴゴは尋ねた。

「あえて敵の作戦に乗ろう。下手に小細工はしない方がいいだろう。
奴らは相当な実力を持っているが我らも実力では負けていないはずだ。」
最後にマティウスは
「…ゴゴよ。絶対に死ぬな。あくまで最終目標は魔女を討伐することだ。
それまで死ぬわけにはいかぬ。そして何より…」
「私の大切な友だから失いたくない…か?」
ゴゴは言った。自分で言うのは変だと思ったがマティウスの自分に対する
気持ちがいたいほどわかり、自分もこのことを言いたかったからだ。
マティウスは
「さすが、物真似師だな」
笑いながら言った。


「さぁ来なさいよ、殺してあげるから♪」
マティウスの言った『机上の空論』はほぼ現実となったが
唯一の違いはアリーナが標的としたのはゴゴであったことである。
アリーナは状態異常があったが自信はあった。
(一対一なら私は絶対に勝てる!!その証拠に奴は私のスピード
に完全にはついていけなかった!)
彼女の言った策とは『一対一での絶対の自信』のことである。
昼間での城でのゴゴの四連撃を受けた時、自分より力は劣っていたし
そして今素早さも自分の方が上だと確信した。
この絶対的な自信は偽りがなく本物だった。
(いける!!)
アリーナはいっきにたたみかけようとした。

「サンダガ」

その瞬間に天から雷が降りてきた。最初に言っておくがゴゴはアリーナに
当てるためにやったわけではない。まず、一つ目はマティウスに自分の位置を教えるためである。
他の参加者に気づかれると考えたが予想以上にマティウスと距離が離れてしまった。
そのためだいたいどの辺に自分がいるのか、それを分からせる必要があった。
二つ目はアリーナへの牽制である。
ゴゴは彼女の素早さを分かっており、それがどれだけ脅威かも理解していたからだ。

尚、本来なら悪魔の尻尾を装備しているアリーナは黒焦げになるはずだったが
その前に木が避雷針の役割をした。
当然このことは二人とも分かるはずはなかった。

(危なかった!そうね…こいつもやっぱりあなどれない。
一度こいつに私は殺されかけた。だから絶対に殺してやるんだから。
……もう奴の魔法、物真似、そして全てを軽視しないわ!!肝心なのは死なないことよ!)
アリーナは己の慢心を反省し、再びゴゴに襲い掛かる。

場所は変わってこちらはもう一つの戦いの場。
そこには二人の男が一進一退の攻防を繰り広げていた。
「貴様、なかなかやるではないか」
相変わらず余裕さえ見える口調で話すマティウス。
(本通りだな…かなりの強敵だな。ここまでの実力を持った奴とはあったことがない。
しかし、戦闘での経験などは私も負けていない!!)
ウィーグラフはマティウスに斬りかかる。
マティウスも上手くビームウィップを使いその攻撃に対応する。
とそこにさっきのサンダガが見えた。
そして、マティウスはその雷の意味を察知し彼もそれに応える。
「なっ……!?」
マティウスが繰り出したのはいんせき。
空から何百のいんせきが…とまではいかないがウィーグラフを襲う。

マティウスは意図的にいんせきの数を少なくした。
ゴゴに教えるだけでいいしおそらく多く繰り出しても、敵の実力から見てかわされるだろうと思ったからだ。
案の定ウィーグラフは予想外の攻撃に驚愕を隠し切れなかったが、冷静に対処しいんせきをかわすことができた。
(ラムザを殺すまで…私は死ぬわけにはいかない!!)
「行くぞ!!死兆の星の七つの影の 経路を断つ! 北斗骨砕打!」



魔石の話がひと段落したすぐ後に例の雷、そして空から降ってきたいんせきを確認した。
「あれは…まさか!!…っておいザンデ!!」
ザンデはサスーン城の方角からその出来事の方に足を向けた。
「あれはおそらくメテオに近い魔法。相当な魔力を持つものに違いない。
協力を求めに行くのだ。」
「何か前にもこんな場面があったような気がするな…
ってそんなことより、じゃあ雷のあったほうはどうするんだよ!?」
ロックはこの魔法が意味することはゲームに乗っている奴が戦っていると確信した。
だからもう一つの魔法の方面も放っておけなかった。
だがザンデは即座にこう答えた。
「知れたこと、私は力のある方を求めにいくだけ。」
おいおいと溜息をつくロック。
「ならばロックよ。貴様が行けばいいではないか?」
ピサロはロックに言った。
「待てよ、俺はこいつらを野放しには…」

ロックは何か言いかけたがピサロは無視して、冷酷に言い放つ。
「私は夕刻にいったはずだ、中途半端では何もできないままに死ぬことになると。」
ロックの心中では夕方のあのピサロの言葉がフィードバックされた。
続けてピサロはこう言った。
「ザンデはおそらくまだ牙をむかぬ。そしてそこにいる道化師もしかりだ。」
ザンデはもう魔法の発信源の元に向かっている。ケフカもまた駄々をこねながらもついていく。
ロックは即決した。
「分かった…。後でまた落ち合おう。」
ロックは雷の落ちた場所に向かおうとする。
「待て…これをもっていけ」
ピサロはロックに何かを投げた。それはさっきの魔石バハムートだった。
「貴様の方が扱いなれているだろう。……早く行け」
「ピサロ、すまない…!!」
ロックは礼をいい今度こそ雷が落ちた場所に向かった。
ピサロもザンデを追いかけ始めた。彼は最後ロックに何か言いかけたがやめた。

(この森で唯一この腐ったゲームに乗っていないとわかる奴だ。
そう簡単に死なれても困る。)



「あれは…!?」
「かなりの魔力を持つものが放った魔法のようじゃな」

ラムザとギードもまた二つの魔法を見ていた。
「どうします?もしかしたらテリーもあそこに…」
「……他に探すあてもない。テリーたちが襲われている恐れもある。
暗闇の森はかなり危険じゃ。だがわしは止まるわけにはいかぬ。
それでも…おぬしはくるか?」
「はい!!」
二者はさらに暗く深い森に入っていく。二人は急いだ。
しかし、ギードは傷や疲労でその足取りは重い。そしてヘイストの効果もまもなく切れてしまう。
ラムザは一刻も早く向かいたかったがギードの歩調にあわせる。
自分の選んだ道はまっとうしたい。この方を…死なせたくない。
そのような気持ちが強かった。
二人は近かった方の魔法…マティウス達のいる方向に向かった。

この森は今、修羅場となる。

【ギード(重傷、MP大幅消費、ヘイスト) 所持品:首輪
 第一行動方針:魔法の発信源(マティウスとウィーグラフがいるところ)に向かう
第二行動方針:テリー、ルカとの合流
 第三行動方針:首輪の研究】
【ラムザ(話術士 アビリティジャンプ)(HP4/5、ヘイスト)
 所持品:アダマンアーマー ブレイブブレイド テリーの帽子
 第一行動方針:同上
第二行動方針:ギードに随行し、彼の仲間たちにテリーを託してからユフィを探す  
最終行動方針:ゲームから抜ける、もしくは壊す】
※ヘイストがまもなくきれます。

【ザンデ(HP 4/5程度) 所持品:シーカーソード、ウィークメーカー
 第一行動方針:魔法の発信源(マティウスとウィーグラフがいるところ)に向かう
第二行動方針:サスーンへ向かう
 基本行動方針:ウネや他の協力者を探し、ゲームを脱出する】
【ピサロ(MP1/2程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 黒のローブ
 第一行動方針:同上
第二行動方針:ザンデ・ケフカを監視しつつ同行 
 基本行動方針:ロザリーを捜す】
【ケフカ(MP2/5程度)
 所持品:ソウルオブサマサ、魔晄銃、ブリッツボール、裁きの杖、魔法の法衣
 第一行動方針:同上
第二行動方針:観察を続けながらザンデに取引を持ちかけるタイミングを待つ
 最終行動方針:ゲーム、参加者、主催者、全ての破壊】

【ウィーグラフ (疲労、毒、スリップ)
 所持品:暗闇の弓矢、プレデターエッジ、エリクサー×6、ブロードソード、レーザーウエポ        
ン、 フラタニティ、不思議なタンバリン、スコールのカードデッキ(コンプリート済み)、 黒マテリア、
グリンガムの鞭、攻略本、ブラスターガン、毒針弾、神経弾 首輪×2、研究メモ
第一行動方針:マティウスを殺す
第二行動方針:アリーナを殺してリュカとエドガーに近づき、二人を利用してピエールを服従させる
基本行動方針:生き延びる、手段は選ばない/ラムザとその仲間を探し殺す(ラムザが最優先)】

【マティウス(MP1/2程度)
 所持品:E:男性用スーツ(タークスの制服)、ビームウィップ
 第一行動方針:ウィーグラフを倒す
 第二行動方針:カズスに行き、カインと接触してみる
 基本行動方針:アルティミシアを止める
 最終行動方針:何故自分が蘇ったのかをアルティミシアに尋ねる
 備考:非好戦的だが都合の悪い相手は殺す】

【アリーナ2(分身) (毒、スリップ) 】
 所持品:E:悪魔の尻尾 E皆伝の証 イヤリング 鉄の杖 ヘアバンド 天使の翼
 第一行動方針:ゴゴを殺す
第二行動方針:ピエールを葬り、サスーンに向かってリュカを殺す
 第三行動方針:ラムザを殺し、ウィーグラフにアリーナを殺させる
 最終行動方針:勝利する】
【ゴゴ(MP1/2程度)
 所持品:ミラクルシューズ、ソードブレイカー、手榴弾、ミスリルボウ
 第一行動方針:アリーナを倒す
基本行動方針:マティウスの物真似をする】

【ロック 所持品:キューソネコカミ クリスタルソード 魔石バハムート
 第一行動方針:魔法の発信源(ゴゴとアリーナ2のいるところ)に向かう
 第二行動方針:事態の処理後、ピサロ達と合流する
第三行動方針:ケフカとザンデ(+ピサロ)の監視
 基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】

【現在位置:カズス北西の森南部】

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最終更新:2008年01月31日 17:59
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