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吸血鬼の王 - (2017/01/28 (土) 13:36:42) の1つ前との変更点
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*吸血鬼の王◆DIOmGZNoiw
町外れの街道を照らす街灯は、等間隔に並んではいるものの、そのうち一本だけが点灯していた。その一本を除いて、他はすべて明かりを消している。周囲に民家は存在しない。闇夜を照らす光源は、たった一本の街灯、それだけだった。
その街灯の光の中に、吸血鬼はいた。
頭上から降り注ぐ街灯の光に照らされた美しい金の髪は、太陽の強い日差しを受けて煌めくオリーブオイルさながらに煌々と輝いていた。髪の方が、街灯よりもずっと眩しく見えるほどだった。
黄金の双眸が、ちらりと横目に彼を見た。目鼻立ちのはっきりとした、肖像芸術を彷彿とさせる顔立ちをしているが、その切れ長の瞳には有無をいわさぬ圧迫感があった。腰がすくんで、逃げ出すこともできない。噂に聞く、吸血鬼の魔眼とは、このことを指すのかもしれない、と彼は思った。
――夜になると吸血鬼が出るから、あまり出歩いてはいけない。
そういう噂を聞いたことならある。だが、信じてはいなかった。所詮はくだらない与太話だと思っていたし、実際のところ、嬉々として吸血鬼伝説を噂していた者たちの中にも、心の底から吸血鬼という存在を信じていた者がいるとはとても思えない。
だが、それも今日までだ。目撃してしまった決定的な事実を、稚拙な噂話と否定することは、もはやできない。
「キャ、キャスター」
彼は、震える声で己のサーヴァントを呼んだ。キャスターは答えない。答えられる状況ではなかった。
キャスターは、吸血鬼の腕に抱かれていた。なにかに腹部を貫かれ血を大胆にぶちまけたキャスターに、万全の吸血鬼に反抗するだけの余力が残されていないことは、火を見るよりも明らかだった。
吸血鬼がゆっくりと大口を開けた。整然と並んだ歯並びのうち、犬歯だけが鋭く尖っている。上下の歯列の間を、やや粘度を孕んだ唾液が伝っている。その姿が、彼の目にはこれ以上もなく、なまめかしく見えた。吸血鬼の放つその色気に、視線は釘付けにされていた。その結果、彼は、己がサーヴァントに最期の瞬間が訪れるとき、なにも行動を起こすことができなかった。
「あ」
気付いたときには、吸血鬼の牙がキャスターの首筋に突き刺さっていた。薄い桃色の唇から、淡い色合いの血液を僅かに零しながら、キャスターの血が吸われてゆく。
キャスターの身体が、金の粒子となって、手足から順に崩壊しはじめた。あの吸血鬼は、中途半端に吸血をして、眷属を増やす気はない。キャスターの霊基そのものを吸収して、存在そのものを吸い尽くすつもりでいるのだと、遅れて彼も気付いた。
やがてキャスターという存在そのものを吸い尽くした吸血鬼が、背筋を正して、彼を見据えた。唇の端に残った血痕を軽く拭った吸血鬼は、柔らかく微笑んだ。蠱惑的な微笑みだった。思わず、引きつった笑みで返す。
吸血鬼は、シックなデザインの赤いドレスに身を包んでいた。腰回りの布は、吸血鬼のバランスよく育った体つきにぴったりと纏わり付いて、その体に無駄な肉がないことをつまびらかにしている。それでいて、ふくよかな、今にもドレスから零れ落ちそうな胸元は、僅かに血の滴った谷間を大胆に見せ付けながら、その歩みに合わせて微かに揺れている。隠しようもない女の色香が、否応なしに立ちのぼってくるのを感じた。
この美しい吸血鬼になら、殺されてもいいのかもしれない。そういう考えが、心のどこかで鎌首をもたげた。彼の脚が、ふらふらと、一歩目を踏み出した。
それ以上、吸血鬼に近づくことはできなかった。
「え」
背後から、腹部をなにかに貫かれていた。
隆々とした黄金の腕が、腹部から生えている。身じろぎする余裕はない。体を貫いていた黄金の腕が引き抜かれた。自重を支えるだけの体力は残っていなかった。彼の体は、重力に引かれるまま前のめりに倒れこんだ。
朦朧としはじめた意識の中、首を回して、下手人の顔を見る。
黄金の頭髪に、黄金の双眸。尖った犬歯をむき出しにして笑う、もうひとりの吸血鬼を、彼は見た。そいつが、傍らに現出させていた黄金の分身をかき消して、その丸太のような腕を振りかぶった。吸血鬼の四本の指が、彼の首筋に突き刺さる。
体内から、急速に熱が奪われてゆくのを感じた。全身から感覚が抜けてゆく。もはや痛みすら感じはしなかった。彼は、眠るように瞼を落とした。
◆
人間をやめて、自我すら失った哀れな化け物の成れの果てが、魚の鱗のようにずらりと並んで、街を埋め尽くしている。それが、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードが持つ、己の世界の最期の姿だった。
あの世界は、もう、決定的に、救いようもなく、終わっている。夜になるたびゾンビが街中に溢れ出して、生き残りの人間を狩り尽くす死の世界だ。街はゴーストタウンと化して、生き残った人類を探すことは困難と思われた。
事実上、種としての人類は、滅んだといえる。
キスショットが、自らの意思で、滅ぼしたのだ。
吸血鬼にとって、食事としての吸血と、眷属をつくるための吸血は、わけが違う。眷属をつくるための吸血とは、すなわち、性行為のようなものだ。忍野忍にとってそれは、やつあたりのようなものだった。惚れた男に振られた女が、誰でも構わないと自暴自棄になって、その他大勢で欲望を満たすことと大して差はなかった。そんな拗ねた子供のような理由で、あの世界は一夜にして滅ぼされた。
最初の動機は、純然たる憎しみからくるものだった。自らの命すら投げ出して、見ず知らずの怪異を救ってくれた、この世で最も愛おしい男を殺したあの色呆け猫を、忍野忍は湧き上がる激情に身を任せて、まず、殺した。そうして忍野忍は憎しみに狂い咲き、そして、怪異の王へと返り咲いた。
キスショットは次に、世界で最も愛おしい男が死んでしまったあの世界を滅ぼそうと考えた。己の貞操など、もうどうでもよかった。世界を滅ぼす、その願いひとつで、最初の何人かを眷属へと変えた。世界を滅ぼすという願いを込めて眷属へと作り替えられたそいつらは、次々と他者を襲い、ねずみ算式に世界は吸血鬼で溢れかえった。世界を滅ぼすことが、かくも簡単なことだなんて、思ってもみなかった。
つまらなく、あっけない幕切れだった。
忍野忍にとって、阿良々木暦は、自身のすべてだった。
その阿良々木暦が死んだ。世界が滅んだ。最後に残った自分自身を殺して、なにもかもを終わらせようと思った。
だけれども、キスショットの思惑通りにはいかなかった。なにもかもが終わると思ったのに、気付いたときには、月の電脳世界へと飛ばされていた。己のサーヴァントを召喚して、聖杯戦争に挑むという義務が課せられていた。ならばそれでいいと思った。もう、なにもかも終わったのだ。今更失うものなどなにもない。
不死の自分がこの戦争で死ねるなら、それでなにもかも完結する。日光の下にこの身を投げ出して焼身自殺を図るよりも確実に死ねるだろう。
もしも勝ち残ることができて、願いを叶えられるなら、それならそれで、やはりいい。なんでも願いを叶えることができるというなら、やりなおせばいいのだ。
なにを、何処からやりなおせばいいのかはわからない。ただ、やりなおせるなら、何処からでもいいから、やりなおしたい。もう一度、阿良々木暦に会いたい。それが、キスショットの願いだった。
「どうした……なにか悩み事かね、キスショット」
ふいに呼び止められたキスショットは、頭上から見下ろす己のサーヴァント――アサシンへと視線を送った。
今はこのアサシンとともに、町外れの、廃墟と化した建物の一室を根城としている。元は学習塾だったらしいが、今はすっかり廃れ、この廃墟に足を運ぶ人間はそうはいない。かつて子供たちが学習していた机を何重にも組み合わせたオブジェの上に腰掛けて、黄金の装束を纏ったアサシンは、ハードカバーの本を読んでいる。ゆったりとした動作で本を閉じたアサシンは、不敵に口元を歪めた。
「うぬは相も変わらず、主に対して随分と大きな態度を取る男じゃな。従僕のくせして主を略語で呼び捨てにするなど……それもデリケートな問題に土足で踏み込もうとしておる。まったく、気に入らん」
「おっと……そういうつもりじゃあないんだがね。気を悪くしたなら謝ろう。ともに聖杯戦争に挑む同士として、歩み寄りの精神は大切だと思った……ただのそれだけなんだ」
「拗ねた子供のような理由で世界を滅ぼした女に歩み寄ったところで、なにを理解できるというのか」
キスショットは、肺の中の空気を吐き出すように笑った。
アサシンに媚びる気はなかった。キスショットにしてみれば、今更聖杯を獲ろうが、敗退しようが、なにも変わらないのだ。失うものはなにひとつ存在しない。
「まあ、そう自棄になるなよ……きみにはチャンスがあるんだ。もう一度あの日々に帰るためのチャンスが」
「あの日々に帰ったところで、なにをやりなおせばよいのか、儂にはてんでわからぬ。攻略本が欲しいくらいじゃ」
「ほう……ならばその道は、わたしが示してやる。わたしの天国ならば……誰も、なにも、迷う必要がなくなるぞ」
「儂の道を示す、じゃと。ハ、百年かそこらしか生きていない小僧が、大口を叩きおるわ」
「嘘じゃあない……わたしにはかつて、その力があった」
オーバーヘブン。
アサシン――DIOがかつて辿り着いたという、この世のあらゆる物理法則をねじ曲げて、己の望む真実を上書きする究極の能力。今は完全にその力を失って、ただのアサシンとして召喚されている。聖杯を手に入れ、もう一度天国へと到達することが、アサシンの願いだった。その力が嘘でないことは、キスショットも知っている。
「まあ、確かに……うぬの言う天国とやらの力があれば、儂の望んだ世界にたどり着くことはできるのかも知れんの。怪異の王が、天国などに頼るというのもおかしは話ではあるが」
「怪異の王が……吸血鬼が、天国の力に頼ってはいけないというルールなどどこにもあるまい。現にわたしは一度……天国へ到達したのだ。望むなら、神にだってなれる力だ」
「いや、それはいい。お断りじゃ」
にべもなく、アサシンの提案を蹴った。憮然とした面持ちで、アサシンはキスショットに視線を送る。
「神は、昔一度やった。儂が向いてないことはその時よくわかった」
「そうか。ならば、それはそれでいい……だが最低限、きみの願いだけは叶えさせて貰うぞ……これは確定事項だ」
阿良々木暦の蘇生。それがキスショットにとっての最低限の望み。
聖杯戦争に勝ち残ることで得られる日々を一瞬夢想する。胸が内側から苦しくなる想いに駆られたところで、キスショットは、考えることをやめた。腹に溜まっていた空気を一気に吐き出して、諦念の色が強く混ざった嘆息を落とした。
「まあ、よかろう……どのみち、儂にはもう失うものなどなにもない。貴様の遊びに付き合ってやるのも一興かも知れんの」
「聡明な判断に、感謝する……きみの力があれば、百人力だ。キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」
オブジェから飛び降りたアサシンが、キスショットの肩に手を置いた。軽く肩を回して、アサシンの手を払いのける。この世界に、キスショットの愛した男はもういない。それなのに、こんな得体の知れない吸血鬼が眷属として傍らにいるのは、どうにも気分がよくなかった。とは言うものの、聖杯戦争に乗ること自体に抵抗はない。要は、あの滅んだ世界でやったことと、方向性は同じだ。当て所のない苛立ちを、やつあたり気味にぶつけてやればいい。
踵を返したキスショットは、アサシンにちらと振り返り、凍てつくような冷たい視線で睨め付けた。アサシンはくすりと口元を歪めるだけだった。視線だけで常人ならば身動きすら取れなくなる吸血鬼の魔眼だったが、アサシンには通用しない。吸血鬼としての格はアサシンの方が圧倒的に低いが、腐っても吸血鬼ということだろう。ふん、と肺に溜まった空気を吐き出したキスショットは、そのまま廃墟の奥へと消えていった。
【出展】ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン
【CLASS】アサシン
【真名】DIO(ディオ・ブランドー)
【属性】混沌・悪
【ステータス】
筋力A 耐久EX 敏捷B 魔力A+ 幸運C 宝具A
(※マスターであるキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの莫大な魔力量に引っ張られて、ステータスは全体的に底上げされている)
【クラススキル】
気配遮断:-(EX)
サーヴァントとしての気配を断つ。
彼の場合、その圧倒的すぎる存在感が仇となって、スキルとしては機能していない。
ただし、後述の宝具発動中ならば、時間の流れそのものを感知させず、実質的にランクEX相当のスキルとして機能する。宝具による時間停止中という限定的な条件はつくが、攻撃態勢に移ってもランクはダウンしない。
【保有スキル】
カリスマ:B
悪のカリスマにして、悪の救世主。
彼の場合、国家運営はできないが、悪の軍団を指揮する上で類まれなる才能を発揮する。
魔力放出(氷):C
気化冷凍法を再現したスキル。
自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。彼の場合、触れた対象を氷漬けにすることができる。
吸血鬼:A
対象の魔力・生命力を吸収し、自身の魔力・生命力を回復する。
また、肉の芽を使用することで、神秘による加護のない者、対魔力ランクの低い者を洗脳したり、屍生人(ゾンビ)化することも可能。
自らの血を与えることで対象を吸血鬼化することも可能だが、アサシンがこの能力で自らの眷属を作ることは、基本的にはない。また、マスターであるキスショットの影響で、吸血鬼としてより高次の存在へと昇華したため、元来吸血鬼ではないアサシンのスキルランクもアップしている。
戦闘続行:A+
三度ジョナサン・ジョースターに敗北し、身体を破壊され戦闘不能に追い込まれるも、アサシンはそのたびに復活を果たした。
彼に頭部以外の致命傷は存在しない。どれほど深刻な傷を負おうとも生存し、戦闘を続行する。
また、キスショットをマスターとした影響で、元来のものよりも大幅に回復力・耐久性ともに底上げされている。
【宝具】
『世界(ザ・ワールド)』
ランク:A 種別:対人(対界)宝具 レンジ:1~10 最大補足:-
破壊力 - A / スピード - A / 持続力 - A / 射程 - C / 精密動作性 - B / 成長性 - B
近距離パワー型スタンド。射程距離は十メートルを誇り、圧倒的なスピードとパワーによる肉弾戦で他を圧倒する。
また、五秒間だけ時間を停止させ、止まった時の中をアサシンだけが自由に行動することができる。
時間停止の発動に大した魔力消費は存在しないが、その代わり連続しての発動はできない。一度発動すれば、必ず一呼吸をおく必要がある。
『DIOの世界(ワールド・イズ・マイン)』
ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:1~99
ジョースター一行と最後の戦いを繰り広げたエジプトの街並みを再現する固有結界。
固有結界内には、アサシンがナイフを調達したレストランや、武器として使った道路標識、果ては工事用のロードローラーなどが再現されており、空条承太郎に対して用いた数々の戦法を再現することができる。
また、発動した上で十分な魔力を賄えるならば、固有結界内に限り、下記の追加能力を得られる。
・空中浮遊能力の獲得。
・最大停止時間を九秒まで延長させる。
ただし、固有結界の発動に必要な魔力量は大きく、上記の追加能力まですべて発動させるためには、それこそ莫大な量の魔力が必要となるため、あまり多用することはできない。
『傾く世界の物語(アンダーワールド)』
ランク:EX 種別:- レンジ:- 最大補足:-
正確にはアサシンの宝具ではない。マスターにキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードが健在の場合のみ発動可能。
マスターのスキル、吸血(エナジードレイン)によって、サーヴァントとしての存在力、霊核そのものをキスショットへ移動させ、一時的にマスターとサーヴァントの立場を逆転させる。その場合、アサシンはサーヴァントとしての力を失い、キスショットはエクストラクラス『ファニーヴァンプ』として扱われる。令呪もまた自動的にその時マスターである側へと移行する。
ただし、永続的にこの宝具を発動し続けることは不可能である。世界(ムーンセル)の強制力によって、イレギュラーは必ず正されるからである。
この宝具を発動していられるのは、発動から三ターンの間のみ。効果持続時間が切れた場合、自動的にアサシンにサーヴァントとしての全権が戻り、次回発動まで最低でも一日はクールタイムをおく必要がある。
また、ファニーヴァンプとしてキスショットを運用する場合の魔力消費量は途方もないほどに膨大であるため、全盛期のキスショットとはいえ、フルスペックで戦闘を行うことはできない。
『かくして世界は終焉を迎えた(ワールズ・エンド・キスショット)』
ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:1~99
上記の宝具『傾く世界の物語』発動中にのみ発動できる宝具。
キスショットが体験した、吸血鬼の成れの果て――すなわちゾンビ溢れる滅びゆく世界を固有結界内に再現し、対象をそこに引きずり込む。膨大な数のゾンビが対象を敵とみなして襲い掛かるが、噛まれたところで少しでも対魔力ないし神秘の加護を持つものならば、ゾンビ化はしない。また、個々の戦闘力も大したことはない。
また、街に溢れる屍生人には、アサシンが生前生み出した屍生人の特性も付与されており、アサシンの配下たる屍生人も中には混じっている。
こちらも魔力の消費量が大きく、ファニーヴァンプの現界を保った状態で、長時間の発動を維持することは難しい。
【サーヴァントとしての願い】
もう一度、天国に到達する。
【人物背景】
ジョジョの奇妙な冒険 第三部 スターダストクルセイダースにおけるラスボス。
ご存知ジョースター一族の宿敵であり、世界すら支配するスタンド『ザ・ワールド』の使い手。
百年に及ぶ一族との決戦の末、DIOはついに空条承太郎を撃破し、天国へと到達した。あらゆる事実を、望みのままに上書きする能力『ザ・ワールド・オーバーヘブン』を手に入れ、時代と世界を越えて集まった八人のジョジョと、その仲間たちを苦しめた。
だが、最後はDIOと同質の進化を遂げた空条承太郎の『スタープラチナ・オーバーヘブン』によって能力を打ち消され、壮絶な戦いの末に、本来の歴史で辿った通りの敗北を刻み込まれ、死亡した。
今回の聖杯戦争においては、オーバーヘブンの記憶を持ち越してはいるものの、能力面は完全に通常時である。
【基本戦術、方針、運用法】
マスターはあまりにも莫大すぎる魔力量を秘めた、世界最強の怪異、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードである。
アサシンが通常通り戦闘を行う分には、よほど考えなしに魔力を消耗しない限りは、魔力の枯渇は起こりえない。
寧ろ欠点となりうるのは、サーヴァントとマスターの関係を逆転させる宝具『傾く世界の物語』の存在である。ファニーヴァンプの能力は途方もないほどに強力無比だが、その代わりマスター・DIOが負う魔力消費も甚大である。ゆえに、この宝具を発動した場合、早期の決着を狙う必要がある。
また、参戦時期の都合上、キスショット自体が、非常に不安定な精神状態であり、自暴自棄になりやすいことが大きな欠点ともいえる。それが後々大きな問題へと繋がる可能性もないとは言い切れない。
【出展】傾物語(まよいキョンシー)
【マスター】キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード
【参戦方法】
人類の消えた世界を彷徨っているうちに、白紙のトランプを拾った。
【人物背景】
忍野忍。ほぼ六百歳。正確には五百九十八歳。
鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼。怪異の王にして最強の怪異。怪異殺し。数々の異名を持ち、その異名に恥じない圧倒的すぎるスペックを誇る吸血鬼。
眷属である阿良々木暦がブラック羽川に殺されたことで、はからずも全ての能力を取り戻してしまった忍は、怪異の王として返り咲き、羽川翼を殺害した上で、世界を滅ぼすため狂い咲いた。
完全に自暴自棄になっており、日光の下に身体を晒すことで焼身自殺を図るも、その強力すぎる不死性が災いし、日光ですら死にきれなかった。
今回の参戦は、上記の焼身自殺を試みる前からである。
【能力・技能】
とにかく全方位において規格外のスペックを誇る。
南極からジャンプで日本まで飛んだり、身体を自由に変形させたり、割となんでもありである。ひとつひとつ説明するのが億劫な程多くの能力を有しているが、おそらくムーンセルではその大半が制限下におかれており、発揮不可となっている。
残された能力のうち、特筆すべきものは以下のものである。
・吸血(エナジードレイン)
対象にかじりついて血を吸うことで、その存在そのものを吸収できる。
また、自らのサーヴァントから霊核を吸収することで、一時的にサーヴァント『ファニーヴァンプ』として活動できる。ただし、この特性が適用されるのは、キスショットが契約を結んだサーヴァントを相手に吸血を行なった場合のみである。それ以外を対象にこの能力を行使した場合は、純粋な吸収能力として扱われる。
・物質具現化能力
身に纏っているドレスをはじめとする衣服や、武器などを任意に創造できる。
この場においては、あまり大掛かりすぎるもの(神殿など)を創造することはできない。
【マスターとしての願い】
やりなおしたい。
でも、なにをやりなおせばいいのかわからない。
【方針】
蹂躙する。
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*吸血鬼の王◆DIOmGZNoiw
町外れの街道を照らす街灯は、等間隔に並んではいるものの、そのうち一本だけが点灯していた。その一本を除いて、他はすべて明かりを消している。周囲に民家は存在しない。闇夜を照らす光源は、たった一本の街灯、それだけだった。
その街灯の光の中に、吸血鬼はいた。
頭上から降り注ぐ街灯の光に照らされた美しい金の髪は、太陽の強い日差しを受けて煌めくオリーブオイルさながらに煌々と輝いていた。髪の方が、街灯よりもずっと眩しく見えるほどだった。
黄金の双眸が、ちらりと横目に彼を見た。目鼻立ちのはっきりとした、肖像芸術を彷彿とさせる顔立ちをしているが、その切れ長の瞳には有無をいわさぬ圧迫感があった。腰がすくんで、逃げ出すこともできない。噂に聞く、吸血鬼の魔眼とは、このことを指すのかもしれない、と彼は思った。
――夜になると吸血鬼が出るから、あまり出歩いてはいけない。
そういう噂を聞いたことならある。だが、信じてはいなかった。所詮はくだらない与太話だと思っていたし、実際のところ、嬉々として吸血鬼伝説を噂していた者たちの中にも、心の底から吸血鬼という存在を信じていた者がいるとはとても思えない。
だが、それも今日までだ。目撃してしまった決定的な事実を、稚拙な噂話と否定することは、もはやできない。
「キャ、キャスター」
彼は、震える声で己のサーヴァントを呼んだ。キャスターは答えない。答えられる状況ではなかった。
キャスターは、吸血鬼の腕に抱かれていた。なにかに腹部を貫かれ血を大胆にぶちまけたキャスターに、万全の吸血鬼に反抗するだけの余力が残されていないことは、火を見るよりも明らかだった。
吸血鬼がゆっくりと大口を開けた。整然と並んだ歯並びのうち、犬歯だけが鋭く尖っている。上下の歯列の間を、やや粘度を孕んだ唾液が伝っている。その姿が、彼の目にはこれ以上もなく、なまめかしく見えた。吸血鬼の放つその色気に、視線は釘付けにされていた。その結果、彼は、己がサーヴァントに最期の瞬間が訪れるとき、なにも行動を起こすことができなかった。
「あ」
気付いたときには、吸血鬼の牙がキャスターの首筋に突き刺さっていた。薄い桃色の唇から、淡い色合いの血液を僅かに零しながら、キャスターの血が吸われてゆく。
キャスターの身体が、金の粒子となって、手足から順に崩壊しはじめた。あの吸血鬼は、中途半端に吸血をして、眷属を増やす気はない。キャスターの霊基そのものを吸収して、存在そのものを吸い尽くすつもりでいるのだと、遅れて彼も気付いた。
やがてキャスターという存在そのものを吸い尽くした吸血鬼が、背筋を正して、彼を見据えた。唇の端に残った血痕を軽く拭った吸血鬼は、柔らかく微笑んだ。蠱惑的な微笑みだった。思わず、引きつった笑みで返す。
吸血鬼は、シックなデザインの赤いドレスに身を包んでいた。腰回りの布は、吸血鬼のバランスよく育った体つきにぴったりと纏わり付いて、その体に無駄な肉がないことをつまびらかにしている。それでいて、ふくよかな、今にもドレスから零れ落ちそうな胸元は、僅かに血の滴った谷間を大胆に見せ付けながら、その歩みに合わせて微かに揺れている。隠しようもない女の色香が、否応なしに立ちのぼってくるのを感じた。
この美しい吸血鬼になら、殺されてもいいのかもしれない。そういう考えが、心のどこかで鎌首をもたげた。彼の脚が、ふらふらと、一歩目を踏み出した。
それ以上、吸血鬼に近づくことはできなかった。
「え」
背後から、腹部をなにかに貫かれていた。
隆々とした黄金の腕が、腹部から生えている。身じろぎする余裕はない。体を貫いていた黄金の腕が引き抜かれた。自重を支えるだけの体力は残っていなかった。彼の体は、重力に引かれるまま前のめりに倒れこんだ。
朦朧としはじめた意識の中、首を回して、下手人の顔を見る。
黄金の頭髪に、黄金の双眸。尖った犬歯をむき出しにして笑う、もうひとりの吸血鬼を、彼は見た。そいつが、傍らに現出させていた黄金の分身をかき消して、その丸太のような腕を振りかぶった。吸血鬼の四本の指が、彼の首筋に突き刺さる。
体内から、急速に熱が奪われてゆくのを感じた。全身から感覚が抜けてゆく。もはや痛みすら感じはしなかった。彼は、眠るように瞼を落とした。
◆
人間をやめて、自我すら失った哀れな化け物の成れの果てが、魚の鱗のようにずらりと並んで、街を埋め尽くしている。それが、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードが持つ、己の世界の最期の姿だった。
あの世界は、もう、決定的に、救いようもなく、終わっている。夜になるたびゾンビが街中に溢れ出して、生き残りの人間を狩り尽くす死の世界だ。街はゴーストタウンと化して、生き残った人類を探すことは困難と思われた。
事実上、種としての人類は、滅んだといえる。
キスショットが、自らの意思で、滅ぼしたのだ。
吸血鬼にとって、食事としての吸血と、眷属をつくるための吸血は、わけが違う。眷属をつくるための吸血とは、すなわち、性行為のようなものだ。忍野忍にとってそれは、やつあたりのようなものだった。惚れた男に振られた女が、誰でも構わないと自暴自棄になって、その他大勢で欲望を満たすことと大して差はなかった。そんな拗ねた子供のような理由で、あの世界は一夜にして滅ぼされた。
最初の動機は、純然たる憎しみからくるものだった。自らの命すら投げ出して、見ず知らずの怪異を救ってくれた、この世で最も愛おしい男を殺したあの色呆け猫を、忍野忍は湧き上がる激情に身を任せて、まず、殺した。そうして忍野忍は憎しみに狂い咲き、そして、怪異の王へと返り咲いた。
キスショットは次に、世界で最も愛おしい男が死んでしまったあの世界を滅ぼそうと考えた。己の貞操など、もうどうでもよかった。世界を滅ぼす、その願いひとつで、最初の何人かを眷属へと変えた。世界を滅ぼすという願いを込めて眷属へと作り替えられたそいつらは、次々と他者を襲い、ねずみ算式に世界は吸血鬼で溢れかえった。世界を滅ぼすことが、かくも簡単なことだなんて、思ってもみなかった。
つまらなく、あっけない幕切れだった。
忍野忍にとって、阿良々木暦は、自身のすべてだった。
その阿良々木暦が死んだ。世界が滅んだ。最後に残った自分自身を殺して、なにもかもを終わらせようと思った。
だけれども、キスショットの思惑通りにはいかなかった。なにもかもが終わると思ったのに、気付いたときには、月の電脳世界へと飛ばされていた。己のサーヴァントを召喚して、聖杯戦争に挑むという義務が課せられていた。ならばそれでいいと思った。もう、なにもかも終わったのだ。今更失うものなどなにもない。
不死の自分がこの戦争で死ねるなら、それでなにもかも完結する。日光の下にこの身を投げ出して焼身自殺を図るよりも確実に死ねるだろう。
もしも勝ち残ることができて、願いを叶えられるなら、それならそれで、やはりいい。なんでも願いを叶えることができるというなら、やりなおせばいいのだ。
なにを、何処からやりなおせばいいのかはわからない。ただ、やりなおせるなら、何処からでもいいから、やりなおしたい。もう一度、阿良々木暦に会いたい。それが、キスショットの願いだった。
「どうした……なにか悩み事かね、キスショット」
ふいに呼び止められたキスショットは、頭上から見下ろす己のサーヴァント――アサシンへと視線を送った。
今はこのアサシンとともに、町外れの、廃墟と化した建物の一室を根城としている。元は学習塾だったらしいが、今はすっかり廃れ、この廃墟に足を運ぶ人間はそうはいない。かつて子供たちが学習していた机を何重にも組み合わせたオブジェの上に腰掛けて、黄金の装束を纏ったアサシンは、ハードカバーの本を読んでいる。ゆったりとした動作で本を閉じたアサシンは、不敵に口元を歪めた。
「うぬは相も変わらず、主に対して随分と大きな態度を取る男じゃな。従僕のくせして主を略語で呼び捨てにするなど……それもデリケートな問題に土足で踏み込もうとしておる。まったく、気に入らん」
「おっと……そういうつもりじゃあないんだがね。気を悪くしたなら謝ろう。ともに聖杯戦争に挑む同士として、歩み寄りの精神は大切だと思った……ただのそれだけなんだ」
「拗ねた子供のような理由で世界を滅ぼした女に歩み寄ったところで、なにを理解できるというのか」
キスショットは、肺の中の空気を吐き出すように笑った。
アサシンに媚びる気はなかった。キスショットにしてみれば、今更聖杯を獲ろうが、敗退しようが、なにも変わらないのだ。失うものはなにひとつ存在しない。
「まあ、そう自棄になるなよ……きみにはチャンスがあるんだ。もう一度あの日々に帰るためのチャンスが」
「あの日々に帰ったところで、なにをやりなおせばよいのか、儂にはてんでわからぬ。攻略本が欲しいくらいじゃ」
「ほう……ならばその道は、わたしが示してやる。わたしの天国ならば……誰も、なにも、迷う必要がなくなるぞ」
「儂の道を示す、じゃと。ハ、百年かそこらしか生きていない小僧が、大口を叩きおるわ」
「嘘じゃあない……わたしにはかつて、その力があった」
オーバーヘブン。
アサシン――DIOがかつて辿り着いたという、この世のあらゆる物理法則をねじ曲げて、己の望む真実を上書きする究極の能力。今は完全にその力を失って、ただのアサシンとして召喚されている。聖杯を手に入れ、もう一度天国へと到達することが、アサシンの願いだった。その力が嘘でないことは、キスショットも知っている。
「まあ、確かに……うぬの言う天国とやらの力があれば、儂の望んだ世界にたどり着くことはできるのかも知れんの。怪異の王が、天国などに頼るというのもおかしは話ではあるが」
「怪異の王が……吸血鬼が、天国の力に頼ってはいけないという[[ルール]]などどこにもあるまい。現にわたしは一度……天国へ到達したのだ。望むなら、神にだってなれる力だ」
「いや、それはいい。お断りじゃ」
にべもなく、アサシンの提案を蹴った。憮然とした面持ちで、アサシンはキスショットに視線を送る。
「神は、昔一度やった。儂が向いてないことはその時よくわかった」
「そうか。ならば、それはそれでいい……だが最低限、きみの願いだけは叶えさせて貰うぞ……これは確定事項だ」
阿良々木暦の蘇生。それがキスショットにとっての最低限の望み。
聖杯戦争に勝ち残ることで得られる日々を一瞬夢想する。胸が内側から苦しくなる想いに駆られたところで、キスショットは、考えることをやめた。腹に溜まっていた空気を一気に吐き出して、諦念の色が強く混ざった嘆息を落とした。
「まあ、よかろう……どのみち、儂にはもう失うものなどなにもない。貴様の遊びに付き合ってやるのも一興かも知れんの」
「聡明な判断に、感謝する……きみの力があれば、百人力だ。キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」
オブジェから飛び降りたアサシンが、キスショットの肩に手を置いた。軽く肩を回して、アサシンの手を払いのける。この世界に、キスショットの愛した男はもういない。それなのに、こんな得体の知れない吸血鬼が眷属として傍らにいるのは、どうにも気分がよくなかった。とは言うものの、聖杯戦争に乗ること自体に抵抗はない。要は、あの滅んだ世界でやったことと、方向性は同じだ。当て所のない苛立ちを、やつあたり気味にぶつけてやればいい。
踵を返したキスショットは、アサシンにちらと振り返り、凍てつくような冷たい視線で睨め付けた。アサシンはくすりと口元を歪めるだけだった。視線だけで常人ならば身動きすら取れなくなる吸血鬼の魔眼だったが、アサシンには通用しない。吸血鬼としての格はアサシンの方が圧倒的に低いが、腐っても吸血鬼ということだろう。ふん、と肺に溜まった空気を吐き出したキスショットは、そのまま廃墟の奥へと消えていった。
【出展】ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン
【CLASS】アサシン
【真名】DIO(ディオ・ブランドー)
【属性】混沌・悪
【ステータス】
筋力A 耐久EX 敏捷B 魔力A+ 幸運C 宝具A
(※マスターであるキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの莫大な魔力量に引っ張られて、ステータスは全体的に底上げされている)
【クラススキル】
気配遮断:-(EX)
サーヴァントとしての気配を断つ。
彼の場合、その圧倒的すぎる存在感が仇となって、スキルとしては機能していない。
ただし、後述の宝具発動中ならば、時間の流れそのものを感知させず、実質的にランクEX相当のスキルとして機能する。宝具による時間停止中という限定的な条件はつくが、攻撃態勢に移ってもランクはダウンしない。
【保有スキル】
カリスマ:B
悪のカリスマにして、悪の救世主。
彼の場合、国家運営はできないが、悪の軍団を指揮する上で類まれなる才能を発揮する。
魔力放出(氷):C
気化冷凍法を再現したスキル。
自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。彼の場合、触れた対象を氷漬けにすることができる。
吸血鬼:A
対象の魔力・生命力を吸収し、自身の魔力・生命力を回復する。
また、肉の芽を使用することで、神秘による加護のない者、対魔力ランクの低い者を洗脳したり、屍生人(ゾンビ)化することも可能。
自らの血を与えることで対象を吸血鬼化することも可能だが、アサシンがこの能力で自らの眷属を作ることは、基本的にはない。また、マスターであるキスショットの影響で、吸血鬼としてより高次の存在へと昇華したため、元来吸血鬼ではないアサシンのスキルランクもアップしている。
戦闘続行:A+
三度ジョナサン・ジョースターに敗北し、身体を破壊され戦闘不能に追い込まれるも、アサシンはそのたびに復活を果たした。
彼に頭部以外の致命傷は存在しない。どれほど深刻な傷を負おうとも生存し、戦闘を続行する。
また、キスショットをマスターとした影響で、元来のものよりも大幅に回復力・耐久性ともに底上げされている。
【宝具】
『世界(ザ・ワールド)』
ランク:A 種別:対人(対界)宝具 レンジ:1~10 最大補足:-
破壊力 - A / スピード - A / 持続力 - A / 射程 - C / 精密動作性 - B / 成長性 - B
近距離パワー型スタンド。射程距離は十メートルを誇り、圧倒的なスピードとパワーによる肉弾戦で他を圧倒する。
また、五秒間だけ時間を停止させ、止まった時の中をアサシンだけが自由に行動することができる。
時間停止の発動に大した魔力消費は存在しないが、その代わり連続しての発動はできない。一度発動すれば、必ず一呼吸をおく必要がある。
『DIOの世界(ワールド・イズ・マイン)』
ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:1~99
ジョースター一行と最後の戦いを繰り広げたエジプトの街並みを再現する固有結界。
固有結界内には、アサシンがナイフを調達したレストランや、武器として使った道路標識、果ては工事用のロードローラーなどが再現されており、[[空条承太郎]]に対して用いた数々の戦法を再現することができる。
また、発動した上で十分な魔力を賄えるならば、固有結界内に限り、下記の追加能力を得られる。
・空中浮遊能力の獲得。
・最大停止時間を九秒まで延長させる。
ただし、固有結界の発動に必要な魔力量は大きく、上記の追加能力まですべて発動させるためには、それこそ莫大な量の魔力が必要となるため、あまり多用することはできない。
『傾く世界の物語(アンダーワールド)』
ランク:EX 種別:- レンジ:- 最大補足:-
正確にはアサシンの宝具ではない。マスターにキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードが健在の場合のみ発動可能。
マスターのスキル、吸血(エナジードレイン)によって、サーヴァントとしての存在力、霊核そのものをキスショットへ移動させ、一時的にマスターとサーヴァントの立場を逆転させる。その場合、アサシンはサーヴァントとしての力を失い、キスショットはエクストラクラス『ファニーヴァンプ』として扱われる。令呪もまた自動的にその時マスターである側へと移行する。
ただし、永続的にこの宝具を発動し続けることは不可能である。世界(ムーンセル)の強制力によって、イレギュラーは必ず正されるからである。
この宝具を発動していられるのは、発動から三ターンの間のみ。効果持続時間が切れた場合、自動的にアサシンにサーヴァントとしての全権が戻り、次回発動まで最低でも一日はクールタイムをおく必要がある。
また、ファニーヴァンプとしてキスショットを運用する場合の魔力消費量は途方もないほどに膨大であるため、全盛期のキスショットとはいえ、フルスペックで戦闘を行うことはできない。
『かくして世界は終焉を迎えた(ワールズ・エンド・キスショット)』
ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:1~99
上記の宝具『傾く世界の物語』発動中にのみ発動できる宝具。
キスショットが体験した、吸血鬼の成れの果て――すなわちゾンビ溢れる滅びゆく世界を固有結界内に再現し、対象をそこに引きずり込む。膨大な数のゾンビが対象を敵とみなして襲い掛かるが、噛まれたところで少しでも対魔力ないし神秘の加護を持つものならば、ゾンビ化はしない。また、個々の戦闘力も大したことはない。
また、街に溢れる屍生人には、アサシンが生前生み出した屍生人の特性も付与されており、アサシンの配下たる屍生人も中には混じっている。
こちらも魔力の消費量が大きく、ファニーヴァンプの現界を保った状態で、長時間の発動を維持することは難しい。
【サーヴァントとしての願い】
もう一度、天国に到達する。
【人物背景】
ジョジョの奇妙な冒険 第三部 スターダストクルセイダースにおけるラスボス。
ご存知ジョースター一族の宿敵であり、世界すら支配するスタンド『ザ・ワールド』の使い手。
百年に及ぶ一族との決戦の末、DIOはついに空条承太郎を撃破し、天国へと到達した。あらゆる事実を、望みのままに上書きする能力『ザ・ワールド・オーバーヘブン』を手に入れ、時代と世界を越えて集まった八人のジョジョと、その仲間たちを苦しめた。
だが、最後はDIOと同質の進化を遂げた空条承太郎の『スタープラチナ・オーバーヘブン』によって能力を打ち消され、壮絶な戦いの末に、本来の歴史で辿った通りの敗北を刻み込まれ、死亡した。
今回の聖杯戦争においては、オーバーヘブンの記憶を持ち越してはいるものの、能力面は完全に通常時である。
【基本戦術、方針、運用法】
マスターはあまりにも莫大すぎる魔力量を秘めた、世界最強の怪異、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードである。
アサシンが通常通り戦闘を行う分には、よほど考えなしに魔力を消耗しない限りは、魔力の枯渇は起こりえない。
寧ろ欠点となりうるのは、サーヴァントとマスターの関係を逆転させる宝具『傾く世界の物語』の存在である。ファニーヴァンプの能力は途方もないほどに強力無比だが、その代わりマスター・DIOが負う魔力消費も甚大である。ゆえに、この宝具を発動した場合、早期の決着を狙う必要がある。
また、参戦時期の都合上、キスショット自体が、非常に不安定な精神状態であり、自暴自棄になりやすいことが大きな欠点ともいえる。それが後々大きな問題へと繋がる可能性もないとは言い切れない。
【出展】傾物語(まよいキョンシー)
【マスター】キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード
【参戦方法】
人類の消えた世界を彷徨っているうちに、白紙のトランプを拾った。
【人物背景】
忍野忍。ほぼ六百歳。正確には五百九十八歳。
鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼。怪異の王にして最強の怪異。怪異殺し。数々の異名を持ち、その異名に恥じない圧倒的すぎるスペックを誇る吸血鬼。
眷属である阿良々木暦がブラック羽川に殺されたことで、はからずも全ての能力を取り戻してしまった忍は、怪異の王として返り咲き、羽川翼を殺害した上で、世界を滅ぼすため狂い咲いた。
完全に自暴自棄になっており、日光の下に身体を晒すことで焼身自殺を図るも、その強力すぎる不死性が災いし、日光ですら死にきれなかった。
今回の参戦は、上記の焼身自殺を試みる前からである。
【能力・技能】
とにかく全方位において規格外のスペックを誇る。
南極からジャンプで日本まで飛んだり、身体を自由に変形させたり、割となんでもありである。ひとつひとつ説明するのが億劫な程多くの能力を有しているが、おそらくムーンセルではその大半が制限下におかれており、発揮不可となっている。
残された能力のうち、特筆すべきものは以下のものである。
・吸血(エナジードレイン)
対象にかじりついて血を吸うことで、その存在そのものを吸収できる。
また、自らのサーヴァントから霊核を吸収することで、一時的にサーヴァント『ファニーヴァンプ』として活動できる。ただし、この特性が適用されるのは、キスショットが契約を結んだサーヴァントを相手に吸血を行なった場合のみである。それ以外を対象にこの能力を行使した場合は、純粋な吸収能力として扱われる。
・物質具現化能力
身に纏っているドレスをはじめとする衣服や、武器などを任意に創造できる。
この場においては、あまり大掛かりすぎるもの(神殿など)を創造することはできない。
【マスターとしての願い】
やりなおしたい。
でも、なにをやりなおせばいいのかわからない。
【方針】
蹂躙する。
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