*おさんとん係◆6l0Hq6/z.w 風鳴弦十郎は最も危険な種類の悪党を相手にしていた。 「これ美味いな、ちょっとッ!あと六人前くれ」 「あいよッ!」 「おいッ!人の聞いているのかッ!?」 完璧な莫迦野郎を……。 「あの霊体《状態》に好きになれなくてな…」 「魔力なんて腹の足しにもならねぇし、ここ本当に米は無いのか?」 「無いッ!たぁっく…そんなこまい身体で一体どこに入っていく?」 そろそろ自分の体積を超えそう何だが…。 「だが、しかし…お前が──あの──」 「いや、違う」 「は?」 「まだだ。だが、名は継ぐ。この聖杯戦争《戦い》に勝ってな…」 「それまでは虎って喚べばいいよ。喚んだ行くから」 「虎だとぉ?そんなぁ…狗か猫じゃ、あるまいし…」 飯を食いながらアサシンは弦十郎の左手の刻印を睨みつける。 「何だ?また令呪《コレ》か?」 「俺は…」 「その結果がコレだ。莫迦も休み休み言え」 人差し指で令呪を指差す。 召喚早々に令呪の行使で既に一画減っている。こりゃ後でどやされるぞ……。 「お前のパンチのせいでまだ腕が痺れてる。アサシン」 「もう英霊の身に成った俺の目から見てもおっさんは十分化物《こっち》側の人間だぜ」 「たぁけた事を。冗談じゃない」 「意外と謙虚なんだな」 「それにオッサンじゃないッ!まだ俺は23だッ!」 「俺がサーヴァントに成ったとしても、令呪《そんなもの》の助けは要らない。さっさと飯代にでも替えてくれ。出来るだろ?」 「なん…だとッ!?」 「心配はいらぬ。例え勝負に負けても戦には勝たせる。安心しろ」 「はいお待ちッ!ヤキソバ六人前、大盛、具沢山、ソースだくッ!」 会話を遮った店員。 「ちょっと待てッ!店員ッ!俺の頼んだ分は!?」 「来た来た、頂きま…ぬ?」 「どうした?アサ──」 次の瞬間、 き…消えたッ! 宙に浮かぶ箸が床に落ちた。 「話の途中なのに霊体化して、どこ行きやがったアイツ?」 彼の頭上で鳴り響く、 「銃声ッ!?」 天井をぶち抜いて上から人が降ってくる。店員も客たちも逃げ出した。 「おい。上の階に居たこいつ、知り合いか?」 「これは米国政府の…」 「乱波…のようだが。それに──…伏せろッ!」 店の外から、撃ちこまれ銃弾。更にトレーラー数台、停車と同時にテールゲートから黒ずくめが蟻のように出て来る。更に銃弾を浴びせ始める。 こればっかしはアサシン改め、虎の警告なしでも良かったが、幸いにも卓が頑丈で助かる。 「まだ始まってもいないんだろ?それを白昼堂々と…この鉄砲とは」 虎は床に転がる銀の盆を弦十郎の盾にしようとするが、その盆は手の中で銃弾に食いちぎられた。 「おかげで飯代が浮いたッ!有り難いッ!」 「おいおいおい…」流石にこれには虎も舌を巻いた。 銃撃が止む。 「弾切れか?」虎は聞く。 「いや、違うな」マズいな…。 『Mr.風鳴ッ!大人しく令呪を渡してくれれば、アナタのライフは保証シマショウ。デテキテクダサイッ!』 「どうした?困ってるか?弦十郎?」 この銃口睨む、十字放火の四面楚歌に俺は自分がまた撃たれるまで、ただ見ているしかない。 「お前この状況を楽しんでいるな?」 「俺も少し、怒ってる。風鳴、安心しろ死なせはせぬ」 三度《みたび》、アサシンのいや、虎は姿を霊体に移した。 「Kill the master ahead !」 「──俺がいる限りはッ!」 部隊の背後に現出するアサシン。 「遅いッ!」 ──四人。最初に首が頸部から千切れ飛んだ。四つの生首はそのままそれぞれ別々の人間の腹部に直撃した。 「what!?」 紛れもない動揺が男たちを振り向かせた。 風鳴を狙う銃弾は自分の仲間を誤射した。いや、そうさせたのか。 「我は風鳴弦十郎を守護する鬼なり、命のいらぬ者はかかって参れッ!」 消失と顕現を繰り返し、ことごとく滅する。ハチャメチャな…まるで台風だ。 「ははは。段々、霊体化《これ》が楽しくなってきたぞ…風鳴ッ!」 実体化・霊体化の切り替え《スイッチ》の間隔が短くなっていく、 灯りが明滅するがごとく、速度を上げていき、デタラメな残像がとうとう姿を消して、消えた。実体化・霊体化。それは現世と幽世を往き来するに等しい。そんなに迅くは絶対に不可能だ。どんなサーヴァントでも…。さもなくば霊基が不安定になってサーヴァントは自壊する。はずだった…。 見えない何かに人がぶちのめされていく。 暴力の嵐の背後で、鬼の姿が浮かび上がった。 しかし、魔術に最低限の知識しかない弦十郎の眼には彼はただ、迅《はや》いだけでしかない。彼が驚いたのはそこではない。 この武は何だ? この身を剣《つるぎ》と鍛えた身だ。しかし、あれは…。 寒気がした…あの業は何だ… 自分の顔に流れ弾が掠めても動じない。弦十郎はとうとう戦場に身を乗りだしてしまった。 迅いッ!これが人の身で辿り着いた業《わざ》だとッ!? これが──… ──武道の本質は〝人殺しの業〟だ。 ──■■圓明流。それは武術界に伏在する伝説。 その無手の業を以て、宮本武蔵に勝っただの、新撰組の土方を倒しただの、千年不敗を誇るというが真実かどうかは定かではない。だがもし…それが真実なら、武術の祖に相違ない。アサシンとして彼が現界したのも頷ける。 「──どうした?おっさん。笑ってるのか?」 アサシンの人相が変わって乱波のその返り血で顔を真紅に染め上げる。 「これが…真実《まこと》の鬼の力。これが…修羅の血かよッ!?」 「おい、おっさん。だから何で笑ってるんだ?」 「笑ってる?」俺がか?そんなはずはない。 「おっさん。いい加減に人の芝居《ふり》はやめろ。あんたの中には居る。確かだ」 「居る…だと…?」 「俺とおんなじ奴《鬼》が居る」 「まだ気づいてないのか?」 「俺の本当に戦うべき相手は…」虎は笑っている。 『これも運命《さだめ》と呼ぶのか?……なぁ、信長?』 「お前だ。風鳴弦十郎」 -------- 【CLASS】アサシン 【出典】修羅の門・修羅の刻 【真名】■■(仮名:虎) 【身長】167㎝【体重】65㌔ 【性別】男性 【属性】中立・悪 【ステータス】筋力C+ 耐久C 敏捷A 魔力E 幸運B 宝具EX 【クラススキル】 気配遮断:B(-) 自身の気配を消す能力。 だが、彼の場合、戦闘態勢に入るとたちまち闘気が放出して他のサーヴァントにも存在を察知される。要するに彼の戦い方は悪目立ちするのだ。観るだけなら問題ない。観るだけなら。 【保有スキル】 心眼(真):B+ 戦闘続行:A 勇猛:A+ 鬼神(修羅):B この発動には条件が幾つか存在するが詳細は不明。これが発動すると全てのパロメーターを2ランク上昇させる。更に単独行動:Bランク相当などを付与。この状態に戦闘中移行すると、誰の言うことも聞き入れないため、彼との意思の疎通は不可能。また、現界のための魔力を大量に消費するようになる。相手か彼自身どちらかが手折れるまで戦い続ける。 【宝具】 『■■圓明流』 ランク:EX 種別:対人魔業 レンジ:1~250 最大補足:1000 正確には宝具ではない。一子相伝・門外不出。人の身とは思えぬその絶技の数々。それは多対一や対剣術のみならず、対銃器の状況をも想定されている謎の活人。その千年不敗の伝説は誇張はあっても出鱈目ではない。その名は── 『?』 ランク:? 種別:不明 レンジ:-最大補足:- 詳細不明。 【人物背景】 ──天正九年、本能寺にて第六天魔王は討滅された。 この時、彼もそこに居合わせた者と思われる。 彼は何を想い、何故座についたのかも定かではない。 彼に名前はまだない。この戦いで名を継ぐのだ。 只…往く…修羅の道を…どこまでも…。 【サーヴァントとしての願い】 彼の目的は無手の勝利、ただそれだけだ。故に── 【出展】 戦姫絶唱シンフォギア 【マスター】風鳴 弦十郎 【性別】男性【属性】秩序・中庸 【参戦方法】 政府からの支給 【人物背景】極東の暗部〝風鳴機関〟所属し、諜報活動に従事。そして護国の系譜、風鳴一族の防人。風鳴家・現当主、父・風鳴訃堂の名にて、聖杯の獲得を命じられ馳せ参じた。風の噂では風鳴家はかつて外法に手を伸ばし、その家の者は今尚その身に悪鬼血潮が流れていると聞く。 年齢は23歳と若干本編より、若いし、青臭い。 【weapon】 ・己の肉体 研鑽された肉体はまさに剣《つるぎ》と呼ぶに相応しい。 ・銃器 主に使用する火器はベレッタM92FS、 レミントンM700 他にはA-10、ブローニングM2重機関銃など 断じて彼自身の趣味ではない。 【能力・技能】 ・諜報活動 ・変装 ・格闘術などなど 【マスターとしての願い】 なし。それが仕事ですから。 【方針】 聖杯の回収 【基本戦術・方針・運用方法】 宝具もなく、完全に素手だけで戦うその常軌を逸す戦闘スタイルと紫電と称される動きに、 間違いなく全てのサーヴァントは翻弄され、驚愕する。 しかしその小細工無しの余りにも正々堂々とした戦い方は聖杯戦争には不向きだ。 宝具がないのでサーヴァント自体は低燃費なことを利用して、 戦法は白兵戦寄りのサーヴァントに喧嘩を仕掛けての消耗戦。またはマスター狙いを主体に戦うという方法。 あくまでも、アサシンは戦いがっているのでサーヴァントとの連戦があり得る。 マスターがサーヴァントの相手を慎重にマッチメイクをする必要がある。 そして相性の悪いサーヴァントの排除が急務だ。 だが、一番のマスターの懸念はアサシンの一番の本命が自分自身だということだ。 そのために弦十郎は令呪を使用。 令呪の命令は〝俺にちょっかいを出すな〟 現在令呪は残り二画。 そして、アサシンに呼応するように風鳴の中のナニカが目を覚ます。 この世の心、技、体。全てが出揃った―― ---------