*黄金の果実、栄光の大樹◆zzpohGTsas もう、何も見えなかった。もう、何も感じられなかった。 子供の頃から過ごして来て、張りぼての威光と権力を誇った企業によって開発されて来た、馴染みのある街並みも。 俺の邪魔をし続け、時には共に戦う事もあり、そして、互いのどちらかが死ぬ事でしか決着の付けられない死闘を演じていた男の顔も。今の俺には、見えずにいた。 最初の方は、痛みがあった。だがそれすらも最早遠かった。自分の身体から、絶対に消え失せてはならない力が、消え失せて行くのを俺は感じていた。 命が、砂を掴み、指と指の間から零れ落ちるように俺の身体から抜け落ちて行くのをハッキリと感じ取っていた。もう、死ぬのだろう。それだけは事実だった 薄紙を通して見るような靄が、消えたり現れたりを繰り返し、明滅していた。 俺の事を抱きかかえるその男は、両の瞳から零れ落ちる涙を堪えていなかった。堪える真似すらしていなかった。感情の赴くままに泣く事を己に許し、許されるままに肩を震わせていた。 「何故泣く?」 オーバーロードは滅んだ、己の研究こそが全てと豪語する愚かな男も俺の手で始末し、そして、この俺自身も死ぬ。 果実、未来、そして『舞』。その全てが、俺を殺した目の前の男は得られると言うのに。子供みたいに、こいつは泣き続けていた。 「泣いていいんだ……!!」 奴は答えた。次の言葉を紡ぐのに、いくばくかの時間が必要だった。 「それが俺の弱さだとしても……拒まない!! 俺は、泣きながら進む!!」 その言葉の意味を理解するのに、今の俺には時間が掛かった。考える事が億劫になる程に、今の俺は限界の状態だった。 だが、間に合った。何とか、奴の言葉を理解する事が出来た。次の言葉が最期の言葉になるだろう。怨み言を言うのは、性に合わない。本当の勝利者には、賛辞を以って送り出してやりたかった。 「お前は……本当に、……強い」 力の入らない手で拳を作り、奴の胸を叩いてやった。 最期の最期で、この男の強さを、俺は解ったような気がした。感情的で、泣きやすく、甘くて、正義感と言う物に振り回され、そして事あるごとに裏切られて。 それでも、この男が挫折し、決意を違えた事など一つとしてなかった。この瞬間まで己を信じ、世界の現実を知りつつも前を見続け、時に強い風が吹いて来ても歩き続けて。 理想とした世界は、殆ど同じだった。目指す為に歩んだ道だけが、決定的に俺達は違った。だがこの男も俺も、理想の世界に向かって歩む為の力は、同じだった。 その理想が正しいと信じ、理想が曇り掛けても折れ掛けても、それでもそれに向かって歩き続ける力。其処だけは、俺もこいつも同じだった。 ならば、俺が負けるのも有り得る話だった、と言う事なのだろう。 視界の端が、夕闇が空を覆って行くように黒く暗くなって行く。視界の闇が、全てを覆い尽くす前に奴何か言葉を送れて良かったと、俺は素直に思う事にした。 葛葉紘汰……俺の目指さなかった、目指す事のなかった理想を選び、それを掴んだ男の姿は、俺の思考と視界の黒に塗りつぶされ、見えず、感じられなくなった。 ――『駆紋戒斗』の一生は、かくの如くに終わりを告げた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「もうおまえたちの正義ごっこにつきあうのはごめんだ……」 ボクは、それが本心で言ってるのか、それとも苦し紛れに口にした言葉なのか、解らなかった。 計画の為、計画の要であり、そして最大の障害にもなり得る者達の本質を見極める為、彼らに混じって行動を共にする、と言う間諜をしていた間は、 ボクにとっては四千年ぶりの、心の底から温かく楽しいと思えた時間だった。姉さまの望んだ世界の為、憎悪してもし足りない人間への復讐の為に動き続けた四千年の時間。 ボクの一生で考えれば、彼らと過ごした時間は、瞬きにも満たない短い時間だった。だけど、楽しかった。四千年ぶりにやって見せる真心からの正義の真似事は、 鉄より硬く鋼よりも堅牢だと信じていたボクの決意を揺るがす程の力があった。 ……それでもボクは、ボクの道を歩んだ。 自分の選ぶ道こそが正しくて、自分の選ぶ道こそが理想であると信じていたから。連中の正義ごっこよりも正しいと、本心から思っていた。 ボクの命、ボクの意思、この二つが今まさに消えかかっていると言う今わの際においてもなお、彼らと過ごしたあの短い時間が無為で無駄だったのかと、今でもボクは悩んでいる。 「さっさと輝石を、壊せ。でないと、デリス・カーラーンは離れていく」 ボクの剣の師匠である男の息子……ボクにとどめを刺した、シルヴァラントの神子の幼馴染だと言う剣士が、驚いた様な反応をした。 「早くしろ!! ボクも、ボクでなくなる……」 この葛藤から、解放されたい。 自分が歩んだ歴史の全て、自分の信じた理想の根幹、それらと彼らを比較しようとする度に、ボクの全てが否定され、崩れて行くような錯覚に陥って行く。 それは、刺されるより、斬られるより、殴られるよりも痛くて苦しいものだった。それに悩まされるぐらいなら、ボクは消え去る事を選ぶ。 彼らの正義ごっこに付き合っていく中で……いや。 ボクの一生で初めて出来たとも言うべき、他愛のない事を話しあえ、冗談を言い合え、同じ悩みと苦しみを共有出来た友達が、止めを刺すように促した。 ジーニアス、と言う名をしたハーフエルフの少年がそう言ったのだ。その名に違わず賢い奴だった。殺さないで、と言わなかったのだから。 やはり、ボクの友達に相応しい奴だったらしい。彼はボクの事を、よく解っていた。 わかった、と言ったのは、神子の幼馴染。ボクの方へとゆっくりと歩を進めて行く。誰も彼もが、彼を止める事はなかった。ボクに下す結末を、待っているようだった。 それを見て、ボクは笑みを零した。もう、こんな微笑みの仕方、出来ないと思っていた。浮かべようにも、忘れていたからだ。 久しぶりの感覚だった。彼らが生まれるよりもずっと昔……英雄などと持て囃されていた時代に浮かべていた笑みを浮かべたのは、いつ以来の事だったろう。 これが、最期の言葉になるだろう。歩み寄って来る敵対者であり……友達でもあった少年、ロイド・アーヴィングに向かって、ボクは口を開いた。 「さよならだ、ボクの影。……ボクが選ばなかった道の、最果てに存在する者」 きっと、彼らはボクの苦悩や味わった苦い過去、挫折を全部理解しているのだろう。 ハーフエルフと言う種に生れ落ち、それ故に味わった苦しみも、人の身でありながら彼らは共有出来ているのだろう。 理解していてなお、ボクの選んだ道が許せなかったからこそ、ボク達はこうして戦い合い、その果てにボクは消滅しようとしている。 「ボクはボクの世界が欲しかった。だからボクは後悔しない。ボクは何度でもこの選択をする」 だがボクは、自分の選択が間違っているとも思ってないし、その選択を勝ち取る為に歩んで来た道筋に対する後悔などもしていない。 ボクは、ボクの思うがままに邪悪を貫き通し、ボクの思うがままの正義を主張し続けた。 十回、百回、千回死んで、その都度生まれ変わっても。ボクは、自分の歩もうとしていた未来が間違いであったなどと、絶対に思わない。 「この選択を、し続ける!!」 それを聞いた瞬間、ロイドは、その手に握る透き通った青い剣身の剣を、中空に浮かぶ輝石に振り落とした。 かん高い音を立てて、クルシスの輝石は砕け散り、その粒子が、彼の回りを衛星のように旋回し続ける。 「ここに……、俺たちの世界に、いてもよかったのに……。バカ野郎……」 ロイドにとって、ボクは、彼の人生のありとあらゆる所に渡って間接的に苦しめて来た元凶だと言うのに、それでも、彼はボクの事を赦すつもりだったらしい。 全く、バカはどっちなのだか。最後の最後まで、呆れるくらいお人好しな奴だと、消滅を続けながらも、ボクはそう思った。 ――『ミトス・ユグドラシル』の一生は、かくの如くに終わりを告げた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「ユグドラシル……か」 その名を、目の前に存在する少年……いや、サーヴァントに告げられた時、戒斗は、釈然としない表情を隠しすらしなかった。 「不満があるのか? ボクのその真名は、嘘じゃない」 そう口にする少年……セイバーのサーヴァント、ミトス・ユグドラシルに戒斗は鋭い目線を向けた。 中性的、女性的な容姿……その言葉はきっと、彼の為に在るのだろう。そう思わずにはいられない程に、女よりも女らしい外見をした少年だった。 白を基調としたゆったりとした服装を身に纏う、胸も薄く、手足もほっそりとした子供の身体つきだ。女物の服を纏えば、同年代の少女とすら見間違えられるだろう。 声を発したその時に、初めて少年だと解るのだが、その声とて、まだ声変わりすら始っていないのではないのかと言う程、幼い。裏声を使えば、女性その物の声が上がるだろう。 「違う。それを疑っているんじゃない。『ユグドラシル』と言う名前の縁からは、こんな世界にまで飛ばされたとて、逃れられんのかと思っただけだ」 「意味が解らないな」 戒斗の言っている事が理解出来ないらしい。その事に対して不服そうな顔を、ミトスは浮かべた。 その容姿。何処となく、戒斗が求めた高司舞が、始まりの女になった時のようだと、戒斗は思う。 何れにしても、男らしい風貌と体格の戒斗とは、何から何まで正反対の少年だった。 纏っている赤と黒を基調としたコートの下に隠れる優れた肉体。幾つもの苦境を己の力のみで乗り越えた事を雄弁に物語るその鋭い瞳。ミトスのそれとは全く違う物であった。 ……だが、戒斗は理解していた。自分がセイバーとして呼び出したこのサーヴァントの瞳と胸中で燃え上がる、恐ろしいまでの意思の燃焼。 それが見えぬ戒斗ではない。ユグドラシル……北欧の神話に語られる宇宙樹であり、戒斗の人生を底にまで叩き落とした企業と同じ名を持つこの少年が。 小突けば骨が折れるような弱弱しいその見た目からは想像も出来ない程の強い意力と決意を持ち、それを有するだけの絶対的な強さを誇る超人(オーバーロード)である事を。 戒斗は、同じ魔人(オーバーロード)として理解しているのだ。無論ミトスとて、自身のマスターであると言うこの男が、ただの人間じゃない事を理解しているのだろうが。 コートの裏地のポケットから、戒斗はあるものを取り出した。 プラスチックのケースに入ったそれは、四種のスートが十三枚、ワイルドカードであるジョーカーが二枚、合計五四枚から成るトランプであった。 数に不足はない。ただ、『元居た世界で、いつの間にかこの五四枚に一枚、余計なものが混じっていた』らしい。 それこそが、麻雀に於ける三元牌の白のような、スートも何も書かれていない白紙のトランプ。 元いた世界でビートライダーズに興じていた時代に持っていたカードの中に、それが混じっていたと言うのだ。 戦闘において大した邪魔にもならないだろうと思い、持ち続けていたのが幸いしたのか、災いしたのか。兎に角、あのトランプを持っていたせいで、戒斗はこんな世界に飛ばされる羽目になったのである。 アメリカ合衆国、スノーフィールド。 知らぬ名だった。元より、主要国の有名な場所は兎も角、細々とした地理など戒斗は知る必要もなかった。 目の前のセイバーに訊ねたとて、このスノーフィールドと言う街が現実世界のアメリカにもあった所なのかなど、解りっこないだろう。 眼前に広がる雄大な、溶岩をその中に内在させているのではと思う程に真っ赤な岩崖が連なる大渓谷を見下ろしながら、面倒な事をする、と戒斗は考えた。 「聖杯、か」 その知識は、戒斗の脳にも刻み込まれている。 彼がNPCとして過ごしていた時間は、一時間にも満たぬ程短い時間だった。 強すぎる違和感は一分経つ毎に指数関数的に強まって行き、最大の閾値を振り切ったその瞬間、戒斗は全てを思い出していた。 そしてその時には、ミトスと名乗るそのサーヴァントは姿を現し、それに付随して此処で何をするべきなのかの知識も彼は知る運びとなった。 荒唐無稽な話だとは戒斗は思わなかった。自分もつい先程まで、葛葉紘汰と似たような物を争っていたのだ。スムーズに、現状を受け入れられた。 「貴様は欲しいか、セイバー?」 「当然だ。ボクの理想……夢を叶えるのに、必要な物だとボクは思っている」 「弱いな」 殺意が、旋風のようにミトスを中心に荒れ狂った。 ただ、敵意を込めて戒斗を睨んだだけ。たったそれだけの取るに足らない動作で、小動物や小虫は愚か、人間ですら気絶させられる程の殺意を放出出来ると言うのは、並大抵の事ではなかった。 「聞き捨てならないな、人間。何を以って、ボクを弱いと言うんだ? ボクの理想や夢を小さいと笑うのなら、マスターであろうともボクは容赦はしない」 「夢と理想を叶えるが為に、己に力を授ける物を得ようとする。それを見下げ果てた訳ではない、況して理想を踏み躙ったと言う訳でもない」 「ならば、何だ」 「己の力で理想を叶えるのではなく、理想を叶えて『くれる』ものに願いを託そうとする、その性根が俺には気に喰わん」 戒斗もまた、戦極ドライバーやゲネシスドライバーなどの力を借りて、己の夢や理想の為に動いていた。 だがそれらの力は、所有者に力を与えてくれはすれど、過程も何も吹き飛ばしてそれらを成就させてくれる便利なアイテムでは断じてなかった。 彼が求めていた、禁断の果実にしてもそれは同じ。あれは所有者に力を与えてはくれるが、其処から先の理想や夢を叶えるのは己自身に掛かっている、と言う物だった。 それを承知で、戒斗も紘汰も果実を求めていたのだ。力を得た後で、どう動き、どう導き、どう創るのか。それこそが、戒斗は重要なのだと頑なに信じていた。 歩むべき道とその距離をゼロにして、いきなり夢を叶えさせてくれる。そんな物、価値などあるとも思えないし、存在を信じてすらいない。 あるかどうかも解らない紛い物に夢を託そうとしているミトスの姿を見て、戒斗は、これが俺の魂に引き寄せられたサーヴァントなのかとある種の落胆すら覚えていた。 「理想を掴む為に、何でもする。泥を啜り、人を殺し、誓いを裏切る。それは、強さじゃないと言いたいのか?」 「唾棄すべき道は何にでもある。逆に問う。貴様にはそれがない程、浅ましいのか?」 「浅ましい獣になる程、ボクは聖杯が欲しいんだよ」 そう口にするミトスの顔と声音は、決然たるものがあった。 意思の強さと、武の強さが最高レベルのそれにまで達しているこの男をこうまで言わせるなど、過去に何があったのだろうか。 ……それはきっと、ミトスの尖った両耳にあるのだろうと、戒斗は踏んでいた。目の前のサーヴァントが、霊体に近しい代物である事を抜きにして、真実本当の人間でない事を、戒斗は理解している。それが、彼を歪ませた原因なのであろう。 「マスター。お前は、聖杯戦争に勝ち残れる自信がない程の腰抜けなのか?」 逆に、ミトスの方が問うて来た。 安い挑発。そうと解っていても、戒斗はこう答えざるを得ない。これを曲げる事は、戒斗と言う男の根幹を曲げると言う事に等しいのだから。 「俺は嘗て、挑まれた勝負に背を向けた事は一つとしてない」 勝負とあらば、戒斗は本気を出す。 ダンスだろうが、サッカーだろうが、アーマードライダーになっての血で血を洗う死闘だろうが。戒斗は未だ嘗て、勝負・戦争と名の付くものから、逃げた事はない。 「聖杯には興味がない。だが、聖杯戦争……これに勝ち残らんが為に俺を狙い、聖杯を欲しいが為に俺に攻撃を仕掛けてくる者について、俺は容赦はしない」 「違うだろう? お前は本当は、心の底ではこの聖杯戦争、負けたくはないと思っているんだろう? 勝ちたいんだろう?」 「お前の目は節穴か? 俺がみすみす、自分でサレンダーを選ぶ男に見えるのか?」 戒斗には、ドロップアウトもサレンダーもない。 選ばれたのであれば、勝つだけだ。結局それは、ミトスの目的の達成の為の懸け橋になる事に等しい行為だろう。 この金髪の少年の決意を折る事など、戒斗には出来ない。ならば、この哀れでみじめなケダモノを操り、聖杯戦争を勝ち残るしかないのである。 「おい、セイバー」 「何だ?」 「曲りなりにも俺の駒になるんだ。それに相応しい運命を持って居なければ、俺は許さんぞ」 「お前如きの駒になった覚えはないんだがな。運命を見せるなんて、それは兎も角どうやってやるんだ?」 「好きな物を一枚獲れ」 其処で戒斗は、今まで握っていた、トランプを収めるプラスチックケースをスナック菓子でも砕くように握力で破壊。 破片ごと、それを空中に放り投げた。桜が舞い散る様にトランプが空中を乱舞、引力に従いカードが落ちて行く。 それを、戒斗が、ミトスが。腕を蛇の如くに動かして、一枚のカードを指に挟み、その後、互いに取ったカードを確認する。 「この絵柄は?」 言ってミトスが、道化師が笛を楽しそうに吹いている絵柄のカードを戒斗に見せた。ジョーカーだ。 「ジョーカーだ。最弱のカードにもなれるし、最強のカードにもなれる。[[ルール]]次第だが、万能性と強さの象徴である」 「ボクの先行きを示すようなカードじゃないか。それで、君の運命はどうなってるんだい? 駆紋戒斗」 その言葉に呼応し、戒斗は、人差し指と中指に挟んだカードを、ミトスに見せた。 彼が手に取っていたカードにもまた――道化師が、愉快そうに笛を吹いている絵がプリントされていた。 「俺の足手まといにはなるなよ、セイバー」 「ボクの足手まといになるなよ、駆紋戒斗」 二人は互いに、示し合わせたように同じタイミングでそう言った。その顔には、不敵そうな笑みが刻み込まれている。 聖杯戦争の本開催から幾日か前、スノーフィールド郊外の大渓谷で行われた、二人の超越者(オーバーロード)のやり取りが、これであった。 【クラス】 セイバー 【真名】 ミトス・ユグドラシル@テイルズオブシンフォニア 【ステータス】 筋力B 耐久A 敏捷A 魔力A+ 幸運E 宝具EX 【属性】 秩序・悪 【クラススキル】 対魔力:A+ A+以下の魔術は全てキャンセル。事実上、魔術ではセイバーに傷をつけられない。 終わる事の知れぬ大戦を停戦に導いた英雄であり、四千年以上もの時を生きて積み重ねた神秘による、セイバーの対魔力のランクは最高クラスである。 騎乗:A+ 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。ただし、竜種は該当しない。 神獣や幻獣とも心を通わせ巧みに乗り回せるだけでなく、近現代の乗り物についての扱いも、セイバーは長けている。 【保有スキル】 鋼鉄の決意:EX 鋼に例えられる、セイバーの不撓不屈の精神。停戦など到底不可能であった古の時代の大戦を、泥水を啜ってでも終わらせてやると言う覚悟を以って終わらせた事実と、 ある目的の為に四千年もの間生き長らえ続け、想いや意思を曲げさせる事なく、摩耗させる事なく生き抜いてきたセイバーのスキルランクは規格外のそれを誇る。 本来ならば同ランクの精神耐性を約束するスキルだが、セイバーはこれに加えてその強固な精神性を己の攻撃にも反映する事が出来、 筋力・魔力が関わる攻撃の威力に大幅な補正を掛けられる他、決意が最大限に高まった時、相手の宝具やスキルによる無敵を突破し、ダメージを与える事が出来る。 心眼(真):A 修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、 その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。 逆転の可能性がゼロではないなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 厳しい剣の修行と、一歩間違えれば死に至るであろう程の死線を幾つも潜り抜けて来た事で、セイバーの心眼は高レベルのそれにまで高められている。 魔術:A+ ハーフエルフと言う出自により、魔術や法術、回復術等を扱えるだけでなく、極めてその技量が高い。空間転移などの高位の技術ですら可能としている。 本来は上記のものに加えて、召喚術と言う、世界の属性や元素、分子すらをも従える高位の精霊達を召喚させる術をも使用出来たのだが、現在は彼らに離反され使用は不可能。 カリスマ:A- 大軍団を指揮する天性の才能。ランクはおおよそ人間として獲得しうる最高峰の人望といえる。 但し、己の本性を知っているか、セイバーと同等の霊格を持つサーヴァントに対しては、そのカリスマ性は大きく落ちる。 【宝具】 『拍動する天使への階段(ハイエクスフィア)』 ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:自身 最大補足:自身 またの名を、クルシスの輝石。セイバーにとってのもう一つの霊核とも言うべき宝具であり、彼の今の強さを約束している宝具。 装備者の身体能力や各種知覚能力、そして魔術の腕前等を格段に向上させるだけでなく、自身を『天使』と言う名前の無機生命体に変化させる性質を秘めた宝具。 この宝具は常時発動されている状態だが、此処から更に、セイバーは背中に光で構成されたような翼を展開させ、これを利用したBランク相当の飛行スキルを発揮させたり、 経年劣化しないと言う無機生命体としての性質と己の力を用いて、肉体年齢を操作させる事が出来、ミトスと言う少年の姿から、二十代前半程の年齢をした、 『ユグドラシル』と言う名前の長身の美青年に姿を変貌させる事も可能。変身は可逆的で、いつでも可能。 これを無力化させられた場合、セイバーの全ステータスはワンランクダウンし、破壊された場合は霊格の瑕疵の大小問わずセイバーは消滅する。 セイバーの強さの根幹ともなっている宝具にも拘らず、無力化させられた時のデメリットが少ないのは、彼の強さがこの宝具が齎す各種能力の上昇だけではない、自前の物による物が大きい。 『天地乖離す開闢の時(エターナルソード)』 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:1000以上 世界の全ての属性や元素を統べる、精霊達の王・オリジンの手によりて創造された、時と空間を操る時空の剣。 オリジンと契約するか、ハーフエルフでなければ振う事は愚か触れる事すら出来ぬ剣であり、事実上今回の聖杯戦争でこれを振う事が出来るのはセイバーのみ。 時と空間を操る事から、この宝具の持ち主は時間に関わるあらゆる不利な現象を無効化させる他、ランク相当の空間の切断現象を発生、 Aランク相当の千里眼を一時的に発揮させる、別次元に隠匿されたサーヴァントや物質を強制的に引きずり出すなどその能力は多岐に渡る。 この宝具のランクのEXは、A+++よりも更に上と言う意味のEXである為、事実上この宝具の剣身或いは発生させた空間切断は、防御不能。 最大出力で宝具を解放する事で、嘗て一つであった世界を、異なる次元を隔てた二つの世界に切り裂き分離させたと言う逸話通りの力を発揮、極大威力の斬撃を見舞う事が可能。 本来ならば時間渡航や時間転移と言う、魔法にも等しい奇跡をも可能とする宝具であるが、聖杯戦争の制限からそれらの能力は使用不可。 またこの宝具は、セイバーが振っていたと言う逸話こそあれど、その真の所有権は彼を打ち倒した『ロイド』と言う英霊にあると言う事実から、この宝具を握っている間は平時以上に魔力を消費すると言うデメリットが発生してしまっている。 彼の英雄王の持つエヌマ・エリシュと同等或いはそれ以上の出力を持つ、本当の意味で“世界を切り裂いた”剣である。 【weapon】 無銘・細剣: エターナルソードは魔力の消費がある為、平時はこの剣を扱う事にしている。特別な逸話はないが、セイバーの技量と合わさる事で、凄まじい凶器と化す。 【人物背景】 嘗てのカーラーン大戦と言われた古代の戦争を終結させた英雄。 ヘイムダール出身のハーフエルフであったが、カーラーン大戦が始まると、 その出生から忌むべき者とされ姉マーテルと共に追放処分を受けた(この世界ではハーフエルフの差別が根強い)。 マナを産み出す大いなる樹である、大樹カーラーンとそのマナの所有権を巡って、シルヴァラント王朝とテセアラ王国の間で行われた大戦。それがカーラーン大戦である。 これを停戦させるべく、テセアラの騎士団長だったクラトスとシルヴァラントの騎士ユアンを仲間に加え奔走。 村に帰る為に姉マーテル、クラトス、ユアンの三人の仲間と共にカーラーン大戦を終結させた。 その後は大戦により大樹カーラーンが朽ち果てようとしている時に地上に残ったマナである種子、「大いなる実り」と、 マナで構成された大彗星、デリス・カーラーンの接近と、それによって齎される発芽まで守ることを使命とした。 大いなる実りから滲み出る僅かなマナだけで世界を存続させる為、オリジンに与えられたエターナルソードを用い世界を二つに分断。 百年周期で近づく彗星デリス・カーラーンが再び地球に近づく百年後を待つために四英雄は天使化した。 だが彗星の接近時、我欲に囚われた二つの大国の指導者達がマナ独占の為に大軍を率いて争いを始めるも、姉の犠牲により、辛くも大いなる実りを守る事が出来た。 しかし姉マーテルを失った事でミトスは激怒、その場にいた人間を消滅させ、大いなる実りと姉マーテルの精神を融合、『天の機関』クルシスを立ち上げ、『シンフォニア』の世界を創り上げる。 その後はクルシスの指導者ユグドラシルとして二つの世界を影から支配しながら、下部組織であるディザイアンを率いてエクスフィアを生成。 無機生命体による千年王国の樹立を目指す。その一方で姉の代わりの肉体としての神子を求めるようになり、四千年間に渡り姉の器となる少女を『世界再生の旅』、 と言う名目で旅立たせるようコントロールした。物語開始の時、つまりヒロインであるコレットの代になり、姉の精神を神子に移す事にようやく成功する。 が、姉マーテルから拒絶を受け発狂したミトスはデリス・カーラーンに大いなる実りごと地上を去ろうとする。そして、ロイド達との最終決戦に、彼は破れた、 彼の在り方は、嘗ての仲間であり同じ戦いを経験したクラトスやユアン達からすらも許容出来た物ではなく、本心では二人はミトスの事を良く思っていなかった。 のみならず、同じハーフエルフやエルフ達からすらも腫物扱いされている事もあったらしく、たった一つの出来事が原因で大きく狂い、狂ったまま未来を歩んだミトスはまさに、堕ちた英雄と呼ばれるに相応しい物であった。 【サーヴァントとしての願い】 姉・マーテルを蘇らせ、自分達の事を差別しない世界で共に過ごすか、その世界を創造する。全生命を無機生命体にする、と言う願いについては考えていない。 【マスター】 駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武 【マスターとしての願い】 特にはない。ただ、負ける事は許されないと思っているので最後まで勝ち残る。 【weapon】 戦極ドライバー: アーマードライダー・バロンに変身するために必要なベルト。イニシャライズ機能があり戒斗以外の人間には使用出来ない。 以下のロックシードを使い、変身する事が可能 『バナナアームズ』 バナナロックシードを使用して変身するバナナの鎧を装備した基本形態。鎧の色は黄色と銀。眼の色は黄色。 兜の両脇にはバナナを模した角が備わる。専用アームズウェポン・バナスピアーを使用する、重装甲とパワーを活かした白兵戦を得意とする。 『マンゴーアームズ』 マンゴーロックシードを使用して変身するマンゴーの鎧を装備した派生形態。鎧の色は赤と山吹色。眼の色は山吹色。 背中にマンゴーの皮を模したマントを装備し、兜の両脇には果肉を模した角が備わる。 バナナアームズ以上にパワーや防御力が強化され、専用アームズウェポン・マンゴパニッシャーを使用する近接格闘戦を得意とする。 【能力・技能】 ロード・バロン: 戒斗がオーバーロードインベスへと進化を遂げた怪人態。上記のアーマードライダーとは別に、この形態にも変身が可能。 仮面ライダー時の姿と、普段から愛用していた赤と黒のコートを混ぜたような意匠で、フェムシンムらとよく似た姿を持つ。 人間態と姿を切り替える事も可能だが、インベスの支配や植物の操作などオーバーロードの例にもれずヘルヘイムを操ることが可能。 が、此度の聖杯戦争はヘルヘイムと何の接点もない所での戦闘である為、インベスの召喚も出来なければ、ヘルヘイムの植物を操る事も不可能。 白兵戦においては両手剣『グロンバリャム』を振るう他、肉体の液状化や結界を貼って攻撃を防ぐなど戦法も多彩。 その実力は一部の例外を除けば事実上最強のアーマードライダーと言うべきデュークを圧倒し、極アームズを纏った紘汰に対しても決して遅れを取らない戦闘力を発揮する。 戒斗はこの形態に変身出来る為か、他のマスターとは一線を画した量の魔力を内包しているが、この形態に変身して戦うとなれば話は別。 元の世界では自由に変身する事も出来たが、この世界では常時変身していると魔力の消費が発生。 戦極ドライバーを用いたアーマードライダーの変身では魔力を消費する事がない為、使い分けが求められる。 【人物背景】 嘗て世界的大企業、ユグドラシルに両親が営業していた町工場を買収され、潰されたと言う苦い過去を持った青年。 その時の悔しさをバネに、後述する両親の件から社会に強い反骨心を抱き始め、『弱者が一方的に虐げられる世界』として既存の社会の否定。ひいてはその破壊と新世界の創造を目指すようになる。 無愛想で威圧的な性格の持ち主で、どんな苦境であっても屈する事のない強靭な精神力を持つ。 自らの中にある『強さ』と『弱さ』という哲学に従って行動し、『強者』と認めたものであればたとえ自分と考えを違えるものであっても強く評価して力を貸し、 逆に『弱者』であるなら強い嫌悪感を露わにして接する。この強弱は社会的権力を度外視したもので、『優しさ』や『屈しないこと』を『強さ』。 『偽り』や『卑怯』を『弱さ』としており、また優しさと同居できない力に対しても怒りを示す。 ライバルである葛葉紘汰との最後の決戦、46話の終了後の世界から参戦。 【方針】 敵は叩くが、当分は様子見。