B-06:「小倉百人一首」とその詠み人一覧


※藤原定家(ふじわら・の・ていか)が小倉山の山荘で選んだといわれる。

■序歌
◇難波津に さくやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花
○出典:古今和歌集
○メモ:小倉百人一首競技の最初に、決まって読まれる序歌。 「安積香山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を わが思はなくに」 とともに「歌の父母」といわれる。
◇王仁(わに[わんいん])

■第1首
◇秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ
○出典:後撰和歌集
◇天智天皇(てんじてんのう)
○メモ:第38代天皇

■第2首
◇春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
○出典:新古今和歌集
○メモ:〔枕詞〕「白妙の」→「衣」
◇持統天皇(じとうてんのう)
○メモ:唯一の女性天皇(第41代天皇)。女性歌人。

■第3首
◇あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
○出典:拾遺和歌集
◇柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
○メモ:「和歌の神様」「歌聖」と呼ばれた。三十六歌仙の一人。

■第4首
◇田子の浦に うちいでて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪はふりつつ
○出典:新古今和歌集
○メモ:〔枕詞〕「白妙の」→「雪」
◇山部赤人(やまべのあかひと)
○メモ:三十六歌仙の一人。

■第5首
◇奥山に もみぢふみわけ なく鹿の 声聞く時ぞ 秋はかなしき
○出典:古今和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇猿丸大夫(さるまるだゆう)
○メモ:三十六歌仙の一人。

■第6首
◇かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きをみれば 夜ぞふけにける
○出典:新古今和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇中納言家持(ちゅうなごんやかもち)
○別名:大伴家持 (おおとも・の・やかもち)
○メモ:「歌仙」と呼ばれた。三十六歌仙の一人。

■第7首
◇天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも
○出典:古今和歌集
○メモ:唯一外国で詠まれた歌。
◇阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)

■第8首
◇わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり
○出典:古今和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇喜撰法師(きせんほうし)
○メモ:六歌仙の一人。僧侶。

■第9首
◇花の色は うつりにけりな いたづらに わが身よにふる ながめせしまに
○出典:古今和歌集
◇小野小町(おののこまち)
○メモ:六歌仙唯一の女性。六歌仙の一人/三十六歌仙の一人。女性歌人。

■第10首
◇これやこの 行くも帰るも わかれては しるもしらぬも あふさかの関
○出典:後撰和歌集
○メモ:唯一濁点の全くない歌。
◇蝉丸(せみまる)

■第11首
◇わたの原 八十島かけて こぎいでぬと 人にはつげよ あまのつり舟
○出典:古今和歌集
○メモ:六字決まり。
◇参議篁(さんぎたかむら)
○別名:小野篁 (おの・の・たかむら)
○メモ:小野小町の祖父。

■第12首
◇天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
○出典:古今和歌集
◇僧正遍昭(そうじょうへんじょう)
○メモ:六歌仙の一人/三十六歌仙の一人。僧侶。

■第13首
◇つくばねの 峰よりおつる みなの川 恋いぞつもりて 淵となりぬる
○出典:後撰和歌集
○メモ:横綱・男女ノ川のしこ名の由来。〔係結〕ぞ
◇陽成院(ようぜいいん)
○メモ:第57代天皇。

■第14首
◇みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆえに みだれそめにし われならなくに
○出典:古今和歌集
◇河原左大臣(かわらのさだいじん)

■第15首
◇君がため 春の野にいでて 若菜つむ わが衣手 に 雪はふりつつ
○出典:古今和歌集
○メモ:六字決まり。
◇光孝天皇(こうこうてんのう)
○メモ:第58代天皇。

■第16首
◇立ちわかれ いなばの山の 峰に生ふる 松とし聞かば いまかへりこむ
○出典:古今和歌集
○メモ:唯一「別れ」を詠った歌。猫が戻ってくるおまじないにも。
◇中納言行平(ちゅうなごんゆきひら)
○別名:在原行平 (ありわら・の・ゆきひら)

■第17首
◇ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれないに 水くくるとは
○出典:古今和歌集
○メモ:落語『千早振る』の元ネタ。
◇在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)
○メモ:平城天皇(第51代天皇)の孫。三十六歌仙の一人。

■第18首
◇住の江の 岸による波 よるさへや 夢のかよひ路 人目よくらむ
○出典:古今和歌集
○メモ:一字決まり。
◇藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)
○メモ:三十六歌仙の一人。

■第19首
◇難波潟 みじかき蘆の ふしのまも あはでこの世を すぐしてよとや
○出典:新古今和歌集
◇伊勢(いせ)
○メモ:中務の母。三十六歌仙の一人。女性歌人。

■第20首
◇わびぬれば いまはたおなじ 難波なる 身をつくしても あはむとぞ思ふ
○出典:後撰和歌集
○メモ:五十音順最後の歌。〔係結〕ぞ
◇元良親王(もとよししんのう)
○メモ:陽成天皇(第57代天皇)の第一皇子。

■第21首
◇今こむと いひしばかりに 長月の 有明の月を まちいでつるかな
○出典:古今和歌集
◇素性法師(そせいほうし)
○メモ:僧正遍照の子。三十六歌仙の一人。僧侶。

■第22首
◇吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ
○出典:古今和歌集
○メモ:一字決まり。
◇文屋康秀(ふんやのやすひで)
○メモ:六歌仙の一人。

■第23首
◇月みれば ちぢに物こそ かなしけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど
○出典:古今和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇大江千里(おおえのちさと)

■第24首
◇このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢのにしき 神のまにまに
○出典:古今和歌集
◇菅家(かんげ)
○別名:菅原道真 (すがわら・の・みちざね)

■第25首
◇名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人にしられで 来るよしもがな
○出典:後撰和歌集
◇三条右大臣(さんじょうのうだいじん)

■第26首
◇小倉山 峰のもみぢは 心あらば いまひとたびの みゆきまたなむ
○出典:拾遺和歌集
◇貞信公(ていしんこう)
○別名:藤原忠平 (ふじわら・の・ただひら)

■第27首
◇みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ
○出典:新古今和歌集
◇中納言兼輔(ちゅうなごんかねすけ)
○別名:藤原兼輔 (ふじわら・の・かねすけ)
○メモ:三十六歌仙の一人。

■第28首
◇山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人めも草も かれぬと思へば
○出典:古今和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)
○メモ:光孝天皇(第58代天皇)の孫。三十六歌仙の一人。

■第29首
◇心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花
○出典:古今和歌集
◇凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
○メモ:『古今集』の撰者の一人。三十六歌仙の一人。

■第30首
◇有明の つれなく見えし 別れより あかつきばかり うきものはなし
○出典:古今和歌集
◇壬生忠岑(みぶのただみね)
○メモ:『古今集』の撰者の一人。三十六歌仙の一人。

■第31首
◇朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に ふれる白雪
○出典:古今和歌集
○メモ:六字決まり。
◇坂上是則(さかのうえのこれのり)
○メモ:坂上田村麻呂の子孫。三十六歌仙の一人。

■第32首
◇山川に 風のかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり
○出典:古今和歌集
◇春道列樹(はるみちのつらき)

■第33首
◇ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花のちるらむ
○出典:古今和歌集
◇紀友則(きのとものり)
○メモ:『古今集』の撰者の一人。三十六歌仙の一人。

■第34首
◇誰をかも しる人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに
○出典:古今和歌集
◇藤原興風(ふじわらのおきかぜ)
○メモ:三十六歌仙の一人。

■第35首
◇人はいさ 心もしらず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける
○出典:古今和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇紀貫之(きのつらゆき)
○メモ:『古今集』の撰者の一人。『土佐日記』の作者。三十六歌仙の一人。

■第36首
◇夏の夜は まだ宵ながら あけぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ
○出典:古今和歌集
◇清原深養父(きよはらのふかやぶ)

■第37首
◇白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
○出典:後撰和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇文屋朝康(ふんやのあさやす)

■第38首
◇忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人のいのちの 惜しくもあるかな
○出典:拾遺和歌集
◇右近(うこん)

■第39首
◇浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき
○出典:後撰和歌集
◇参議等(さんぎひとし)
○別名:源等

■第40首
◇しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人のとふまで
○出典:拾遺和歌集
◇平兼盛(たいらのかねもり)
○メモ:三十六歌仙の一人。

■第41首
◇恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人しれずこそ 思ひそめしか
○出典:拾遺和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇壬生忠見(みぶのただみ)
○メモ:壬生忠岑の子。三十六歌仙の一人。

■第42首
◇ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは
○出典:後拾遺和歌集
◇清原元輔(きよはらのもとすけ)
○メモ:清少納言の父。梨壺の五人。三十六歌仙の一人。

■第43首
◇あひみての のちの心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり
○出典:拾遺和歌集
◇権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ)
○別名:藤原敦忠 (ふじわら・の・あつただ)
○メモ:藤原時平の子。三十六歌仙の一人。

■第44首
◇あふことの たえてしなくば なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
○出典:拾遺和歌集
◇中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ)
○別名:藤原朝忠 (ふじわら・の・あさただ)
○メモ:三十六歌仙の一人。

■第45首
◇あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな
○出典:拾遺和歌集
◇謙徳公(けんとくこう)
○別名:藤原伊尹 (ふじわら・の・これただ)

■第46首
◇由良のとを わたる舟人 かぢをたえ ゆくへも知らぬ 恋の道かな
○出典:新古今和歌集
◇曽禰好忠(そねよしただ)

■第47首
◇八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり
○出典:拾遺和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇恵慶法師(えぎょうほうし)
○メモ:僧侶。

■第48首
◇風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな
○出典:詞花和歌集
◇源重之(みなもとのしげゆき)
○メモ:三十六歌仙の一人。

■第49首
◇みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえて 昼は消えつつ 物をこそ思へ
○出典:詞花和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇大中臣能宣朝臣 (おおなかとみのよしのぶあそん)
○メモ:梨壺の五人。三十六歌仙の一人。

■第50首
◇君がため 惜しからざりし いのちさへ 長くもがなと 思ひけるかな
○出典:後拾遺和歌集
○メモ:六字決まり。
◇藤原義孝(ふじわらよしたか)

■第51首
◇かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしもしらじな もゆる思ひを
○出典:後拾遺和歌集
◇藤原実方朝臣(ふじわらさねかたあそん)

■第52首
◇あけぬれば 暮るるものとは しりながら なほうらめしき 朝ぼらけかな
○出典:後拾遺和歌集
◇藤原道信朝臣(ふじわらみちのぶあそん)

■第53首
◇なげきつつ ひとりぬる夜の あくるまは いかに久しき ものとかはしる
○出典:拾遺和歌集
◇右大将道綱母(うだいしょうみちつなのはは)
○別名:藤原道綱母 (ふじわら・の・みちつな・の・はは)
○メモ:『蜻蛉日記』の作者。女性歌人。

■第54首
◇忘れじの ゆくすえまでは かたければ 今日をかぎりの いのちともがな
○出典:新古今和歌集
◇儀同三司母(ぎどうさんしのはは)
○メモ:女性歌人。

■第55首
◇滝の音は たえて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞えけれ
○出典:拾遺和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇大納言公任(だいなごんきんとう)
○別名:藤原公任 (ふじわら・の・きんとう)
○メモ:三十六歌仙の撰者とも言われる。

■第56首
◇あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの あふこともがな
○出典:後拾遺和歌集
◇和泉式部(いずみしきぶ)
○メモ:女性歌人。

■第57首
◇めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな
○出典:新古今和歌集
○メモ:一字決まり。
◇紫式部(むらさきしきぶ)
○メモ:『源氏物語』の作者。女性歌人。

■第58首
◇ありま山 いなの笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする
○出典:後拾遺和歌集
◇大弐三位(だいにのさんみ)
○メモ:紫式部の娘。女性歌人。

■第59首
◇やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな
○出典:後拾遺和歌集
◇赤染衛門(あかぞめえもん)
○メモ:『栄華物語』の作者とも言われる。女性歌人。

■第60首
◇大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立
○出典:金葉和歌集
◇小式部内侍(こしきぶのないし)
○メモ:和泉式部の娘。女性歌人。

■第61首
◇いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな
○出典:詞花和歌集
◇伊勢大輔(いせのたゆう)
○メモ:女性歌人。

■第62首
◇夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ
○出典:後拾遺和歌集
◇清少納言(せいしょうなごん)
○メモ:『枕草子』の著者。女性歌人。

■第63首
◇いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな
○出典:後拾遺和歌集
◇左京大夫道雅(さきょうのだいぶみちまさ)

■第64首
◇朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木
○出典:千載和歌集
○メモ:六字決まり。
◇権中納言定頼(ごんちゅうなごんさだより)
○別名:藤原定頼 (ふじわら・の・さだより)

■第65首
◇うらみわび ほさぬ袖だに あるものを 恋にくちなむ 名こそをしけれ
○出典:後拾遺和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇相模(さがみ)
○メモ:女性歌人。

■第66首
◇もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに しる人もなし
○出典:金葉和歌集
◇前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん)
○メモ:僧侶。

■第67首
◇春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなくたたむ 名こそをしけれ
○出典:千載和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇周防内侍(すおうのないし)
○メモ:女性歌人。

■第68首
◇心にも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな
○出典:後拾遺和歌集
◇三条院(さんじょういん)
○メモ:第67代天皇。

■第69首
◇あらし吹くみ 室の山の もみぢばは 竜田の川の 錦なりけり
○出典:後拾遺和歌集
◇能因法師(のういんほうし)
○メモ:僧侶。

■第70首
◇さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくもおなじ 秋の夕ぐれ
○出典:後拾遺和歌集
○メモ:一字決まり。
◇良暹法師(りょうせんほうし)
○メモ:僧侶。

■第71首
◇夕されば 門田の稲葉 おとづれて 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く
○出典:金葉和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇大納言経信(だいなごんつねのぶ)
○別名:源経信 (みなもと・の・つねのぶ)

■第72首
◇音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ
○出典:金葉和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇祐子内親王家紀伊(ゆうしないしんのううけのきい)
○メモ:女性歌人。

■第73首
◇高砂の をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ
○出典:後拾遺和歌集
◇前権中納言匡房(さきのごんちゅうなごんまさふさ)

■第74首
◇憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを
○出典:千載和歌集
◇源俊頼朝臣(みなもとのとしよりあそん)
○メモ:『金葉和歌集』の撰者。

■第75首
◇ちぎりおき しさせもが露を いのちにて あはれ今年の 秋もいぬめり
○出典:千載和歌集
◇藤原基俊(ふじわらのもととし)

■第76首
◇わたの原 こぎいでてみれば 久方の 雲いにまがふ 沖つ白波
○出典:詞花和歌集
○メモ:六字決まり。
◇法性寺入道前関白太政大臣 (ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん)

■第77首
◇瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ
○出典:詞花和歌集
○メモ:一字決まり。落語『崇徳院』の元ネタ。〔係結〕ぞ
◇崇徳院(すとくいん)
○メモ:第75代天皇。

■第78首
◇淡路島 かよふ千鳥の なく声に 幾夜ねざめぬ 須磨の関守
○出典:金葉和歌集
○メモ:淡島千景の芸名の由来。
◇源兼昌(みなもとのかねまさ)

■第79首
◇秋風に たなびく雲の たえ間より もれいづる月の 影のさやけさ
○出典:新古今和歌集
○メモ:五十音順最初の歌。
◇左京大夫顕輔(さきょうだいぶあきすけ)

■第80首
◇長からむ 心もしらず 黒髪の みだれてけさは ものをこそ思へ
○出典:千載和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇待賢門院堀河(たいけんもんいんほりかわ)
○別名:藤原璋子 (ふじわら・の・しょうし)
○メモ:女性歌人。

■第81首
◇ほととぎす 鳴きつる方を ながれむれば ただありあけの 月ぞ残れる
○出典:千載和歌集
○メモ:一字決まり。〔係結〕ぞ
◇後徳大寺左大臣(ごとくだいじさだいじん)

■第82首
◇思ひわび さてもいのちは あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり
○出典:千載和歌集
◇道因法師(どういんほうし)
○メモ:僧侶。

■第83首
◇世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
○出典:千載和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ,〔係結〕こそ
◇皇太后宮大夫俊成 (こうたいごうぐうのだいぶしゅんぜい)
○別名:藤原俊成 (ふじわら・の・しゅんぜい)

■第84首
◇ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき
○出典:新古今和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん)

■第85首
◇夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり
○出典:千載和歌集
◇俊恵法師(しゅんえほうし)
○メモ:僧侶。

■第86首
◇なげけとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな
○出典:千載和歌集
◇西行法師(さいぎょうほうし)
○メモ:僧侶。

■第87首
◇村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕ぐれ
○出典:新古今和歌集
○メモ:一字決まり。
◇寂蓮法師(じゃくれんほうし)
○メモ:僧侶。

■第88首
◇難波江の 蘆のかりねの ひとよゆえ みをつくしてや 恋ひわたるべき
○出典:千載和歌集
◇皇嘉門院別当(こうかもんいんのべつとう)
○メモ:女性歌人。

■第89首
◇玉の緒よ たえなばたえね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする
○出典:新古今和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇式子内親王(しきしないしんのう)
○メモ:女性歌人。

■第90首
◇見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず
○出典:千載和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇殷富門院大輔(いんぶもんいんのたいふ)

■第91首
◇きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む
○出典:新古今和歌集
◇後京極摂政前太政大臣 (ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん)

■第92首
◇わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の 人こそしらね かわくまもなし
○出典:千載和歌集
○メモ:〔係結〕こそ
◇二条院讃岐(にじょういんのさぬき)
○メモ:源頼政の娘。女性歌人。

■第93首
◇世の中は つねにもがもな なぎさこぐ あまの小舟の 綱手かなしも
○出典:新勅撰和歌集
◇鎌倉右大臣(かまくらうだいじん)
○別名:源実朝 (みなもと・の・さねとも)
○メモ:唯一の征夷大将軍。

■第94首
◇み吉野の 山の秋風さ 夜ふけて ふるさと寒く 衣うつなり
○出典:新古今和歌集
◇参議雅経(さんぎまさつね)
○別名:藤原雅経 (ふじわら・の・まさつね)

■第95首
◇おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に 墨染の袖
○出典:千載和歌集
◇前大僧正慈円(さきのだいそうじょうじえん)
○メモ:『愚管抄』の作者。僧侶。

■第96首
◇花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり
○出典:新勅撰和歌集
◇入道前太政大臣 (にゅうどうさきのだいじょうだいじん)
○別名:藤原公経

■第97首
◇こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くやもしほの 身もこがれつつ
○出典:新勅撰和歌集
◇権中納言定家(ごんちゅうなごんていか)
○別名:藤原定家 (ふじわら・の・ていか)
○メモ:『小倉百人一首』の選者と言われる。

■第98首
◇風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは みそぎぞ夏の しるしなりける
○出典:新勅撰和歌集
○メモ:〔係結〕ぞ
◇従二位家隆(じゅうにいいえたか)
○別名:藤原家隆 (ふじわら・の・いえたか)

■第99首
◇人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆえに 物思ふ身は
○出典:続後撰和歌集
◇後鳥羽院(ごとばいん)
○メモ:第82代天皇。

■第100首
◇ももしきや ふるき軒ばの しのぶにも なほあまりある 昔なりけり
○出典:続後撰和歌集
◇順徳院(じゅんとくいん)
○メモ:第84代天皇。
最終更新:2016年07月27日 14:50