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「はぁ…」
今夜もまるで寝付けない。ここ最近、毎晩だ。遅くまで眠れずに考えて考えて、考え疲れて明け方に眠りにつく。

考えるのは隣の部屋で眠る女の子のことだ。
彼女のことを思うと、それだけで心も身体も熱くなる。
ダメだよ。せつなは女の子なんだよ。好きになっちゃダメなんだもん。
でも、せつなを思い出すと、脚のあいだが熱い。なんだか、変な気分…。

熱さの正体が知りたくて、そっと下着の中に手を伸ばし、中心に触れる。
とろん…。
な、に?なんで?あたしってばおしっこ漏らしちゃった?
少し焦ったけど、しばらく弄っているとわかってきた。ううん、おしっこなんかじゃない。
前に美希ちゃんに聞いたことがあるアレだ。

「気持ちいいと、女の子はアソコからジュースが出るの。ラブジュースって言うのよ。好きなひととエッチなことして気持ちよくなったら出るのよ」

だけど、今のあたしは?
せつなのことを思ったのだけなのに。
きっと、あたしってすんごくエッチな悪いコなんだ。
せつなを思ってアソコからジュースを出してる。
せつなに触ってほしくて、せつなに触れたくて。

「ふ…ぁあ…」
罪悪感と快感の中に漂いながら、彼女の名前を呼ぶ。
「せ、つ、な…」

その光景を、ドアの隙間から微動だにもせず覗き見るのは、黒髪の少女。
眠れない夜は隣の部屋へ忍んでいき、大好きな少女の寝顔を見るのが日課となっていた。
それが一体どうしたことだろう。これは現実なの?目の当たりにしていながら信じられない。
恋しい少女がひとり遊びに耽りながら、自分の名を呼び果てようとしている。

ラブ…あんなに乱れて…。そんなに思ってくれていたなんて。
わたし、精一杯あなたの心に答えるわ。

いつもドアの隙間から寝顔を見るだけで満足だった。
だから、部屋の中に入るなんて考えたこともなかった。
ラブ、待ってて。今わたしもいくから。

強い決意に支えられて、せつなは一歩前に歩き出した。
最終更新:2009年09月26日 12:24