四人仲良く笑っていられる事
みんなの笑顔はあたしのオアシス
だけど、これっていつまで続けられるのかな。
来年はみんな受験で忙しくなる。
美希たんはどうするんだろう。
ブッキーはどうするんだろう。
せつなはどうするんだろう。
自分の事より、友達の事ばかり気にしてる。
せつなが加わってからのダンスレッスンは今まで以上に楽しい。
美希たんやブッキーも以前と比べ物にならないぐらい輝いてる。
ミユキさんの教えは厳しいけど、終わった後の清清しさは癖になるほどで。
でも、明日はこれが出来るかな?明後日は?来月は?
来年・・・
不安で何度も押し潰されそうになる。一人でいるのが怖い。
こんな事みんなに相談しても〝わからない〟って言われるだろうし。
一人が本当に怖くなる。
「寂しいよ」
あたしの暗い顔なんて誰にも見せたくない。そんなのあたしらしくないから。
そんな時、あたしの心を癒してくれる場所がココ。四葉町が見渡せる丘。
いつでもあたしを快く出迎えてくれる。
目を閉じて横になると自然に落ち着けるんだ。心が安らぐ瞬間を感じれる。
いつしか眠ってしまったあたしに誰かが声をかける。聞き覚えのある声だ。
「やっぱりここにいたんだね。。」
「ブッキー・・・」
「最近ここがお気に入りなの?」
「バレてたんだ・・・。理由なんて無いよ。何となく・・・、何となくね。」
あたしがここに来てる事を知ってた驚きと、気持ちを悟られたくない葛藤で
返す言葉に気持ちが入らなかった。
「隣座ってもいいかな?」
「うん。」
「元気ないよ。ラブちゃんらしくない。」
「そんな事ないよ。考え事してただけ。」
「そうかなぁ?だったらラブちゃん笑ってるはずだよ?」
ブッキーはそう言うと私の顔を覗き込む。天使のような可愛い顔して。
「ブッキーに嘘はつけないかな、やっぱ。」
「どうしたの?誰かとケンカしちゃったの?
私ね、ラブちゃんの事ずっと心配してたんだよ。」
「寂しくなっちゃって。あたしね、みんなともっともっと一緒にいたいんだ・・・。」
情けなかった。相談してる内容が子供のワガママみたいになっちゃって。
8月にしては涼しい風が私たちを横を通り過ぎた。
するとブッキーが口を開く。
「私、ラブちゃんの役に立ちたい。ラブちゃんのために何か出来ると思う・・・。
元気になってくれるって信じてる!」
天使の声、その物だった。ブッキーの優しさがこんなに有難いと思ったのは初めてかもしれない。
「不安なんだ・・・。あたしは4人でいる事がホント幸せ。でもこれがね、いつまで続けられるんだろって。」
正直、ブッキーにもわからなかったはずで。難しい悩みだったと思う。ましてあたしたちはまだ14年しか生きてないのだから。
「私も不安だよ。ラブちゃんと一緒。美希ちゃんやせつなちゃんも一緒だと思う。だけどね・・・」
「だけど?」
「一人で悩むより・・・、相談して欲しかった。ずっと気になってたんだよ?ずっとラブちゃん
の事見てた・・・。本当は私から声かけるべきだったよね・・・。ごめんなさい・・・。」
「ううん。ありがとブッキー。心配してくれてただけでも嬉しいよ。」
「私、これじゃ何の役にも立ってないよね。ラブちゃんが苦しんでるのに・・・。私には何も出来やしない・・・。」
ブッキーは泣いていた。美希たんやせつなと比べてしまったのだろう、ブッキー自身を。
悪い事をしたなって今でも反省してる。
「私ね、ラブちゃんの事が好き。ラブちゃんの笑顔も。踊ってる姿も。ラブちゃん全部が大好き。
あ、それとね・・・。私をここまでにしてくれたのはラブちゃんなんだよ?」
「え?」
確かに。幼い頃からのブッキーを知っていれば驚く程、感情豊かに成長していた。
「あたしの力だけじゃないよ。あたしたちには美希たんがいて、せつなもいてくれたからだよ。
それと、変わりたい!って信じ続けたブッキーの力がイチバン!」
いつの間にやらあたしよりブッキーを気にしちゃってる自分がいて。相変わらずの自分に思わず笑ってしまい。
「さ、帰ろう。あっ!ドーナツ食べいこっか!美希たんやせつなも誘っちゃおう!」
そう言ってブッキーの手を引っ張る。
「キャッ」
勢いあまって重なる二人。
「ラブちゃん・・・。」
「ん?」
「本当に好きなんだよ?4人でいる時も1人でいる時も、ずっと・・・」
「言ってくれるね~」
そっと涙を指で払ってあげる。
「愛してる、ラブちゃん。」
「ほんとに~?」
「うん。」
「絶対~?」
「恥ずかしいよぉ・・・」
「神様に誓う~?」
「もぅヤダぁ・・・。」
「あたしもだよ、ブッキー」
ブッキーの愛してるは甘酸っぱくて。
今日より明日、明日より明後日、またみんなで輝いて行こうね。
~END~
最終更新:2009年10月04日 22:21