「ねぇ、ラブ。あの子たち、何やってるの?」
学校からの帰り道。せつなが不思議そうに、道行く子供たちを見やる。言われて振り返ったラブは、数人の小さな女の子たちがキャーキャーと笑い合っているのを見て、ああ、と笑顔で頷いた。
「あれはね、しりとり、っていう遊びだよ。」
「しりとり?」
「そう。何か言葉を言って、その言葉の最後の音から始まる言葉を続ける遊び。例えば、あたしが『くも』って言ったら、せつなは『も』から始まる言葉、例えば『もり』って言って、次にあたしが『り』で始まる言葉、例えば『りんご』って言う、っていう感じ。」
「へぇ。面白そうね。」
「試しにやってみる?あ、言っとくけど、『ん』で終わる言葉を言ったら負けだからね。それと、同じ言葉を二回言うのもダメだよ。じゃあ、あたしから行くよ?まずは・・・あき。」
「じゃあ私は『き』から始まる言葉を言うのね?じゃあ・・・きいろ。」
「ろうそく。」
「くるま。」
「まくら。」
「ラブ。」
「ん?」
「だから・・・ラブ。」
「???」
「あの・・・『ら』から始まる言葉だから・・・。」
「わはー、そっか!うーん、人の名前ってオッケーなのかなぁ。ま、まぁいいや、人の名前でもオッケーにしちゃおう!えーと、じゃあ『ぶ』からだから・・・ぶどう。」
「うし。」
「しるし。」
「しあわせ。」
「せつな!」
「なぁに?」
「えへへ。あたしもお返し。『せ』から始まるから、せつな、だよっ。」
「ふふっ。だから、『な』から始まるから、なぁに?って言ったでしょ。」
小首をかしげて嬉しそうに笑うせつなに、ラブの頬がうっすらと赤く染まる。
(せつなったら、そんなの反則・・・っていうか、その笑顔が反則だよぉ。か、可愛いすぎる!)
「あはは~、そ、そっか!じゃあ、次は『に』だね。に・・・に・・・あれ?ダメだ、ニンジンしか浮かんでこないよぉ。」
いつの間にか、二人は家の玄関の前に立ち止まっていた。玄関でその様子を見ていたタルトが、呆れたように声をかける。
「ピーチはん。今のあんさん、まさに『に』で始まる顔してまっせ~。」
「何よ、タルト。」
「そんなにデレデレして~。まさに、『にやけ顔』やがな。」
お後がよろしいようで。
最終更新:2011年10月09日 00:00