暗い天井が、目に入った。
体を起こして、まわりを見渡す。
床にあるのは、布団だけ。
横で眠っているブッキーを起こさないように、
そっとベッドを降り、部屋を出る。
クリスマスパーティで、夜遅くまで
おしゃべりにふけっていたアタシたちは、
もう遅いからと、みんなで泊まることにした。
ラブの部屋を、使わせてもらった。
アタシとブッキーが、ベッド。
ラブとせつなが、床に布団を敷いて。
一緒に、眠ったはずだった。
廊下に出る。
かすかに、隣の部屋から
声が聞こえる。
久しぶりに、せつなが
帰ってきたんだもんね。
まだ、おしゃべりが
足りないみたい。
ドアが、少しだけ
開いている。
そっと覗いてみる。
そこから、
動けなくなった。
かすかに聞こえていたのは、
確かに、ラブとせつなの声。
夜目に慣れてきた。
ベッドの脇に、乱暴に脱ぎ捨てられた
ふたりのパジャマ。
仰向けになったせつなに、
ラブが反対向きに覆い被さっている。
お互いの、脚の間に
顔を埋めている。
何?
嘘でしょ...?
吐息。
押し殺したような呻き。
ぼんやりと差し込む月明かりが、
やけにまぶしく思えてきた。
部屋の中に立ちこめる熱気で
窓ガラスが、すっかり曇っている。
短く、甲高い声が
吐息に混じる。
せつなの脚が、悦びに震えるかのように
細かく跳ねる。
せつなも、同じようにしているのだろう。
ラブの腰も、時々嬉しそうに跳ねる。
ラブが頭を上げ、
アタシは思わず体を隠した。
息を殺す。
心臓が、体から
飛び出てしまいそう。
しばらく、じっと床を
見つめていた。
唇を吸い合う音が聞こえ、
視線を戻す。
向かい合ったふたりが、
くすくすと笑っている。
口づけを交わしながら。
舌を絡ませながら。
悦びに尖った胸の先端を、
指で転がし合いながら。
普段のふたりからは、
想像できない、乱れた姿。
いつも、してるの...?
体が、熱くなる。
ふたりの手が、お互いの
脚の間に、ゆっくりと降りる。
受け入れるかのように、
ふたりの脚も、大きく開く。
くぐもったような声が聞こえ、
ふたりの腰が、大きくわなないた。
何が起こったのか、わかった。
アタシの中で、激しくあふれる
感覚がある。
艶めかしく動く、ふたりの手。
唇を吸い合う音。
中を、かき回す音。
吐息に混じる、悦びの声。
お互いを呼び合う、かすかな声。
シーツが擦れる音が
大きくなる。
ふたりの腰が、不自然に
跳ね始めている。
夢中で、激しく唇を重ねている。
「...!」
精一杯、押し殺した声。
ふたりの腰が、激しく跳ねる。
ベッドがきしむ音。
ふたりの荒い息づかいが、
部屋に響いている。
ふらふらと、部屋に戻った。
頭が、混乱している。
多分、朝になったら
何事もなかったように、普通の
仲良しさんに戻っているのだろう。
アタシは、ふたりと普通に
接することが出来るだろうか。
そうよ。
アタシは、夢を見ているのよ。
すごく、変な夢。
言い聞かせながら、
ベッドにもぐり込む。
考えないようにすれば
するほど、火照る体。
ダメよ。
アタシは、
完璧にコントロール出来るんだから。
言葉とは裏腹に、
アタシの手は下に伸びる。
あのふたり、
幸せそうだったな。
アタシも...
触れる。
快感が頭の先まで
突き抜ける。
隣で眠っているブッキーに
気づかれないように。
気づくように。
最終更新:2011年12月27日 00:35