私の幸せ?
ラブは不思議なものに拘るのね。
ラブとめぐり合い、美希と出会い、祈里と出会った。
桃園家に家族として迎えられ、商店街の人達も良くしてくれる。
これ以上、まだ幸せになれっていうの? これ以上、まだ幸せになれるっていうの?
私は、そんなに欲張るつもりはないわ。ラブにとっては当たり前のことでも、私には新鮮なのだから。今までは、触れることさえ出来なかったのだから。こんな、幸せなことはないわ。
夢を見られるの、希望を抱けるの、人の為に祈ることが出来るの、幸せを感じることが出来るの。
幸せになる為の努力が出来る、涙を流すことを許される。一緒にいて楽しいと思える、素晴らしい仲間がいる。
「難しいわよ」
これ以上の幸せなんて、私には想像出来ない。
みんなといて、明日が来ることを無邪気に喜べて、勉強で悩んだりできる。
夕食を楽しみにして、自分の部屋があることに感謝して、おやすみと言ってもらえることに感動出来る。
これ以上幸せになったら、パンクしてしまうわ。
それに、私の幸せを探す前に、自分の幸せを見つけなさい。
あなたは頑張り屋さんだから、他人の為に頑張れる人だから、気付かないところで無理をしているわ。まだ元気なつもりでいても、身体がついてこれないのよ。
あなたはまだ中学生なの、肉体的に成熟しているわけではないわ。私のように、幼いころから軍事的な訓練を積んできたわけではない。
頑張るなとは言わないわ。応援はしているわ。けど、無茶はしないで。
それに、あなたは1人ではないでしょ? 私だって傍にいるわ。辛い時、大変な時は頼って。ラブの力になれるの、私はとても嬉しいから。
ラブ、自分の笑顔って見たことある? あなたが嬉しそうにしている時、元気いっぱいにはしゃいでいる時、浮かべている表情を知っている?
見ているこっちが幸せになれる、元気になれる笑顔。とても素敵で、私の大好きな笑顔よ。
傍にいたいと思う。離れたくないと感じる。触れてみたいと、声を聞きたいと思ってしまう。
変よね、さっき、幸せだと言ったばかりなのに。これ以上、幸せになるのは難しいって言ったのに。
ラブのことになると、求めたくなるの。我儘を言って、甘えたくなるの。どうしてかしら?
困らせたいわけではないのよ? だって、ずっと笑っていて欲しいもの。
怒らせたいわけではないのよ? ラブって、意外と怖いから。
ただ、我慢は出来ても止められないの。この気持ちは、なくなることがないの。
どうしてかしら?
ラブが可愛いから? そんなの、初めて会った時から知っているわ。
ラブが優しいから? それも、商店街で再会した時から知っている。
ラブが、受け止めてくれたから? 私の気持ちを、真正面から受け止めてくれたから?
だから、私はラブにだけは、我儘になるのかしら?
納得は出来るけれど、それだけではラブが可愛そうね。
私に出来ることはないのかしら? ラブの為に、ラブの笑顔の為に出来ることはないのかしら?
「ラブの我儘を叶えてあげられたら……2人で幸せになれるかもしれないわ」
私だけでは無理な、大きな幸せを手に出来る。ラブを、幸せにしてあげられる。
うん、これはとっても良いアイディアのはずね。布団でゆっくり寝ている場合ではないわ。
ベランダから、早速突撃よ。
――さぁ、2人の幸せを掴むのよ
最終更新:2012年07月09日 01:17