美希「うかない顔ね、せつな。どうかしたの?」
せつな「私ね、気が付かないうちに、視力がかなり落ちてるみたいなの。」
ラブ「えーっ!?ドーナツの穴が、よく見えないとか?」
せつな「それって悪過ぎると思うけど・・・。ほら、この前学校で視力検査があったでしょう?その結果が、2.0だったの。」
ラ・美「・・・・・・。」
祈里「あのね、せつなちゃん。学校の視力検査では、2.0以上は測らないの。それくらいよく見えれば、もう十分だから、って。」
せつな「そうなの?」
ラブ「じゃあさ、ちゃんと測ったら、せつなの視力ってどれくらいなの?」
せつな「そうね・・・。今まで、4.0を切ったことは無いわ。」
ラブ「すごっ・・・。」
美希「どんだけ見えるのよ・・・。」
祈里「そう言えば、ラブちゃんも目はいいんだよね?」
美希「ちょっとブッキー!このタイミングで訊く?って言うか、「目は」って・・・」
ラブ「うん!あたしは小学校上がってからずーっと、視力1.5だよっ!」
美希「・・・さすがラブだわ。気にしないのね。」
祈里「いいなぁ。美希ちゃんは?」
美希「アタシは・・・ラブやせつなほどは、良くないわよ。」
祈里「そうなんだ。わたしは最近、黒板の文字が見えにくくなっちゃって。」
ラブ「ブッキーは、勉強のしすぎだよぉ。あのね、遠いところを見るようにするといいんだって。あたしとせつなは、ベランダでしょっちゅう、星や月を見てるもんねっ!」
せつな「ええ。でも、私は月よりもラブの・・・」
ラブ「え?何か言った?せつな。」
せつな「ううん、何でもないの!(月よりもラブの顔を見てる、なんて言えない・・・。)」
祈里「せつなちゃん、顔、真っ赤・・・。」
美希「ふふ~ん。まあその話は後でじ~っくり聞くとして、遠くを見渡せる場所なら、他にもあるんじゃない?」
――ということで、みんなでクローバーの丘へ。
美希「やっぱり、ここからなら四つ葉町がひと目で見渡せるわね。」
ラブ「うわーっ、見て見て、あの犬!あの人、可愛い巻き毛の犬を二匹連れているよ!」
せつな「ホントね。良く似た犬だわ。兄弟かしら。」
祈里「ううん、お友達だと思うけど、兄弟じゃないわ。手前の子はアメリカン・コッカー・スパニエルで、向こう側の子がイングリッシュ・コッカー・スパニエルね。良く似た犬種だけど、ほら、手前の子の方が、頭の形が丸いし、毛の長さが少し長いでしょう?」
ラブ「たはは~。毛が長いって言われても・・・。」
美希「そんなの、遠すぎてわかんないわよ。」
せつな「凄いじゃない、ブッキー。よく見えるわね。」
祈里「え、そう?やっぱり好きなものだと、違うのかしら。」
ラブ「わかった!ブッキーは、遠くのワンちゃんを見るようにすればいいんだよ。じゃあじゃあ、美希たんは~・・・」
せつな「ねぇ、美希。あそこに見える、赤い看板って何かしら。」
美希「きゃぁぁぁぁ~!た、た、たたた・・・」
ラブ「ああ、あれは駅前のタコ焼き屋さんだよ。美希たん、あんな小さな看板、読めたの?じゃあ全然、目が悪くなんかないじゃん。」
せつな「やっぱり、好きなものと同じくらい、嫌いなものって目に入っちゃうものなのね。」
美希「コラ、せつな~!もう、許さないんだからぁ!!」
~END~
最終更新:2012年10月12日 02:06