彼女の髪は夜の色。顔を埋めるととても優しい匂いがする。
「ラブの髪はお日様みたいね。」
ラブの波打つ様な癖のある明るい色の髪を、せつなは愛し気に撫でる。
「ラブは太陽みたい。」
もう一度、せつなは言う。ラブはくすぐったそうに身をすくめ、
ぴったりと、どんな小さな隙間も無いくらいに肌を寄せる。
柔らかな少女の肌はひとつに蕩けあってしまわないのが不思議なくらいだ。
そして、溶け合えないもどかしさを埋めるように飽きること無くお互いを貪り合う。
「ねぇ、せつな…。名前…呼んでよ……。」
「…ラブ。」
「…もう一度…。」
「ラブ……?」
「もう一度……。」
「ラブ…。………もう、何なの?」
少し苦笑いしながらもせつなは何度も繰り返し呼んでくれる。
「…せつなの声、大好き。」
せつなの声は、少し低くて、柔らかい。その声で甘く名前を呼ばれると、
幸せで全身が蕩けそうになる。
「ねぇ、好きって言って…。」
「…好きよ。…ラブ。」
「ホントに…?」
「大好き。」
「えへへへ…。あたしも…」
大好き、大好き、大好き…。
ラブは少し身を起こし、せつなの唇をついばむ。
軽く、浅く、だんだん深く。
吐息までひとつになるように。
太陽が安らぐのは、たったひとつの闇の中。
また明日も周りを照らせるよう、太陽は自分だけの夜に包まれて眠りにつく。
最終更新:2009年12月27日 12:04