あの時のアタシは醜かった。柄にも無い感情がアタシを包み込んだ。
せつな・・・、いやイースは間違いなくラブを倒そうと拳を握っている。
阻止しようとアタシとブッキーも拳を構えるが、それを拒む一人の少女。
「どうして!?」
「これは・・・、あたしたちの戦い・・・。」
わからなかった。アタシたちはずっと一緒だった。幼馴染み、親友、そして・・・。
悔しくて、歯がゆくて。
ブッキーは最後までその戦いを見届けた。アタシは途中までの
記憶しかない。記憶よりも・・・
ジェラシー
ラブが遠くに行っちゃう気がして。それも敵であるイース、東せつなと共に。
4人でいる時は気が付かなかった。
けれど・・・
ラブはせつなの事が好きなのかもしれない。あなたを裏切った人間なのに。
戦いが終わり、ラブの家へ戻る3人にいつもの笑顔は無かった。特にラブの落ち込みようは
計り知れないものがあった。見ているこっちも辛くなる。が、アタシは心を鬼にした。
「しっかりしなさい!」
昔からそうだった。ラブとブッキーのお姉さん的役割。
ホントは嫌だった・・・。
アタシだって一緒に落ち込んだり、泣いたりしたかった。
一括するとラブは必ずアタシに抱きついてくる。小さい頃は、その姿が妹のように見えた。
大きくなるにつれ、色々な事で悩み、考え、落ち込み、泣いて。その度にアタシの元へやってきたラブ。
気が付くと、その光景はアタシの片思いに変わっていた。
ラブを助けたい・・・、愛してあげたい・・・と。
「ごめんね、美希たん・・・。」
アタシの胸の中で顔をうずめるラブ。そっと抱きしめる。
あたたかい。
「話し合えばきっと分かり合えるって私、信じてる!」
ブッキーの言葉で我に帰る。ラブは今、せつなの事で頭が一杯なんだ・・・。
自分の感情は押し殺してきたつもり。
いつだってアタシは完璧でいたい。
再び、揺らいだ心を落ち着かせる。
「ほら、元気出して!納得するまでとことんやってみればイイじゃない!」
「うん!美希たんありがとっ!」
ラブの温もりを感じて。いつまでもこのままでいたかった。
だって、あたたかい気持ちが、嫉妬する心を溶かしてくれると思ったから・・・。
けど、見守るのもアタシの役目。
そして、いつか・・・
最終更新:2009年09月11日 01:17