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――私は素直なラブしか知らないけど――


そう言ってせつなは悪戯に笑った。

何か照れくさかったかな。
あたしの事、全部把握されてる気がして。

まだ一緒に暮らし始めて間もないのにね。


せつながこの家に来るまで、あたしがベランダで夜空を見上げる時は
大抵、嫌な事を忘れたかった時だけだったんだ…。


日中はあんなに賑やかな四葉町も、夜になるとこんなに静かで。

一人で夜空を見上げてると、何か落ち着けたんだ。

心がキレイになるって言うのかなぁ…。



ねぇ、せつな。あたしって素敵な女性になれるかな?

勉強も出来ないし、運動も苦手。おっちょこちょいで世話焼きでお喋りで。

取り柄と言ったら一直線な明るさといつも元気な所、それと料理が出来る事ぐらいなんだ…。



でもね!あたしはこんな自分が大好き。おバカさんでも毎日が楽しければ。

だから…、自分には嘘が付けないのかもしれない。



素直なあたし、チャームポイントになるかな?

もっともっと自分を磨いて、可愛くなって。



いつか本当に素敵な女性になれたら…



――素直になるって難しいね――



あたしの隣には今日もせつながいてくれる。

二人で夜空を見上げると、明日もまた頑張るぞー!って思える。


ベランダでこうしていられる事があたしの幸せ。

せつなと一緒にいられる事があたしの幸せ。

せつなはあたしと一緒にいて幸せなのかな?



ちょっとでもイイ…。あたしといる事が幸せと感じてくれたら。


そしてまた、


明日も明後日もずっと…。ずっとね、ベランダデート出来たら嬉しいな…。
最終更新:2009年09月13日 00:26