タコのナケワメーケを倒した後、
少しいい雰囲気になった美希と私は、
アロマオイルについて語り出した美希に
連れられて、美希の家に来た。
綺麗に片付いた部屋。
大きな鏡台。
たくさんある、大きな鏡。
「香りってね、とっても複雑なの」
美希がガラスビーカーを取り出しながら話す。
「オイルの性質によって、すぐに香りが消えたり、
すぐには香りが出ないけど持続したり。
色んなものがあるから、どう感じたいかをイメージして
オイルを混ぜるの」
ずらりと並んだオイルの瓶。
出来たオイルをアロマライトの皿に落とす。
しばらくすると、とても良い香りが鼻孔をやさしく撫でた。
「いい香り...」
「でしょ。リラックス用の完璧な割合だわ。」
心を落ち着かせる香り。
しかし、どこか違和感を感じた。
とても落ち着く反面、何かむずむずする。
お茶を飲みながらおしゃべりしている間も、
そのむずむずは治まるどころか、次第に
大きくなってきた。
じわり。
あふれる感覚があった。
「ちょっとお菓子持ってくるね」
美希が部屋から出て行く。
ジーンズのファスナーを降ろし、
下着の中に手を入れる。
ぬるっと、滑る。
体が、びくびくと震える。
やだ...何でここでこんな感じに...
すぐに手を抜くつもりが、心とは反対に
指先が自分の一番敏感な部分に触れる。
「ふうっ...!」
快感が体を駆けめぐる。
体に火が付いたように、熱い。
突然、耳元で声が聞こえた。
「手伝ってあげよっか」
美希が私の耳に息を吹きかけながら話す。
体中にゾクゾクと刺激が走る。
「いや、これは...」
私が返事をする前に、美希の手がシャツの下から
もぐり込み、下着を押し上げていた。
「んっ...ふっ...」
「もうこんなにしちゃって...」
美希が私の耳たぶを甘噛みしながら、
しなやかな指で円を描くように、
硬く尖ってしまった、私の胸の先端を刺激する。
「何か...体が...変なの...」
「うふふっ。言い忘れちゃったけど、
催淫効果があるオイルもあるの。」
「催淫...効果...?」
「そう。シタくなっちゃうの...」
美希の片手が、体の下に降りていく。
「せつな...」
「美希...だめよ...女同士で...」
「ふふっ、口は真面目なんだけどなぁ...」
美希の指が私の一番敏感な部分に到達する。
「んっ...!」
美希の愛撫は羽のようにやさしく、
しなやかな指が縦横無尽に動く。
その度に私の体は跳ね上がり、
押し殺した声が漏れる。
香りが、理性を麻痺させる。
拒絶することをやめた途端、
私の体は貪欲に快感を求めはじめた。
いつの間にか、窓の外が
暗くなりかかっている。
どのくらい、こうしているのだろう。
押し寄せる快感に抗いきれず、
自らも美希の体を貪った。
鏡が、視界に入る。
絡み合うふたりの姿が映っている。
猛烈な恥ずかしさと、同じくらいの
興奮が、同時に押し寄せる。
乱暴に脱ぎ散らかした洋服はベッドの横に散乱し、
私と美希は、荒い息でお互いを見つめていた。
「もう...完璧にハマっちゃったじゃない」
「それ、アタシのセリフ」
私は、この香りも悪くないと思い始めていた。
最終更新:2009年09月21日 22:06