「ねぇ…ラブちゃん」
甘えた声で話しかける祈里に、ラブは優しく微笑み返した。
「なあに?どうしたの祈里」
「あのね…。…やっぱり恥ずかしいな」
モジモジと身をよじり、顔を赤らめる祈里を愛おしく思いながら、ラブは答えをせかした。
「なによ~気になるなぁ。ねぇ、なになに?」
今日は、久しぶりのふたりっきりのデート。
お互いの顔を見つめながら会話をする。
恋人同士だから当然の事なのに、それがこんなに楽しくなっちゃうなんて。
「あのね……この前、美希ちゃんがせつなちゃんに服を選んでもらったじゃない?あれ、すっごく羨ましいなぁって思って…」
「そっか!じゃあ今日はあたしが祈里に服を選んであげるよ!」
「ホント?嬉しい!」
「そのかわり…」
ラブは、左手をそっと差し出した。
「手…つなぎたいな」
「えっ」
突然のラブの申し出に、祈里はみるみる頬を染める。
ラブはわざと、少し意地悪に続ける。
「手つなぐの、アタシとじゃ…イヤ?」
「そ、そんな訳ないじゃない!だって…、大好きなラブちゃんだもん!」
「じゃあ、どうしてもっと喜んでくれないの?」
「違うの!……ただ、久しぶりだから嬉しくて…、ビックリしちゃっただけなの」
「だったら…」
「…ウン」
お互いの手が伸び、触れ合い、確かめ合う。
指と指をからませ、強く握ったり、ふっと抜いたり。
(ヤダ……、胸がドキドキしてる。恥ずかしくて、ラブちゃんの顔見られないよ…)
真っ赤な顔でうつむく祈里を、ひょいとラブが覗き込む。
「ありがとね、祈里。これで明日からまた頑張れる」
「ラブちゃん…」
「祈里は、アタシの元気の源なんだ。だから、これでパワー充電完了だよっ!」
ラブのとびっきりの笑顔につられて、祈里まで自然と微笑んでしまう。
「ラブちゃんには敵わないなぁ」
昔から祈里は、この〝笑顔〟に弱いのだ。
そして、これからもきっと…。ずっと永遠に…。
了
最終更新:2009年10月25日 17:33