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夜もふけた、桃園家のラブの部屋。


「ラブ」
あたしを呼ぶ声がする。
一瞬にして頭は覚醒するが、体は全く反応できない。
「起きてる?」
月明かりを背にして立つせつなは、影になっていて表情は窺えない。


「ラブ、起きてる?」
今度は近くから、あたしの耳元で囁くように言う。
返事をしようとするが、金縛りにあったかのように、体を動かすことができない。
耳にせつなの吐息がかかる。その吐息だけで、
せつなに馴染んだあたしの体は、快感を受け入れる準備を始める。


ふいに、せつなはあたしの首筋を人差し指でなぞりはじめた。
その感触に、口から言葉にならない溜息のようなものが漏れる。

「やっぱり起きていたのね」
と月の僅かな光で見えるせつなの顔は、妖しく笑みを浮かべている。

「悪い子は、おしおきね」
と言い、あたしの鼻をつまんで口を自分の口で塞いでくる。
だんだん息が苦しくなって、あたしはせつなの服を掴む。
気が遠くなりかけ、必死にせつなの服を引っ張るあたしに、
限界に近いことを感じたのか、あたしの口を塞いでいた口が離れる。


息を吸いこもうと大きく開けたあたしの口を再び塞ぎ、
開いた隙間から舌を差し入れてくる。
夢中になってお互いの舌を絡ませ、
口の端からあたしのものかせつなのものか分からない唾液が溢れてくる。
あたしもせつなもそれには構わず、流れるがまま頬を伝いシーツにまで落ちる。


―キスだけじゃ足りない

次の愛撫を促すように、あたしはせつなの左手を取りパジャマの上から胸の上に置く。
せつなは右手ひとつで器用に、あたしのパジャマのボタンとブラジャーのフロントホックを外し、
前を肌蹴させてあたしの胸へ触れてくる。
だけど、親指で先端の周囲を円を描くようになぞるだけ。

「もっと」
というあたしの願いは、口にしなくてもせつなに届いたのか、


次の瞬間、先端を抓まれ、ひねるように擦られ、もう一方は、口に含まれる。
待ち望んだ愛撫によって、背中に快感が駆け上がり、あたしの全身はわななく。


胸を弄んでいたせつなの右手は、ゆっくりと下の方へと向かう。
せつなの手が触れたところは、火傷したかのように熱を持ち、
その軌跡を、今度は舌がその熱を冷ますようにたどってゆく。
ときどきあたしの肌を甘噛し、歯形のついたところは、動物が傷を癒すように、舌でなめる。
せつなのすることすべてに、あたしの全身が応えていく。


ようやくせつなの指があたしの一番の敏感な場所に辿りつく。
しかし、そちらには触れず、周囲を這いまわり、
ときどき入口を広げるように指の先端を中に入れてくるが、それだけ。

縋るようなあたしの視線を感じたのか、

「ラブ、どうして欲しい?」

とせつながあたしに問いかけてくる。
その問いかけに答えないと、永遠に次の快感が得られない。

「あたしの・・中に・・」

「中に?」

せつなの意地悪。そんなこと言わなくたって、分かっているのに。

「中に・・いれて・・」

あたしが言葉を発した瞬間、せつなの指があたしの中に侵入してくる。
快感と同時に、あたしの足りない部分がせつなによって補われるような、そんな充足感に満たされる。

せつなはあたしの中に入れた指を前後に動かし、
親指はあたしの一番の敏感な場所を引掻く。
あたしの体は自分の意思に反し、激しくおののく。
あたしの瞑った目の奥で、チカチカと光が明滅し、意識は光の中へと飛翔していった・・・





次に、あたしが気付いたとき。

せつなはこちらに背を向け、窓から月を見上げていた。
月に照らされ佇むその姿は、とても神秘的で、
「かぐや姫みたい」と思わず、口にしていた。

「かぐや姫って、何?」
「えっと確か、月から来たかぐや姫が、帝とかの求婚を断って、月に帰る話」


「そう。だったら私はかぐや姫かもしれない。
 違う世界から来て、違う世界へ帰っていく・・・」

そう呟くせつなの姿は、迷子になった小さいこどものようで、
あたしは思わずその細い背をぎゅっと抱きしめていた。


「せつな、あたしはせつなのそばにずーっといるよ。
 これからも一緒にたくさんの幸せゲットだよ!!」

「・・・精一杯、頑張るわ」


せつな、あたしの愛しい恋人。これからもずーっと一緒だよ。





補足 「夜這い」には求婚するという意味もある。


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最終更新:2009年10月03日 00:50