5-110

お父さんは仕事、お母さんはパート。
台風による警報が出たために、あたしとせつなは休校。

昼間なのにすごく暗くて、夕方みたい。
風が窓をガタゴト震わせている。

ガタン。
突如大きな音がした。
何かが家の外壁に当たったのだろうか。
あたしは思わずせつなにしがみつく。

「怖いの?ラブ」
せつなは優しくたずねる。
「ごめん、怖いワケじゃないけど何となく…」

せつなは薄く微笑みをたたえ、あたしを抱きしめる。
「台風っていいものね」
「なんで?せつなは怖くないの?」
「だってラブとこうしてると、まるで世界中に誰もいなくて、私たちふたりっきりみたい」
「せつな…」

あたし達は、どちらからともなく顔を近づけ、くちづけた。
最終更新:2009年10月10日 19:59