夢・・・
夢を見た・・・。
とても不思議な夢・・・。
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見た事のある風景。辺り一面緑の大地。
足元は三つ葉のクローバーで埋めつくされている。
ふと、小さな女の子の姿が目に映った。
女の子はすすり泣いているようにも見える・・・。
ラブはその女の子に声をかけようとして、はっと我に返った。
---あたし・・・・・・?
金色に近い髪の毛。
頭の上で2つちょこん、と結んでいる。
桃色の瞳の女の子が何かに気がついて顔を上げた。
「おねぇちゃん・・・・・・だぁれ・・・?」
ラブは自分じゃない他の誰かに発せられた女の子の言葉に辺りを見回す。
そこには、自分が居た。
自分が・・・幼い自分と向き合っている・・・・・・。
そして、それを見ているのも自分・・・。
なんという異様な光景だろうか・・・。
ありえない・・・、ラブは半ば混乱していた。
声が出ない、動けない・・・。
指一本動けないとはこういうことか、と。
そして自分じゃない自分が、何も言わずに女の子の言葉に微笑んだ。
---だいじょうぶだよ
そう言っているような・・・とても優しい微笑み。
ラブはその光景にどれだけ見入っていたのか、すごく長い時間に感じた。
やがてラブは女の子に視線を戻す・・・何かに引き寄せられるかのように・・・。
ラブが再び見た、幼い自分であるはずの女の子は・・・・・・
---・・・・・・自分じゃ・・・・・ない!?
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がばっと勢いよく、ラブは体を起こした。
周りを見回す・・・。
自分の部屋・・・10月のカレンダー・・・机の上のクローバーボックス・・・
枕もとのリンクルン・・・・・・
「あ・・・あれぇ・・・?
ゆめ・・・だったの・・・・・・かなぁ?」
間の抜けた声で呟く。
しかし、ラブはどんな夢だったか全てを思い出せないでいた。
ベランダ側の窓が少し開いている。
ちょっと肌寒い風に身震いを起こしながら、思いついたようにベットから降りた。
ラブは急いで部屋を出て、隣の部屋の扉の前に立った。
せつな/SETSUNA
と書かれたプレート、そして名前の横にある四葉のクローバー。
ラブはそれを見て、ほっと安心した。
なぜ安心したのかは自分ではわからない。
そっとドアノブに手をかけ、音を立てないように少し扉を開く。
部屋の中を覗いて見た。
ラブはせつなが寝ている事を確認したら、またドアをそっと閉めた。
ラブはドアを背にして、全身の力が抜けた様にその場に座り込んでしまった。
はぁ~~、とため息をひとつ。
なにもない空間を見つめつつラブは思う。
夢の続きを見れるとは限らない。
でも、
「最後に見た女の子・・・・・・
・・・・・・きっとそうだよね。」
最終更新:2009年10月10日 20:08