お互い真っ赤になって微妙な距離をとりつつ、由美の所に戻る二人。
「ただいまー由美ー」
「あら?」
「二人ともズルいよ~。」
借り物の内容を知って、選ばれなかったことに
落ちこむ由美。
「あはー。ま、まぁ…」
「あ、由美ちゃんもこれからお昼、一緒にどうかしら?」
「いいの…かなぁ~?」
「うん!あたし、いーーーーっぱい作ってきたんだよ!」
出てきたのは立派なお重の箱。すると、タイミング良く観戦に
来ていた美希と祈里も合流する。
「張り切ってたわねーラブ。カッコ良かったわよ。」
「せつなちゃんも楽しそうだった!」
由美も加わり、豪勢な昼食は一層賑やかな雰囲気に。
「ラブってほんと料理上手だね~。」
「照れるじゃんか由美ー。」
「精一杯作ってくれたから、本当に美味しいわ。」
「アタシの家にもラブがいてくれたらなー。」
「うんうん。ラブちゃんの手料理ならわたしも大歓迎!」
(昼間っからイチャイチャしてはる。あかん、この光景シフォンには強すぎや。)
「午後の競技って、ラブちゃんとせつなちゃんが出るアレだよねぇ?」
「そう、ソレ!そのために来た様なもんなんだから!」
「ですよね~。」
(頑張ってね、二人とも...)
この日のために、ラブとせつなちゃんは一生懸命練習したんだもんね。
運動音痴なラブは、何とかせつなちゃんにイイ所を見せようと頑張って。
けど、息が合わないってせつなちゃんはアタシに相談に来て。 ほんと真面目なんだから。
結局アタシはせつなちゃんと練習してたけど、実は裏では…
「せつなにコンビ解消だって言われたぁー。もうガックシだよぉ……」
「よしよし。まだ諦めちゃダメだよ?ラブちゃん。」
「やるしかないわね…。秘密で特訓開始よ!」
―――そして迎えた二人三脚。
「せつな…。もう一度、コンビ組んでもらえない…かな?」
「で、でも由美ちゃんと…私は…」
(あっ…。この目。あの時と…)
「イイよ!せつなちゃん。」
〝トン〟と背中を後押しして。もちろん笑顔で。
「由美ちゃん…」
「由美…」
ちょっと困惑気味のせつなちゃん。アタシはラブが特訓をしていた事を蒼乃さんと山吹さんから
教えてもらっていて。ラブの親友は由美ちゃんもだよ!って。アタシ、嬉しかったな~
「いってきなよ!」
笑顔で2人を送り出す。
…本当はせつなちゃんと…
スタートラインに並び立つラブとせつな。
「いいわね、ラブ。やるからには…勝つわよ!」
「とっおぜん!」
不適な笑みを浮かべる2人。
「作戦成功ね。完璧すぎるわ。」
「私、信じてた。今回は由美ちゃんのおかげだね!」
満面の笑みを浮かべる2人。
(運動が苦手なラブも、せつなちゃんと組めばどんな競技だって、
互いを思いやる心で快勝だよね~)
再び声援を送る由美。
脚はもちろん、腕も肩も腰も密着する2人。
「なんかドキドキしてきたわ…」
「あたしも。けど!やるからには息ぴったりに完璧で!」
〝位置についてー。よーい〟
「互いに声掛け合っていくわよ。」
「うん!せーの!」
〝ドン!〟
見事、愛の力で優勝ゲットしたラブとせつな。
その影に親友の協力があり。
「ニッへへ~。どうだった?せつな!!」
「そっ…そうね!いい感じよ!!」
嬉しさのあまりに思いっきり抱き合う2人。
(ピーチはんもパッションはんも今は気にならへんけど、あとになってから照れくさいでー。
でもな、シフォン。これがほんまもんの青春やー。)
「あまじゅっぱー?」
(しゃべったらあかん!)
「由美ちゃん!」
「あ、山吹さん。2人とも1位です~!」
「…完璧よ!アナタのおかげだわ。」
「うん!由美ちゃんのその健気な所、わたしちょっとだけ泣いちゃった。」
「今度は由美ちゃんが表舞台に立つ番ね。」
「え?」
「四葉町のレクレーション大会。わたしたちと一緒に出よ?」
「……ハイ!」
(あっれー、3人…妙に仲良くない?)
(そうね。でも私たちには勝てないわよ?)
最終更新:2009年10月19日 02:57