あの時、確かにあたしたちは―――
「わたしー、せつなさんを呼んでくるね。」
自分と同じ境遇だと感じたブッキーは、せつなを呼びに部屋へ。
「じゃあ私たちはバーベキューの準備をしましょう。」
ミユキさんとあたしと美希たんは海岸へ。
「あ、いっけなーい。大事な物忘れちゃった。先に準備しててくれる?2人とも。」
「はーい。」
あたしと美希たんは慌しく、鉄板や食材の準備を整える。
「ねぇ、ラブ」
「ん?」
夕陽が眩しく、あたしたちを照らす。あの時と一緒だとあたしは振り返る。
あれは1年前の暑い夏の日。
お互い、惹かれつつある存在になったのに気付き。
親友から恋人へと発展した思い出の日。
そんな2人の光景を知っているのは…
――あの夕陽――
だけ。
「せつなとはどう?」
「どうって?」
「…」
「せつなが幸せかって事?」
「えぇ…」
美希の手が止まる。その姿を横目で見つつ、あたしは言葉を続ける。
「わからないよ、まだ。今だって、せつなはどうしてるか…」
あたしも正直不安だった。半ば強引に誘ってしまった合宿。せつなが乗り切れてない
事も薄々感じてはいたし。
「でも、ブッキーならウマく説得してくれそうね。」
再び手を動き始める美希。その顔には少し笑みもこぼれていて。
「美希こそブッキーとはどうなの?順調?」
「完璧……、とはまだ言えないカモ。」
静かな波の音。
あたしたちの会話は妙に重たい空気になる。
「お互い、頑張りましょ。」
「負けないよー」
幼馴染み。
いつも3人でいた。
途中で2人になりかけたけど、あたしたちには無理だった。
美希はずっとブッキーを気にしていて。
あたしもブッキーは妹のように可愛い存在だったし。
だから―――
「2月だったわよね、アタシたちの前にせつなが現れたのって。」
「…うん…」
「早いわね、月日が経つのって。」
「そうだね…」
いつしか、あたしはせつなを。
そして、美希はブッキーを。
春を待たずして訪れた、あたしたちの分岐点(ターニングポイント)
けれど、悲しくはなかったし、寂しくもなかった。
「不思議だね。」
「…そうね。」
3人から4人になったクローバー。それは以前にも増して深まった絆。
あたしと美希の絆もまだ色褪せていない。
恋人からライバルへ―――
これもまた、あたしならではの分岐点なのかもしれない……と。
バーベキューの準備も出来、後はミユキさんとせつなとブッキーを待つのみ。
ふと波間に立つ美希。
あたしも後を追って。
「ラブ…。アタシね…」
「ダメだよ、美希たん。過去は振り返らないの!」
「そうね。」
言いたい事は何となくだけど、把握出来た。
でも、今は親友だし、ライバルでもあるし、同じプリキュアで。
あの時の分岐点は間違ってないんだ。
確かにあの時、あたしたちは輝いていた。
ほんの少しでも――
夕陽だけが知っているあたしたちの関係。
そう。美希はあたしの……
最終更新:2009年10月18日 22:19