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6-97

 クローバーボックスが無事に戻り一安心の美希だったが、自分のせいでシフォンを危険に晒したという自責の念は、そう簡単に消えるものではなかった。

 あの時見つかって本当に良かった…もし見つからなかったらって考えるだけで身体が震えるわ。

 公園のブランコにひとり腰掛けながら、美希は悪い想像に怯えていた。深く考える程にその事の恐ろしさが身に染みて、涙まで浮かんでくる。

 何だかアタシ、泣いちゃいそう…

「ううっ…ひっく」

 しゃくりあげようとしたその時、後ろから誰かの温かい腕に抱きすくめられる。

 この匂いは…せつな?

「ひとりぼっちで泣かないの」

 この低くて落ち着いた声、やっぱり…せつなだわ。背中に感じるせつなの温もり――――温かい。

「美希のことだから、どうせまだ自分を責めてるんだと思って探してみたら…案の定なんだもの。わかりやすい性格ね」

 行動パターンを読まれていることが恥ずかしくなり、美希は急にムカッとする。

「何よ。わかりやすい性格で悪かったわね」

「クスクス…その台詞、言うと思った」

「もう!何?からかう為にわざわざ来たの!?」

「まさか。――――心配になったの」

 せつなが…アタシを…?嬉しいような、くすぐったいような、恥ずかしいような。何?こんな気持ち、初めて。

「美希のこと…なんだか放っておけなくて」

 せつななりに心配してくれてるんだわ。やだ、すっごく嬉しい…でもあんまり心配かけちゃいけないわ。




「し、心配ご無用!アタシはいつだって完璧なんだから!!」

 そんな美希を胸に抱くせつなは、抱きすくめた腕に一層力を込める。

「強がらないで。わたしの前では素直になっていいのよ。どんなに弱い美希でも、わたしには全部見せて欲しいの」

 な…やめてよ。まるで愛の告白じゃないの。――――って、ええッ!?まさか…よ、ね?

「せつな…?」

「ダメ振り向いちゃ」

 後ろを振り返ろうとした美希をせつなが制す。

「顔、見ないで。今すっごく恥ずかしいんだから…」
 せつなは美希の背に額をくっつけ、しゃがみ込んだ。

「イヤよ」

 立ち上がった美希は、せつなのそばに行き、同じようにしゃがみ込む。

「せつなだけアタシの恥ずかしいトコ見るなんてずるいじゃない。せつなの恥ずかしいトコ、アタシだって見たいの!」

 真っ赤になった顔を上げ、せつなは潤んだ瞳で美希を見つめる。

「美希…わたし…」

 お互い膝立ちの姿勢となり、抱きしめ合う。

「背中合わせもいいけど、やっぱりこの方がアタシ好きよ。せつなが全部見えるから…恥ずかしがってる顔も、ね」

「もう!知らない!」

「ゴメンゴメン、今度泣く時は、ちゃんとせつなのそばで泣くことにするから」

「…絶対よ」

「ウン」

 さっきまでの恐怖は嘘のように消え去り、美希の中に残ったのはただ、目の前の少女への狂おしいほどの愛おしさだけ。




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最終更新:2009年10月26日 21:57