6-330

「♪ ♪~♪ ♪~♪♪♪♪ ♪~♪~」

部屋の壁越しに聞こえてくる優しいメロディ。

ラブがシフォンの為にオルゴールを回しているのね。

タルトに任せっきりにした為に起こった、この前の事件。

それを反省した私とラブが、タルトと3交代ですることになった寝ずの番。

今日はラブの当番。

「シフォンの幸せゲットの為に、あたしがんばるよ!」

……って言ってたのはいいんだけど、明日の授業、大丈夫なのかしら……。

「ラ、ラ~ラ、ラ~ララララ、ラ~ラ~」

ラブの歌声が聞こえてくる。

この前の事件以来、シフォンがラブにねだるようになった子守唄ね。

これを歌ってる時のラブは、シフォンの本当のお母さんになったみたいな、

優しい顔をしているのよね。


……それにしても、子守唄って不思議だわ。

私は両親のことを知らない。

赤ちゃんの頃に誰かにあやして貰った記憶もない。

それなのに、この歌を聴いていると何かとても懐かしい気持ちになるの。

まるで誰かに抱きしめられてるみたいな暖かい気持ち、これは何?

……ああそうか、これが愛される、ってことなのね。

ラブのシフォンを想う気持ちが、唄を通して私にまで伝わってきてるんだわ。

……シフォン、いいなあ。

この気持ちをあんなに近くで感じてられるなんて。

私もラブに、ぎゅっとして貰って、子守唄、唄ってほしいな。

……でも、こんな大きな子が、シフォンと同じ事して欲しいって言ったら、きっとラブ困っちゃうよね。

だから、その代わりに何か、別の方法で甘えさえてくれないかな?

だって、こんな優しい唄を聞かされちゃったんだもの、そんな気分になっちゃうのは仕方ないのよ。

今日のラブの愛情はシフォンのもの、だから、今はガマンガマン。

その分明日、たっぷり甘えさせてね?

じゃあラブ、おやすみなさい。また明日。
最終更新:2009年11月01日 20:44