「♪ ♪~♪ ♪~♪♪♪♪ ♪~♪~」
部屋の壁越しに聞こえてくる優しいメロディ。
ラブがシフォンの為にオルゴールを回しているのね。
タルトに任せっきりにした為に起こった、この前の事件。
それを反省した私とラブが、タルトと3交代ですることになった寝ずの番。
今日はラブの当番。
「シフォンの幸せゲットの為に、あたしがんばるよ!」
……って言ってたのはいいんだけど、明日の授業、大丈夫なのかしら……。
「ラ、ラ~ラ、ラ~ララララ、ラ~ラ~」
ラブの歌声が聞こえてくる。
この前の事件以来、シフォンがラブにねだるようになった子守唄ね。
これを歌ってる時のラブは、シフォンの本当のお母さんになったみたいな、
優しい顔をしているのよね。
……それにしても、子守唄って不思議だわ。
私は両親のことを知らない。
赤ちゃんの頃に誰かにあやして貰った記憶もない。
それなのに、この歌を聴いていると何かとても懐かしい気持ちになるの。
まるで誰かに抱きしめられてるみたいな暖かい気持ち、これは何?
……ああそうか、これが愛される、ってことなのね。
ラブのシフォンを想う気持ちが、唄を通して私にまで伝わってきてるんだわ。
……シフォン、いいなあ。
この気持ちをあんなに近くで感じてられるなんて。
私もラブに、ぎゅっとして貰って、子守唄、唄ってほしいな。
……でも、こんな大きな子が、シフォンと同じ事して欲しいって言ったら、きっとラブ困っちゃうよね。
だから、その代わりに何か、別の方法で甘えさえてくれないかな?
だって、こんな優しい唄を聞かされちゃったんだもの、そんな気分になっちゃうのは仕方ないのよ。
今日のラブの愛情はシフォンのもの、だから、今はガマンガマン。
その分明日、たっぷり甘えさせてね?
じゃあラブ、おやすみなさい。また明日。
最終更新:2009年11月01日 20:44