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「せつな…もう寝ちゃった?」

 一体わたし、どうしちゃったの?初めてのラブとの旅行(修学旅行だけど)だっていうのに…。

「ねぇ…せつな」

 だいたいラブもラブよ。大輔だか何だか知らないけど、いちゃいちゃしちゃって…。

「せつなったら!」

「なによ!ラブのバカ!」

「…っ!いきなりバカ呼ばわりはないんじゃないの」

「そんなつもりじゃ…」

 ラブはため息をついて布団から起き上がる。

「なんか今日のせつな…やっぱり変だよ。どうしたのかな?」

 変にさせてるのはラブよ…。

「わわっ!何で泣くの!?あたし何かした?」

 わたしは首を振る。判ってる。ラブが悪いじゃない。悪いのは…わたし。

「せつな…泣いてちゃわかんないよ」

「だって…自分が嫌になったんだもの」

「どこが?あたしはせつなの全部が好き」

「全部だなんて…大袈裟ね」

「大袈裟なんかじゃないよ!」

 そう言って、ラブはわたしを抱きしめる。

「だって…初めて会った時からずっと、色んなせつなを見てきたんだよ?」

 …そうだった。ラブはイースだった頃のわたしを愛してくれた、たったひとりの人。




「…バカって言ってごめんなさい」

「もういいよ…で、何を怒ってたの?」

「言えないわ…恥ずかしくて」

「いいから!あたし達の間で隠し事はナシだよ」

「だって…ラブが大輔くんとばかり…その…仲良くしてるから」

「なんだ、そんなことか!良かった~あたしてっきり、夕飯のせつなのラフテーを横取りしたこと怒ってるのかと…」

 ラブはぎゅうぎゅう抱きしめてくる。

「ちょっとラブ!苦しいわ!」

「えへへ~だって嬉しいんだもーん。せつながヤキモチ妬いてくれて」

 ヤキモチ…これがそうなんだ。本で読んで知識はあったけれど、自分が嫉妬しているなんて気づかなかった。

「ねぇラブ…」

「わかってる」

 くちびるに触れる柔らかなラブの感触。ずいぶん慣れたはずなのに、いまだに胸が高鳴る。

「今日はまだしてなかったからさ。えへへ」

「…ありがと」

「けど、ヤキモチ妬くせつなも可愛いよね」

「次はラブが妬く番よ」

「え?」

「ふふっ…冗談よ」

 本当は、半分本気だった。いつか…ヤキモチを妬いてもらえるくらい、好きにさせてみせるんだから。
 今度はわたしからくちづける。確かめ合うように、深くゆっくりと。
 沖縄の熱い夜は、まだまだ始まったばかり。
最終更新:2009年11月09日 23:54