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 皆が寝静まった部屋。戦いの余韻で何となく眠れずにいたせつなは、おもむろにメールを打ちはじめた。

『寝た?』

『寝れないの。せつなも?』

 文面を見てせつなは微笑んだ。可愛いわ…すぐに返信があるところが、やけに素直で。

 せつなはトイレに立った振りをして個室でアカルンを起動する。

 紅い光を浴びて、驚いた美希が叫ぶ。

「もう!びっくりするじゃない!」

 嬉しさを隠しながら怒ったふりをする美希だったが、本当は逢いたかったので顔がにやけている。

「美希…何か顔がやらしいわよ」

「しし失礼ねっ!もーホント、モデル捕まえて何言うんだか…」

 ぶつぶつ言っている美希を尻目に、無言で美希のベッドに入り込むせつな。

「ちょ、ちょっと!いきなり入ってこないでくれる?」

「だって…この部屋、沖縄に比べて寒いんだもの。美希の身体…あったかい」

 フローリングで冷えた脚を美希の脚に絡め、せつなは彼女の腹部に頭をくっつけた。

「しょうがないわね…」

 せつなの頭をいい子いい子しながら、美希は考える。
 アタシ、ペースを完全に乱されてる…。全然完璧じゃない。なのに、それがこんなに嬉しいなんて。

「すーすー」

「ちょっ、せつな!?さすがに寝ちゃったらヤバイわよ!点呼もあるかもしれないし…起きなさいよ!」




「くっくっくっ…」

 声を抑えながら笑うせつな。はめられたわ…悔しいっ!

「もう知らない!せっかくひとが心配してあげてるのに」

 美希はプイっと背中を向けてしまった。

「ごめんなさい、怒らないで美希」

「イヤ!」

「…こっち向いてよ」

 背を向けたままの美希を、せつなが抱きしめる。

「今日、来てくれて嬉しかった。それが言いたくて。怒らせるつもりなんて無かったの。…ごめんなさい、もう帰るわね」

「待って」

 帰ろうとするせつなを、美希の上ずった声が遮る。

「アタシも言いたいコトが…あったかも」

「…なあに?」

「逢いに来てくれて…嬉しかったわ」

 ハニカミながら美希はせつなの額にくちづけた。一瞬の出来事でせつなは呆然としている。


「黙ってないで何か言ったら?照れるじゃない!」

「…違うわ」

「え?」

「キスは…ここにするものよ」

ちゅっ

 今度は美希が呆然とする番だった。

「じゃ、ね。おやすみなさい美希」

 再び深紅の光が部屋を照らし、彼女は居なくなる。

「まったく…」

 くちびるを指でなぞりながら、さっきの記憶を辿り、胸に刻みこむ。
 あのコといると、振り回されっぱなし。
 アタシ、完璧にはまってる。
最終更新:2009年11月13日 22:18