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「はぁ、さすがに疲れたね。」
「そうね、沢山歩いて、いろいろ乗ったものね。それじゃあ少し休憩しましょうか。」

「ねぇせつなちゃん、最後にあれ乗ろうね。」
祈里が観覧車を指差しながら言う。

「たしかあれって観覧車っていうのよね、最後でいいの?
 もうそろそろ日が暮れてきたから休憩した後すぐに乗った方がいいんじゃないかしら?」
最後だと暗くなってしまうわ。

「ううん、最後でいいの、きっときれいだから。」
「?」
「ふふっ。」

「変な祈里。まあいいわ。」
気になるけど、後でわかるだろうと思い私は案内図を広げた。
「さて、私なにか飲み物買ってくるわね。……えっとここからだと少し遠いわね。」

「あっ、せつなちゃんわたしも行くよ。」
祈里はそう言ったが私はあることに気づいていたのでそれを断る。

「大丈夫、祈里は休んでて…足痛いんでしょ?」
「…少し。」
ずっと歩いてたものね。

「じゃあ待ってて、この後もまだまだ歩きまわるんでしょ?だったら少しの間だけでも休めておかないと…ね?」
「……そうだね、それじゃあここで待ってるね。」
「ええ。」

そうして、私は飲み物を買いに行こうと歩きだしたその時……


ドォーン


「きゃっ。」
「何?」
急に地面が揺れた。直ぐに音のした方を見る。

「ソレワターセ?…いや、あれは…ナケワメーケ!!」


「きゃー。」
「怪物だ。」
「逃げろぉ!」

人々の叫び声が響いた。



「祈里、変身よ!」
「うん」
『チェインジ・プリキュア・ビートアープ。』

「イエローハートは祈りのしるし!とれたてフレッシュ、キュアパイン!」
「真っ赤なハートは幸せの証!うれたてフレッシュ、キュアパッション!」




「そこまでよラビリンス!」

「あらわれたなプリキュア!それにイース!」
「ウエスター!」
そこにいたのはやはりウエスターだった。
「インフィニティはどこだ!」
「言うわけないでしょ。」
「なら力ずくで言わせるまでだ。ナケワメーケ行け!」

「来るわよパイン。」
パインに声をかける。

パインと息をあわせ、そして
『ダブル・プリキュア・キーーック!!』
ナケワメーケにダブル・プリキュア・キックをお見舞いする。

私とパインは、その後も連続で攻撃を与え続けた。

……よし。少しずつではあるが、確実に攻撃が効いている。
これなら二人でも、倒せるかもしれない。
しかし、そう思っていた私の視界にあるものが映った。
それは観覧車。

「あっ!」
私はつい声をあげてしまった。
「パッションどうしたの?」
パインが尋ねてくる。

「観覧車の中にまだ人が…!」
観覧車が一周するまで、中の人たちはどうすることもできない。
そのため観覧車の中にはまだ何組か人が残っていたのだ。

「えっ。」
どうやらパインの目では見えないのか、心底驚いている。
アカルンを使えば避難させられる、でもそうするとパインが一人になってしまう。
ソレワターセではないとはいえ、パインを一人にはできない。
「…ここで抑えるしかないわね。はぁぁぁっ!!」」
私はナケワメーケに攻撃を繰り出す。
「……パッション、アカルンを使って観覧車に乗ってる人達を避難させて!」
パインが攻撃の手を休めず私に言った。

えっ?

「でも、パインが一人に!」
「大丈夫だよ。はぁっ!!」
そう言ってパインはナケワメーケに攻撃を与える。
「ナ~ケワメ~ケ~」
ナケワメーケの攻撃が緩んだ。
「パッション!今のうちに、早く安全な所に連れて行ってあげて。」
「パイン……。」
どうしてそこまで、
もう少しで倒せるかもしれないのに……。
「きっと中の人達すごく怖いと思うから……。」

……そう、そうよね。そんな簡単なことに気が付けないなんて。ぎゅっと拳を握りしめる。
「わかったわ。……終わったらすぐに戻ってくるから!」

ヒュン。




ヒュン。

ヒュン。

ヒュン。

この人達で最後ね。
ヒュン。
「ありがとうがざいます、プリキュア。」
よし、これでパインのところに行けるわ。

「危険ですからここにいて下さい!!」
「離して下さい!娘が――」

なんだか騒がしい
「いったいどうされたんですか?」

「!」
「お願いです!!娘を娘を探してください。娘がどこにもいないんです!!」

「落ち着いてください!お嬢さんの特徴は?」
女の子の特徴を聞くと私はアカルンを使いジェットコースターの上に移動した。
ここなら遊園地全体を見渡せる。私の視力なら見えるはず。
どこ?どこにいるの?
早く探さなくては、これ以上暗くなるとさすがに私の目でも見つけることは難しい。


……いた!

ヒュン

「お嬢ちゃん!」
少女がこちらに気づいた。
少女は私の姿を見ると抱きついてきた。
「あぁ、ぷりきゅあ…うぇ~ん」
「うぇ~ん怖かったよ~」
震えている。あたりまえだ、こんなに小さいのに一人で怖かっただろう…。
「もう大丈夫。」
私は女の子を抱きめる。
「もう怖くないから。」
そう言って優しく背を撫でた。
「ひっく、あの、あのね、きいろいぷりきゅあが怪物につかまっちゃたの。」
「えっ。」
「きいろいぷりきゅあを助けて。」
「……もちろんよ。」
あたりまえだ…でも今先にしなければならないこと、それはパインを信じこの子を安全な場所に送り届けること。
「…入場ゲートへ。」

ヒュン

「あっ、おか~さ~ん。」
女の子は直ぐに母親を見つけ駈け出して行った。
「ありがとうございます!」
「ありがとう、あかいぷりきゅあ!」
よかった…。
私は二人に微笑み返した。




ドォーン

はっとして音のした方を振り返る。
「観覧車が…。」
観覧車の一部が壊れている。

……まさか!

「…パインのところへ!」

ヒュン

「…っパイン!」
私の目に映ったもの。それはパインがナケワメーケに捕まり、締めつけられているところだった。
ぐったりしているところを見ると、観覧車に叩きつけられたのだとわかる。

「わはは、どうだ、その状態では何もできまい。」

ウエスター……
ぐぐっ、私は怒りに震えていた。

「良い眺めだぞプリキュア、はっはっはっ。」

ブチッ

その一言が引き金だった。
私の中で何かが切れた。

「……歌え!幸せのラプソディ!パッションハープ。」
パッションハープを呼び出す。
そして、ナケワメーケに向って攻撃を放つ。
「吹き荒れよ!幸せの嵐!…プリキュア・ハピネス・ハリケーン!!」

「何!」
「ナ~ケワメ~ケ~、シュワシュワ~。」
なんだかいつもよりパワーがあった気がするが、今はそんなことどうだっていい。

「えっ、きゃあ。」

フワリ

カッ。

私はパインを受け止め、地面に着地する。
そして私はこれでもかというくらいウエスターの顔を睨みつけた。

「ウ・エ・ス・タ・ァ・ァ~!!!」
「ひぃっ。イ、イース。」
さらに睨みつける。
「くそ~、覚えてろよイース!」

…イースじゃないって何度言えば…いえ、今はそんなことより
「……大丈夫パイン?」
「う、うん。」
よかった。
「……ふう。」
「パッション?」





「…遅くなってごめんなさい。」
「ううん、気にしないで、ちゃんと来てくれたんだもの。」
「……。」
「パッション?」
「無事で…よかった。」
……本当によかった。

「……ごめんね。」


「どうしてパインが謝るの?」
「ん?ほら、心配かけちゃったから。
 それに、わたしがナケワメーケを食い止められなかったせいで観覧車…壊れちゃったでしょ。
 楽しみにしていたお客さん達も乗れなくなちゃったし。」
「心配するのは当たり前よ。観覧車に関しては……あなただけの所為ではないわ、私も来るのが遅れてしまったから。」
そう、だから
「だから謝る必要なんてないわ。」

「でも……。」
「でも?」
まだ何かあるの?
「……約束。…約束守れなかった。観覧車一緒に乗ろうって約束したのに。」
「……パイン。」

しゅんとしているパインを見る。
……。



……約束…か。
ふう、仕方ない。

「パイン。」
「何?」
「目、閉じて。」
「え、どうして?」
「ど~しても。」

パインが目を閉じたのを確認して私はアカルンを呼び出す。
「…ちょっとしっかり掴まってて。」
「えっ。」

ヒュン

カッ。

私は目的の場所に着地した。
「目、開けても良いわよ。」
そう言ってパインに声をかける。
「わぁ~。」
パインが驚きの声をあげる。
「…ここってもしかして。」
「そ、観覧車。」
といっても外だけど…。
「これで約束を破ったことにはならないわ。…乗るの意味が少し違うけど、そこは目をつぶって。」
「パッション…ありがとう。」
「どういたいまして。」




「…綺麗ね。」
本当に綺麗だ、昼間ジェットコースターから見た景色とはまた違う。

「でしょ、ライトアップされてて綺麗なの…これを一緒に見たかったの。」
パインがなぜ最後にこだわっていたのか分かった。
「なるほど、だから最後に乗ろうって言ってたのね。」
「うん。」

その後しばらく二人とも無言で街並みを眺めていた。

街並みを眺めているとパインが話しかけてきた。
「ねぇパッション。」
「もう大丈夫だから、その、そろそろ下ろしてくれないかな、重いでしょ?」
重い?どこが?軽すぎるくらいだわ。
「……。」
「パッション?」
黙っていた私に、パインが再度声をかけてきた。

ふと私の心にちょっとした悪戯心が芽生える。
「……そうね。」
あえてそう答えた。

「…そこは嘘でも『平気よ』とか『重くない』って言って欲しいな。」
「ふふ。」
わかってるけど、それを言っちゃうとなんだか面白くない。

「も~、下ろしてよ~!」
パインが少し暴れる。一応ここ観覧車の上だから結構危ないんだけど…。
「ふふっ。ダ~メ。」
笑いを含んだ私の声に諦めたのかパインは大人しくなった。


急にパインの腕が私の首にまわされた。
「ねぇ、パッション。」
何かを期待するような声で私を呼ぶ。
「なに?」
わたしはパインを見た。
目が合う。
その目を見れば何を期待しているかなんて分かる。

私はパインに顔を近づけていく。
パインが目を閉じる。
そして私はパインの唇に触れた。

……心が温かくなる。



大好きよ祈里……また一緒に来ましょうね。

【終】せつなside

初デート編 END
最終更新:2010年07月22日 22:42