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自身の肉体が千切れ飛ぶような
本当に、ここではない、どこか違う世界に消し飛ばされるような強烈な感覚
私は現界にその身を留めようと、私の体を食い漁る獣の肢体にしがみつく
そのしなやかな肢体を私のそれに絡みつけ
熱い息を吐きながら、耳元で私の名前を囁き
激しく腰を動かし続ける長い髪の美しき獣
この獣が間断なく与えてくる鋭い快感を
私の体と心が受け止めきれなくなったその瞬間

私は真っ白な世界へと放り出された
遠い、遠い所へ



『その蒼き瞳に』



事後の陶然とした空気のただ中
私は微熱を孕んだその肢体を仰向けに晒している

背中と臀部に汗で湿ったシーツが纏わりつく感触
ひりつくような感覚にその身を震わせる、熱く濡れた私の女の部分
そこから漂ってくる体液の匂いが、鼻腔と心の羞恥の箇所を意地悪く刺激する


視線を、感じる


その視線が発せられる方向に目をやると
先程まで私の肢体を抱き、玩んでいた少女が微笑を浮かべている
澄み渡った青空の奥の奥、或いは深い海の底のような
静かな、しかし強い光を発する蒼い瞳
その優しくて温かく包み込むような光の中に
私は、少女の勝ち誇った貌(かお)を確かに見た

その刹那、私の耳の奥に響き渡る、自分自身の甘く蕩け果てた声
私を犯す少女の、あの獣の名を呼ぶ声
美希・・・美希・・・

かっ、と熱くなる両の頬、その熱に誘われるように
気だるさの中にその身をたゆたわせていた私の肢体が
火のついたように狂ったように騒ぎ立て始める
あの獣にその身を貪られる快感をもう一度
もっと、もっと

美希、もう一度だけでいいの・・・私を、激しく抱いて

リフレインする自分の嬌声、肉体の狂騒の中で私は待ち焦がれる
早く次の夜を、あの獣を今度は私の腕の中で甘く鳴き狂わせる時間を



美希 「ふー、張りきり過ぎちゃった もうクタクタ
    はい、今日はこれでおしまい」
せつな「えっ・・・!?」
最終更新:2009年11月25日 22:01