黒衣に身を包んでしまえば、心まで黒くなれるのだと彼女は思っていた。
無理矢理にでもそう思い込みたかったのかもしれない。
だが、あの娘に出会い、彼女の奥底で眠る光が目覚めてしまう。
光は闇を照らし、隠していた本当の気持ちをあばき出してしまったのだ。
真実の姿までも。
こんなはずじゃなかった・・・こんなはずじゃなかった!
お前といると、私の中の何かがおかしくなってゆく!
お前といると、私が私でなくなってゆく!
初めて会ったあの日、幸せが訪れるなどとデタラメな占いを真に受けては喜び
その後も些細なことで幸せを手に入れたと言っては、はしゃぎ
罠にかけようとしているのに微塵も疑うそぶりを見せず
いつもいつもバカみたいに笑っている
そんなお前が…お前が!
羨ましいと思った!
………羨ましいと…思ったんだ…
イースだった頃……。振り返れば懐かしさえ覚えて。
今から思えば、あの頃からわたし、ラブを愛し始めていたんだわ。
自分を騙して、嘘を重ね続けて、そしてとうとう本当の気持ちに抗えなくなってしまったの。
あの頃のわたしなら、「虫酸が走るわ」と切り捨てていたはずの、「愛」というものに捕らわれてしまった……皮肉なものね。
けれど、わたしは間違っていなかった。
ラビリンスにはない、
クリスマスという素晴らしい祝日をラブ、美希、ブッキーと過ごせることが出来たのは、
イースとして精一杯生きて、そして命尽きたあの日々があったからだもの。
ありがとう、ラブ。美希。ブッキー。
ありがとう、お母さん、お父さん。
そして……町のみんな。
わたし、これからも大切な人たちのため、この町のため、精一杯がんばるわ。
最終更新:2009年12月27日 18:16