「言ったでしょ、そんな格好じゃ風邪引くって。」
「風邪など引いてはいない!それに!」
「それに?」
「…」
「何よ?」
「……」
「黙ってないで…」
「手を……離して…くれないか…」
「ふふ。」
「貴様っ!」
「はいはい。ほら、着いたわよ。」
何回戦ってもいつも、不完全燃焼に終わる。
倒さなければならない存在なのに。
だって、アタシの体に傷を付けるのだから。
彼女の名はイース。
アタシもまた、彼女を傷付けている。
コイツは一体何を考えているのか…。
私は貴様にとって敵であろう。
なのに。
戦士として、あまりにも最後の一手に欠けている。
が、手加減しているようにも思えない。
それは、この受けた傷が物語っている。
「答えろ。」
「何?」
「何故、顔を攻撃しない。」
「決まってるでしょ、そんなもの。」
「何だ?」
「イースの顔がカワイイからよ。」
(!!!???)
この私、イースをおちょくっているかのように平然と言ってくれる。
落ち着かない感情は一体………何なんだと言うのか…。
キュアベリー。
蒼乃美希。
どこか、不思議なオーラを醸し出す女性。
私と同年代のはず…なのに。
まさか敵を自分の部屋へ誘うなんてね。
魔が差したのかしら。
「座っててよ。今あったかい飲み物持ってくるから。」
「毒でも入れるつもりか?」
アタシはクスっと笑って。
「じゃ一緒に飲む?それなら信用してくれるでしょ。」
「早く……来てくれ。一人では…」
自分が情けない。こうも敵に…、プリキュアにペースを握られて。
私は何をやっているんだ。
歯がゆい。特にこの、何と言うか…。
胸の奥がもやもやする………。
部屋の中は嗅いだ事のない匂いで満ち溢れていた。
ふと目を瞑る。
落ち着く。
心地よい。
気持ちいい。
ラビリンスには無い世界だ。どうすればこの世界を作れるのだろう。
癒しの空間とでも言うべきか。
私は少しずつ、少しずつ…
「お待たせ~。ホントに一緒に…ってアレ?」
せっかく作ってきたのに、あろうことか寝てるよこのコ…。
アタシは起こさないよう、そっと毛布をかけ隣に寄り添う。
作ってきたママ直伝のゆずハチミツをゆっくり、啜りながら。
(惚れちゃった?アタシ…)
(……美希……)
~END~
最終更新:2009年12月11日 02:40