8-210

「うーん…」

自分が思った通りに体が反応してくれない。
特に体の調子が悪い訳でもなく。
スランプと言う程、大げさな訳でもない。



それはラブが――――キュアピーチが抱える悩みにまで発展していった。



「はぁーあ…」
「どうしたのラブちゃん。」
「うん…。」
「ん?」


悩んだ時はいつも祈里に相談。
隣にはドーナツと祈里。
最後は祈里と爆睡。


この三つがあれば、普段だと翌朝絶好調の自分に会える。
今回もその予定――――のはずだった。


「ねぇ、ブッキー」
「なーに?」

「重いんだ…」
「何が?」




「ここ」
ラブが指差した所。それは…

「おっぱい?」
「………」
黙って小さく頷く彼女に、祈里は言葉を続ける。

「ラブちゃん成長期に入ったんじゃない?」

「そ…、そうなの…かな?」
「きっとそうだよ!〝大人〟に一歩、前進したんだよ!」
そう言って祈里はラブの両手を、力強く握り締める。

「で、でもさ…」
「ん?」

「邪魔…だよね」
ラブはずっと俯いたまま。余程、打ち明ける事が恥ずかしかったのだろう。
ほっぺたはピンク色に染まってる。


「わたしも最初は、ラブちゃんと同じ気持ちだったかな。」

「…ブッキーも?」
「うん。」
祈里は穏やかな表情でラブを包み込む。
自分が経験した事をゆっくり説明しながら。





「本当にそんなんで楽になるのかなぁ?」
「大事な事だよ。自分の体の事なんだし。」
「でも初めてだなぁ。自分で買うのって。」
「えぇー!?じゃあ今までどうしてたの?」


「…お母さんに買ってきてもらってた。」


確かに。
祈里はふと、過去の出来事を思い出す。


ラブの体を包んでいた下着。


全て―――――白だった


それも、小学生が標準で付けてるような物だったのを…。



「じゃあ今度の日曜日、一緒に買いに行こうよ。」
「ほんと!?」
「うん。ラブちゃんらしい、可愛いの見つけよっ!」

「ありがと、ブッキー。」


これで体は言う事聞いてくれるのかな?って思う。
下着一つ、ブラジャーぐらいで変わるのかなって。

あたしはむしろ、ブッキーに恥ずかしかったけど全部話せた事や、
同じ経験をしたと聞けたのが、楽になれた理由なのかな?と思って。



「ところでラブちゃん。」
「なーに?」

「今度プリキュアに変身したら、触ってもいい?おっぱい。」


あたしは全身から火が出たんじゃないか!?って思うぐらい恥ずかしかった。
プリキュアのコスチュームはそれこそ、肌にぴったりフィットしている訳だし…。
ただでさえおっぱいが大きくなったのを実感してるのに、尚更触るだなんて。


「…どうしても?」
「ダメ?」


「…………いいよ。」



ブッキーになら触らせてもイイのかなって。
どこか〝ほんわか〟しちゃう。



恋してるんだろうなー、あたし。




「それはそうとさー、ブッキー。」
「なになに?」

「テーブルの上におっぱい置くのやめようよー。」
「………ごめんなさーい。」


まだまだ二人は、発展途上な成長期。


~END~
最終更新:2009年12月16日 23:21