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避-214

「せつなは一人じゃない、一人にはならない」


なんて言っちゃったからって訳でもないけど、アタシはせつなをなるべく一人にしたくないっ
て思ってる。
せつなって一人の時はなんとなく、寂しそうな顔をしてることが多いから。


前に、聞いたことがある。
「普段どんなお店に行くの?」って。


――――そしたらね。


「ラブが行くお店よ」って答えてた。
その時はね、熱々で良いわね、みたいに思ってた。




でもね、違ったんだ。
せつなはね、まだ自分で幸せを見つけられずにいるんだって……。




ラブが友達に誘われて。
ブッキーは家のお仕事が忙しくて。
そんなある日、アタシはせつなをデートに誘ってみた。


「もちろん行くわ。私、映画なんてはじめてよ。」
二つ返事でOKしてくれた。アタシも楽しみ。





アタシはいつも以上に張り切って、おもいっきりお洒落してみた。
それはもう今すぐ撮影でもするの?ってくらい。



せつなは約束の三十分も前に来てくれた。
なんで分かるのかって?
それは――――アタシがもっと早くに来たからよ……。


楽しみだったんだからしょうがないじゃない!


せつなはいつもの服。でも、違うところがあった。
アロマの瓶を首にかけてくれている。もちろん、アタシがプレゼントしたものだ。


ラブとブッキーはいつも身に着けてくれている。それもずっとね。
けれど……。せつなはすぐに着けなくなった。


少し寂しかったかな。不満ってほどじゃないけれど。


でも後でラブから聞いたんだ。
せつなは机に大事にしまっていて、時々眺めてるんだって。


以前、大事なペンダントを砕いちゃったから。
もう二度と失いたくないから。


それは――――――特別な物だからって。





映画は話題のアクション映画! FBIの捜査官が、高名な私立探偵と組んで悪の組織を蹴散ら
すの!


これが…失敗だった。
本当は恋愛映画にしようと思ったのよ?アタシもそっちが見たかったし。


でも……せつなに恋愛物はなんか見せたくなかったんだ……。



映画が始まった。
悪の組織が市民を襲い、混乱に陥れる。そして泣き叫び逃げ惑う人々。


せつな――そこ泣くとこじゃないから。
そんな人居ないでしょ……。



(あっ!もしかして……思い出しちゃったのかしら…。ゴメン…)





「ごめんなさい、せつな…。アタシちょっと……無神経だった。」

「あやまる事ないわ。楽しかった。ほら、バイクで窓ガラス突き破るシーンなんてカッコよか
ったし。それに!観に来てるお客さんたち、みんな楽しそうだったわ!」


何でみんなを気にしてるのよ、もう……。



(ありがとう、せつな)



「お詫びに遊園地に遊びにいかない?、アタシおごっちゃうから」

悪いわよ、と遠慮するせつなを強引に説得した。
前に三人で(六人だったっけ、忘れたわ)行ったときは、せつな居なかったものね。



最初はジェットコースター。アタシは思いっきり叫んじゃった。
せつなは平気よって、すました顔してる。目をつぶってたクセに。


色んな乗り物に乗った。
意外なことに、せつなは観覧車とかティーカップとか大人しいのを選ぶことが多かった。
そんな時、せつなは穏やかな目で他のお客さん、家族や恋人達を眺めてた。


何を見てるの?って聞いてみたわ。
そしたら「幸せよ」って答えが返ってきた。
今は街の幸せを見るのがとても楽しいって。
以前は―――――つらかったから。
そう思えるのは……今が幸せだから、と。




その後、前に行ったお店で衣装を借りて記念撮影をしたの。
今度はアタシが王子様の服を着た。
身長差があるししょうがないわよね?カップルで決めたかったし。


当然、男装もバッチリ似合ってる。アタシ完璧!!
せつなはお姫様。これでもかってくらいフリフリのを着せちゃった。本当に楽しそうだった。




夕食は夜景の見える高級レストランでディナー。けど門限あるから、時間は少し早め。
本当はアタシたちの年齢で入れるお店じゃないけど、ママの知り合いのお店なので無理に頼ん
じゃった。


せつなのテーブルマナーは中々様になったものだった。
アタシのを真似てるみたいだけど、よくすぐに対応できるわね……。


でも、ウエイターのお辞儀にいちいちお辞儀して返すのはやめてね……。そうでなくても目立
つのよ、アタシたち。



食事が終わる頃、やっと夜景らしき景色になった。街の灯かりがとてもきれいだって言ってく
れた。
この灯かりの一つ一つが幸せなんだって、それがわかるから綺麗なんだって言ってた。



―――――守りたい。
もう何も失わないようにって。



アタシも同じ気持ちよ、せつな。
でも、自分の幸せも見つけて欲しいの。


せつなの夢。せつなの将来。せつなの希望を。



あなたが自分を省みないなら、アタシはあなたを見つめよう。

そして――――守るの。

だから……。




一緒に幸せになろうね――――――せつな。
最終更新:2010年04月04日 20:49