競-26

「着ぐるみの下には何も着けてきちゃ駄目だよ?」

 そう言ったのは確かに私。
 だけど、まさか本当にそんな戯言を真に受けるだなんて。



 ラブちゃん家での楽しいX'masパーティーが終わり、私たちは帰る時間になった。美希ちゃんはトナカイ、私はサンタクロースの格好で。

「だけどさー、その格好で来てその格好で帰るなんて、美希たんもなかなかやるじゃん!」

「見直したわ、美希」

 ラブちゃんとせつなちゃんに言われて、美希ちゃんは苦笑いを浮かべている。
 本当は恥ずかしくてたまらないくせに…。まったく素直じゃないんだから。

「今夜は楽しかったわ。じゃあまたね」

「うん、おやすみなさい。ふたりとも気をつけてね」

「やーね、せつなったら。アタシたち、仮にもプリキュアよ。襲い掛かるお馬鹿さんがいたら、ふたりがかりでシュワシュワにしてやるんだから」

「たはー。その格好で言っても説得力ゼロだよ」

「それもそうね」

「失礼ね!皆を盛り上げようとがんばったアタシたちの気持ち、無下にするつもり?」

「まあまあ美希ちゃん…遅くなるからもう帰ろ?」

「そうね。じゃあ帰るわね」

「美希たんってブッキーには素直だよね」

「うるさい!じゃあおやすみー」

 私たちは扉を閉める。 名残惜しいような気もするが、一刻も早くふたりっきりになりたがっているのは向こうも同じだろう。
 だって今夜は特別な夜なのだから。


 ラブちゃんの家を出てから数分歩いて、美希ちゃんの家が見えてきた。
 両親には、今夜は美希ちゃん家に泊まると告げてある。レミさんも彼氏とお泊り。
 美希ちゃんが鍵を開けてくれた。

 帰り道、会話に乗ってこなかった私に、美希ちゃんは不服だったのだろう。部屋に入ってすぐに、少し拗ねたような表情の美希ちゃんが問いかける。

 「祈里?今夜はあまり話さないのね」

「そんなことないよ」

「そうかしら」

「もしそうなら、それは…美希ちゃんがそうさせてるんじゃないかな」

 私の言葉で、美希ちゃんは憤慨したようだ。

「アタシ?ひどい。祈里が『絶対に似合うからお願い』って言うから、恥ずかしいのを我慢してこんなトナカイの着ぐるみだって着たのに…」

「違うわ。そういう意味じゃないの」

「じゃあ、どういう意味よ」

「美希ちゃんが気になって、ずっとドキドキしてて…本当に何も着けてこないで来るとは思わなかったの」

「なっなんで!?見えるはずないのに、なんでわかったの?」
 慌ててる美希ちゃん、すごく可愛い。

「そこ。尻尾の付け根…破れてる」

 トナカイさんの尻尾の縫い目がほつれて、隙間から美希ちゃんの白くて可愛いお尻が、ほんの少しだけ顔を覗かせていた。

「いやっ!!」

 美希ちゃんは羞恥に歪めた端正な顔を、両手で隠す。

 そんな美希ちゃんに近づいて、背中からそっと抱きしめた。

「大丈夫、ラブちゃんもせつなちゃんも全然気づいてなかったよ。それに…私、すっごく嬉しかった。お願い聞いてくれて、ありがと」

「祈里…」

「コレ…脱がせてもいい?」

 美希ちゃんの返事を聞くよりも前に、私の指はファスナーを下げはじめていた。


 冷たくなった指を背中から差し込み、美希ちゃんの胸元に這わせると、彼女の喉から悲鳴に近い音がした。
 だが、先っぽをくりくりと摘んでいるうちに、それはすぐに嬌声へと変わる。

「あっという間に硬くなってくね…」

 返事はない。恥ずかしくてたまらないのだろう。片手は美希ちゃんの突起を弄びながら、もう片方の手を別の場所へと侵入させる。

「すっごいよ…」

 予想通り、そこはすでに潤沢な蜜が溢れ出していた。

「こんなに濡らしちゃって…いやらしいトナカイさんね」

「だって…だって…」

「もしかして、パーティーの時からもう?駄目じゃない。ミユキさんに借りた着ぐるみなんでしょ?早く脱がなきゃ。私が脱がしてあげる…」

 途中で止めるのはちょっと可哀相だけど、すぐにまた触ってあげるからね。
 立ったまま、気持ちよさそうに震えていて動けない美希ちゃんを、素早く裸にしてベッドに横たえる。

「祈里…早く…」

 美希ちゃんの瞳は濡れたようにトロンとしていて、私の愛撫を待っている。
 半開きになった美希ちゃんに口づける。舌を絡めながら茂みに手を触れると、喉の奥からくぐもった声が漏れる。
 美希ちゃんは細かく動いて快感を味わっていることを示す。

「い…のりっ…アタシ…もう…」

「もう?ペース速いよ。まだそんなに触ってないのに」

 そう言いながらも、彼女の反応の良さに気を良くした私は、一回目の頂点へと美希ちゃんを導いた。

「はあっ…あん!あん!イくぅ…アアアアア!」

 ぐったりとした美希ちゃんに寄り添うように抱きついて、頬にそっと口づける。

 果てたばかりで、息も絶え絶えなのに、美希ちゃんは言う。

「はあ…はあ…、あい…してる…祈里…」

「知ってるよ、私のトナカイさん」

 腰まで届く豊かに艶めく彼女の髪を、指でなめらかに梳きながら、彼女の息が整うのを待つのが私は好きだった。
 次はどうしようか。考えながら髪を梳き続ける。今夜は彼女を寝かさないだろう。私の中の欲望は、まだ燃えはじめたばかり。

 突然、部屋の中が深紅の光に包まれる。

「美希、ラブからのプレゼント忘れてたわよ……ああっ!?わたしったら、ごめんなさい!!」

 すっかり慌てふためいたせつなちゃんは、折角持って来た忘れ物を持ったまま、アカルンで帰って行った。

「いやああああ!!」

 美希ちゃんの悲鳴が部屋中にこだました。

FIN
最終更新:2009年12月24日 01:32