避-504

 今日は一月一日。新しい年の始まりだ。

「美希たん、ブッキー、せつな、はやくはやく~」

 初詣を済ませてラブの家に集まった。晴れの日の晴れ着姿、天気も快晴よ。

 みんなの振袖姿があまりに綺麗なので、せっかくだから記念写真撮りましょうってことになったの。

「みんなステキよ。こんな時は娘ばかりでよかったって思うわ、だってこんなに華やかなんですもの」 
「いやあ、はははっ、困ったなあ」

 おとうさんもおかあさんも嬉しそう。でもおとうさんは何を困ってるのかしら?
 ラブはおかあさん。私はおとうさんの腕を取ってにっこりポーズ。


 ラブは桃色の濃淡を基調とした着物にグリーン系の帯。小物は赤。
 私は蘇芳色に黒をポイントにした着物。帯はゴールド系。小物は白地に金の箔押し。
 美希は藍色から浅葱色のグラデーションに金のポイントが入った着物。帯は黒系。小物は朱。
 ブッキーは山吹色にピンクの模様の着物。帯は色を押さえた海老茶系。小物はグリーン。


「せっちゃんのはね、私が若い頃お父さんに頼んで作ってもらったものなの。
 ラブに着せたかったけど、大人っぽ過ぎてあんまり似合わなかったから。
 とてもお気に入りだったのよ、お蔵入りせずに済んで嬉しいわ」

 おかあさんが着ていたもの。今は私が受け継いだ。嬉しくて心が弾む。
 私もおかあさんのような素敵な女性になれるかしら。


 ラブは迷わずピンクの着物を選んでた。
 お母さんやお店の人と相談して小物選び。

「どう?せつな、見て見て~~、似合う?」

 似合うに決まってるじゃない。ラブはいつだって可愛いわ。
 そうね、小物は赤い色がいいと思うわ。ピンクの隣は赤が一番、当然ね。


 美希のはママと選んだ現代作家のちょっとモダンな色柄で、着る人を選ぶ個性的な物ですって。

「どお?せつな。アタシ完璧!」

 うん、似合ってるわ。でも感想聞く前に自分で言っちゃうのはどうなのかしら。
 それと美希には赤い色も似合うと思うの。今度一緒に選んであげるわね。
 あれ、どうして蒼い顔してるの美希?


「えへへ、わたしはどうかしら」

 ブッキーのは典型的な可愛らしい古典柄で、祖父母が奮発して仕立てくれた名匠の作品らしいわ。
 普段の可愛らしさはそのままに、高貴で優美で見とれちゃうわね。
 ちょっと着物に着られてるところがまた可愛い、なんて全然思ってないわよ。


 四人でたくさん写真撮って、桃園家は写真館で記念撮影。
 もちろん美希やブッキーとも一緒に撮ってもらったわ。

 あんまりいい写りだから、写真屋さんのウインドウに見本で飾らせて欲しいんですって。

『はい!よろしくお願いします』

 ちょっと恥ずかしいけど、忘れられない思い出になったわ。

 おとうさん、おかあさん、ラブ、美希、ブッキー、今年もよろしくね。
最終更新:2010年01月04日 16:39