避-567

猛烈な風に、
流されている。

左手1本で残っている。

掴んでいるのは、
青い髪の、少女。

ついさっきまで、
闘っていた。

その少女が、
僕の手を掴んでいる。




意味がわからなかった。

なぜ、闘っていた相手を
助ける?

命を奪おうとしていた、
この僕を。

目の前の、
少女の瞳。

強い、希望の光。
あきらめない、光。

みなぎる強さを、
感じる。




倒しても、倒しても、
立ち上がってきた。

彼女だけじゃない。

プリキュアは、みんな
そうだった。

あの世界の人間は、
みんなそうだった。

どれだけFUKOを浴びせても、
立ち直り、笑顔が戻る。



今頃になって、
わかった。

みんなで、笑い合う。

それは、みんなで
乗り越えるということ。

ほんとうの強さは、
笑顔の後ろにある。


そして、

ラビリンスの人間も
それが出来る。


彼女たちなら、ラビリンスを
変えられるのかも知れない。


僕は、ちょっと遅かったようだ。

でも、

気づけて、よかった。



渾身の一撃を、放つ。

彼女が、吹っ飛ぶ。

はずみで、手が離れる。

彼女が飛んだ先には、
キュアパッション。

そして、出口。


支えが、なくなった。

出口と反対側に、
引き込まれる。

僕を呼ぶ声が、かすかに
聞こえた気がした。



これでいい。

仲間を、しっかり
受け止めろよ。

イース。
最終更新:2010年01月09日 01:12