大人しい、慎ましい、控えめ、わたしはいつもそんな風に形容されてきた。
欲もあるよ。嫌なものは嫌。特に優しいわけじゃないの。
自分を抑えていれば周りが庇ってくれる。
優しくしてくれる。
誉めてくれる。
だからそれが正しいんだって思い込んできた。
そんな時、美希ちゃんに教えられるの。
わたしと正反対で、何でも思ったことをすぐ伝えようとする子。
まわりとぶつかりに行ってでも、自分の信念を貫こうとする子。
人の意見に惑わされない子。
わたしは思ったの。
ああ、この子は自分を信じているんだなって。
それがとても羨ましかった。
わたしは人と争うのが苦手。傷付け合うのが怖い。
だからいつのまにか消極的になっていく。
人から少し距離を置こうとしてしまう。
そんな時、ラブちゃんに教えられるの。
自分の気持ちに正直で、何でも思ったことをすぐ行動に移す子。
周りとぶつかりに行ってでも、相手の気持ちを確かめに行く子。
人の気持ちに真っ直ぐな子。
わたしは思ったの。
ああ、この子は人を信じているんだなって。
それがとても眩しかった。
わたしが動物を好きだと思ったのはいつからだったろう。
生まれた時から囲まれて育ってきたから、初めからなのかも。
捨てられた子犬を拾ったことがあるの。
雨に打たれて震えて動けなくなっていて。
わたしに何かを伝えようとしていたのに、何もわかってあげられなかった。
近くにその子の兄弟が居たことも。わたしは何も救ってあげられなかった。
意志を伝えられない生き物。
それがなんだか自分のことにも思えてきて悲しかった。
そう、わたしは動物が好き。
人と交流を結び、共に暮らしている動物たちはもっと好き。
ペット・サーカス・動物園。ゆがんでいると思うよ。
人間の身勝手だと思う。
それでも人は動物に合わせては生きられない。
動物に人に合わせてもらうしかないの。
自由を奪っている。犠牲を強いている。
でもそんな中でも、確かな愛情が、友情が結ばれることも知っている。
だからわたしは獣医になりたいと思ったの。
人を愛してくれる動物達が、少しでも快適に、幸せに生きていく手助けがしたいから。
だから二人みたいに強くなりたいって思ったの。そんな子たちを守ってあげられるくらいに。
美希ちゃん。ラブちゃん。これからもわたしに力を貸してね。
みんなが一緒に居てくれたら、きっとわたしも変わっていけるって信じてる。
最終更新:2010年01月11日 11:52