あたしを愛してくれる人。
あたしが愛している人たち。
胸いっぱいに染み渡る温かい気持ち。
瞳で、笑顔で、仕草で、言葉で、
あたしを幸せにしてくれる。
せつなには、そんな人が今、側に居るのかな?
「ねえ、せつな。せつなの幸せは何?」
せつなが居なくなって、もう一ヶ月がたつ。
せつなを想う気持ち。
今日あった出来事。
毎晩、せつなの部屋に来て、語りかけるのが習慣になっていた。
「私の幸せは、みんなを笑顔と幸せでいっぱいにすることよ。」
せつなの声が聞こえたような気がした。
見上げた星空の光が、せつなの涙みたいに見えた。
「じゃあ、せつなの笑顔と幸せはどうなっちゃうの?」
それが、せつなの幸せならそれでもいい。だけど思うんだ。
メビウスのために命を捨てようとした。
あたしたちのために、一人で占い館に行った。
そして、ラビリンスの人たちのために、自分の気持ちをこの部屋に置き去りにして、
一人でラビリンスに行ったんじゃないかって。
あたし、言ったよね。
自分の幸せも、みんなの幸せも、どちらも大切だって。
せつなは、みんなの幸せのためにラビリンスに行ったんじゃないの?
少なくとも、お別れの時のせつなの笑顔は寂しそうだった。
初めて会った頃のような、我慢してるような笑顔だったよ。
何も持って無い少女が、命を失ってまでして、ようやく手に入れた小さな幸せ。
それすらも投げ打って、人のために尽くそうとしてる。
そんな気がして悲しくなる。
あの時は言えなかった。
確かにラビリンスの人たちには、せつなが必要だった。
だけど。
――――せつなは、幸せになっていいんだよ。
――――自分の幸せを見つけていいんだよ。
おやすみなさい、せつな。
必ず幸せ、ゲットしようね。
最終更新:2010年04月09日 20:05