「見せ付けてくれるわね~」
「こっちが恥ずかしくなっちゃう」
せつなが再び、この四ツ葉町―――クローバータウンに残ると決まってから数日。
今までと変わらぬ生活がとても心地よく進む―――はずだったんだケド。
「ダメだったら、こんな所で」
「いいからいいから!もっと引っ付こうよぉ」
やれやれ。
アタシはちょっとしたリアクションを取りつつ、隣の〝彼女〟に視線を向ける。
祈里の微笑ましい姿。手のひらで顔を覆い隠す。
でも…
ラブとせつながいちゃつく姿を、恥ずかしいと言いながらもしっかり見詰めていて。
彼女にはあの光景がどう映っているのだろう。
振り返ってみると、幼馴染みであった三人が伝説の戦士となり。
時が経つにつれ、成長し、仲間―――親友も増えた。
ラブとせつな。
アタシと祈里。
自然の流れで、お互いが育んで来た恋仲。
せつながラビリンスへ戻ると言った時、正直…、ラブも後を追ってしまうのでは?と思って。
いつもアタシの傍にはラブがいて。隣には祈里がいて。最近はせつながアタシの前にいたりして…。
「くすっ」
「ん?美希ちゃん?」
「あっ」
やっぱりアタシには、この三人がいつも頭の中にいるんだなって。
そう思うと何だかおかしくなっちゃってね。
「ごめーん美希たんブッキー!」
「ちょっとラブっ!あ、また今度ね」
強引に引っ張られていく姿は少々困惑気味ではあるものの、どこか幸せそうで。
「あーあ、行っちゃった…」
「相変わらずよね、ラブったら」
遠くなっていく二人を見詰めながらアタシは思う。
時には強引なのも―――アリかなって
恋愛には色々な形がある。
恋愛には様々な背景もある。
恋愛は決して簡単な物じゃない。
だけど―――楽しい
「ねぇ祈里。」
「なぁに?」
「今晩何か用ある?」
「ないけど…」
「―――しよっか?」
「何を?」
まだまだ超えなきゃ行けない〝壁〟はここにもあって。
ピュアな彼女を見てると自然でいられる反面、あの二人を見てたら焦る気持ちも出てきちゃう。
「デートよ、で・ぇ・と・。」
「―――いいよ、わたしは…」
ほんの数秒訪れた間に、アタシはちょっぴりドキっとして。
結局、その時は横にいた彼女の顔は見れなかったけれど.....
「負けたくないね、ラブちゃんとせつなちゃんには。」
「うふふ。はなっから負ける気なんかしてないケド?」
「そうだねっ。美希ちゃんとならわたし、信じて…」
いつもの言葉。何回聞いても飽きないけれど。
チョットい・じ・わ・る。
「やだ.....」
「イヤだったの祈里?」
「うぅん…」
これが〝大人のKISS〟よ。
まだあの二人には出来ない必殺技―――だったりしてネ
もうすぐ春。今はまだまだ寒いけど。
アタシたちは365日、ずっとぽかぽかしてるんだから。
お互い、幸せになろうね
~END~
最終更新:2010年02月20日 22:59