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10-22

「ほらよっ、イース。焼き立てだ、美味いぞ」
「また四ツ葉町に行ってたのね。あの街はそっとしておいてと言ったはずよ!」

「遊びに行くくらいはいいだろう。おまえこそ会いに行かなくていいのか」
「ダメ……よ。私はもう十分過ぎるものをもらってきたわ。今、自分を甘やかすのは
誰のためにもならないと思う」

「……実はな、口止めされていたんだが。ラブって子な、大きな事故に遭ったんだ」
「なんですって!」

「かなりの重症らしい。心配かけるからお前には言わないでと頼まれた」
「……嘘……嘘よっ! くっ」

ホホエミーナ! 我に仕えよっ! 

待っていて、ラブ。すぐに行くから!


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ラブっ、ラブっ、どこなの? 家に行けば手がかりくらいはあるはず。

――バンッ

「おかあさん、おとうさん、誰かっ、誰か、ラブのところに連れて行って!」

「その声っ! せつな? せつななのっ?」

「え、ラブ? どうして、重体じゃないの? 大きな事故にあったって……」

「あたしは事故になんてあってないよ。それよりも……おかえり、せつな。夢じゃ……ないよね?」

「苦しいわ、ラブ、本当に無事なのね……良かった」

――パタパタパタ、ドタドタドタ

「せっちゃん? 本当にせっちゃんなのね」
「せっちゃんが帰ってきたって本当か!」

「おとうさん、おかあさんーーーーただいま」


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「そうだったの。きっとその隼人って方は、せっちゃんを家に帰してあげたかったのね」

「はい、多分そうだと思う。でも……あんな悪質な嘘をつくなんて」

「あのね、せつな。今日は四月一日、エイプリルフールって言ってね、嘘をついてもいい日なんだよ。
隼人さんは多分、そのことを知ってたんじゃないかな」

「そんな日があったなんて……でも……」

「ね、せつな。あたしも今から嘘をつくね」


せつなが居なくなって、毎日寂しいの。
ご飯が美味しくなくて、学校やダンスもつまらなく感じて。

楽しみで仕方なかった明日の訪れが、全然わくわくしなくなっちゃったの。
せつなが居ないだけで、こんなに世界から輝きが失われるなんて思わなかった。

こんな気持ちになるのならーーーー引き止めればよかった。
行かせるんじゃ……無かった。


「なんてね、嘘だよ。全然そんなこと思ってないから心配しなくていいよ。
あたしは平気だよ。もうすっかり慣れちゃったし、だから忘れてくれてもいいんだから……」


「ごめんなさい……ラブ。寂しいのは私だけだと思ってた。だから私が我慢すればいいんだって、そう思ってた。
これからはーーーーなるべく会いにくるようにするわ」


「ほんとっ? それは本当なの? せつなっ」

「なんてね、どうかしら。自分で考えなさい」

「ちょっと、それひどいよ、せつなぁ」

「ふふ、エイプリルフールって素敵な日ね、ラブ」

「そうだね、せつな。あたしも今年から好きになれそうだよ」
最終更新:2010年03月07日 01:10