「ほらよっ、イース。焼き立てだ、美味いぞ」
「また四ツ葉町に行ってたのね。あの街はそっとしておいてと言ったはずよ!」
「遊びに行くくらいはいいだろう。おまえこそ会いに行かなくていいのか」
「ダメ……よ。私はもう十分過ぎるものをもらってきたわ。今、自分を甘やかすのは
誰のためにもならないと思う」
「……実はな、口止めされていたんだが。ラブって子な、大きな事故に遭ったんだ」
「なんですって!」
「かなりの重症らしい。心配かけるからお前には言わないでと頼まれた」
「……嘘……嘘よっ! くっ」
ホホエミーナ! 我に仕えよっ!
待っていて、ラブ。すぐに行くから!
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ラブっ、ラブっ、どこなの? 家に行けば手がかりくらいはあるはず。
――バンッ
「おかあさん、おとうさん、誰かっ、誰か、ラブのところに連れて行って!」
「その声っ! せつな? せつななのっ?」
「え、ラブ? どうして、重体じゃないの? 大きな事故にあったって……」
「あたしは事故になんてあってないよ。それよりも……おかえり、せつな。夢じゃ……ないよね?」
「苦しいわ、ラブ、本当に無事なのね……良かった」
――パタパタパタ、ドタドタドタ
「せっちゃん? 本当にせっちゃんなのね」
「せっちゃんが帰ってきたって本当か!」
「おとうさん、おかあさんーーーーただいま」
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「そうだったの。きっとその隼人って方は、せっちゃんを家に帰してあげたかったのね」
「はい、多分そうだと思う。でも……あんな悪質な嘘をつくなんて」
「あのね、せつな。今日は四月一日、エイプリルフールって言ってね、嘘をついてもいい日なんだよ。
隼人さんは多分、そのことを知ってたんじゃないかな」
「そんな日があったなんて……でも……」
「ね、せつな。あたしも今から嘘をつくね」
せつなが居なくなって、毎日寂しいの。
ご飯が美味しくなくて、学校やダンスもつまらなく感じて。
楽しみで仕方なかった明日の訪れが、全然わくわくしなくなっちゃったの。
せつなが居ないだけで、こんなに世界から輝きが失われるなんて思わなかった。
こんな気持ちになるのならーーーー引き止めればよかった。
行かせるんじゃ……無かった。
「なんてね、嘘だよ。全然そんなこと思ってないから心配しなくていいよ。
あたしは平気だよ。もうすっかり慣れちゃったし、だから忘れてくれてもいいんだから……」
「ごめんなさい……ラブ。寂しいのは私だけだと思ってた。だから私が我慢すればいいんだって、そう思ってた。
これからはーーーーなるべく会いにくるようにするわ」
「ほんとっ? それは本当なの? せつなっ」
「なんてね、どうかしら。自分で考えなさい」
「ちょっと、それひどいよ、せつなぁ」
「ふふ、エイプリルフールって素敵な日ね、ラブ」
「そうだね、せつな。あたしも今年から好きになれそうだよ」
最終更新:2010年03月07日 01:10