み-3

(もう散ってしまったのね…。)

四月。
全てが新しいスタートとして生まれ変わる季節。



楽しみにしていた。

あなたと見れる事を。
色鮮やかなあなた色の花びらを。



私なりに精一杯、頑張った。


でも。

何かが足りなかった。
私にはまだ、力不足だったのかもしれない。



弱音?


違うわ。


本音。



小高い丘に寝そべって、空を見上げた。

青い空。
あの時と変わらない空。

吹き抜ける風。
話に聞いていた四月とは少し、違う気がする。

(肌寒いかしら…)



雲が流れてる。
小さな雲も、大きな雲も。

みんな同じ方向へ。




大き目の麦わら帽子。

私は顔に被せて、意地悪に暗闇を作ってみる。



(やっぱりね…)



脳裏に描かれた世界は、幸せに満ち溢れた世界。

隣にはしっかり、あなたがいて。
もちろん、ぎゅっと手を握ったまま。




暗闇なんて嘘。

麦わら帽子からは光が差している。




導かれるように、気がつけば私はここへやって来ていた。

遅くなってしまったけど。



あなたは私を迎えてくれるかしら?




「ただいま…」






~END~
最終更新:2010年04月17日 22:49