み-25

アタシはお休みがキライ。

平日は学校、放課後はダンスレッスンやシェイプアップに余念が無くて。
朝はロードワークを欠かしたことが無い。
ママのために朝食も作って。

忙しいながらも、これがアタシのライフスタイル。



思えば、ついこの間までここに〝プリキュア〟が入ってたのよね。



フェイスマッサージをしながら、アタシは鏡に映った自分を見つめていた。

―――余裕ありすぎじゃない?

鏡に映った蒼乃美希が語りかける。

恋―――してるの?今



表情が固まる。
もう一人のアタシ。
心の声は.....



キュアベリーとして輝いていたあの頃。
倒れるまで熱中していたダンス。
四六時中、忙しさに追われていたかもしれなくて。

スケジュール表には白い部分が目立つようになった。


イコール。

あなたにも会えない事を意味していた。



「まだ…こんな時間か…」
タメ息交じりの言葉に、ちょっぴりセンチメンタル。

ベッドに横になるとアタシはリンクルンを手にした。


「どうしてるの、今頃」
平和が訪れてから、四人は会う事が急激に少なくなった。
あんなに毎日会っていたのに…ね。


時の流れを感じる年頃じゃないけど。

お休みの日は―――キライ

忙しいぐらいがちょうど良かったのよ。



目を瞑ると思い出すのは、仕切りなしに鳴っていたリンクルンの事。
あなたの声が当たり前のように毎日聞けたから。

アタシの声は.....どう聞こえてた?




「メールよりも電話がイイわ。」
アタシのワガママに応えてくれたのが嬉しくて。
みんなに内緒で、あなたの名前の後ろには大きな………




(寂しいのかな)

アタシは手に取ったリンクルンを開く事無く、そっと枕元に置いた。



鳴る事を―――願いながら




~END~
最終更新:2010年04月25日 22:59