アタシはお休みがキライ。
平日は学校、放課後はダンスレッスンやシェイプアップに余念が無くて。
朝はロードワークを欠かしたことが無い。
ママのために朝食も作って。
忙しいながらも、これがアタシのライフスタイル。
思えば、ついこの間までここに〝プリキュア〟が入ってたのよね。
フェイスマッサージをしながら、アタシは鏡に映った自分を見つめていた。
―――余裕ありすぎじゃない?
鏡に映った蒼乃美希が語りかける。
恋―――してるの?今
表情が固まる。
もう一人のアタシ。
心の声は.....
キュアベリーとして輝いていたあの頃。
倒れるまで熱中していたダンス。
四六時中、忙しさに追われていたかもしれなくて。
スケジュール表には白い部分が目立つようになった。
イコール。
あなたにも会えない事を意味していた。
「まだ…こんな時間か…」
タメ息交じりの言葉に、ちょっぴりセンチメンタル。
ベッドに横になるとアタシはリンクルンを手にした。
「どうしてるの、今頃」
平和が訪れてから、四人は会う事が急激に少なくなった。
あんなに毎日会っていたのに…ね。
時の流れを感じる年頃じゃないけど。
お休みの日は―――キライ
忙しいぐらいがちょうど良かったのよ。
目を瞑ると思い出すのは、仕切りなしに鳴っていたリンクルンの事。
あなたの声が当たり前のように毎日聞けたから。
アタシの声は.....どう聞こえてた?
「メールよりも電話がイイわ。」
アタシのワガママに応えてくれたのが嬉しくて。
みんなに内緒で、あなたの名前の後ろには大きな………
(寂しいのかな)
アタシは手に取ったリンクルンを開く事無く、そっと枕元に置いた。
鳴る事を―――願いながら
~END~
最終更新:2010年04月25日 22:59