み-56

いっつもアタシに甘えてばかりで。
どっちが親なのかって感じ。

急にお店閉めたと思ったら。
明日から海外旅行行くとか訳わかんないし。

和希が体調良くなった途端に妙にハリキっちゃって。
お化粧バッチリ、オシャレしまくりで買い物行ったり。

あ、そうそう。ママったら元タレントなのよ~とか言って、
待ち行く人に愛想振りまくっちゃった日もあったっけ。
もう恥ずかしくて顔から火が出るかと思ったし.....



はぁ…。
ホント自由な人。

アタシも和希も似なくて良かった。
つくづくそう思う。





なんてね。

(風邪、引いちゃうよ)
今日もたくさんのお客さん相手に一生懸命働いてたママ。
アタシが学校やモデルに集中してる間も、ずっと頑張ってるんだよね。

疲れて眠っちゃったママに、そっと毛布をかけてあげる。
本当はもっと傍にいてあげたいけれど。



アタシ…知ってるよ。

ママが寂しくて泣いちゃう日がある事を。



―――ゴメンね




時々、アタシはあの日の事を思い出す。

行かないで―――と引き止めてくれた時の事を。

嬉しかった。
でも、悲しくもあった。
アタシは親不幸なのかなって。





「……美希」








もうすぐ和希がやってくる。
久しぶりに三人で夕食。

だって、今日は特別な日だから。
普段にも増して、ママがアタシたちに甘える日。

さてと、頑張りますか!





ママ。
いつもありがとう。

大好きよ。








~END~
最終更新:2010年05月10日 22:53