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避2-172

“おはよう”

一日の始まり。
心に浮かべた笑顔の少女に囁く。
今日も精一杯がんばろう。その誓いの言葉。

まるで太陽から生まれたような明るい子。
全身で受け止めても、溢れ出す程の無限の愛情。
遠く離れた私を励まし、支えてくれる素敵な思い出。

一人の部屋。一人で取る朝食。
寂しくは無い。心にはいつもあなたがいるから。
いつも私を想ってくれている。それが信じられるから。

「おはよう」「おはようございます」
すっかりこちらの世界でも馴染んだ挨拶。
こぼれる笑顔。繋がる絆。広がっていく連帯感。
心を込めて、私も口にしよう。「みんな、おはよう」って。





“おはよう”

晴れの日も雨の日も。ちょっと気分が塞いだ日も。
一人になった静かな部屋でも、元気な声でそう口にするの。
一日を素敵な日にするためのおまじない。おじいちゃんの教え。

机の写真に語りかける。今日も一日頑張ろうねって。
あたしたちはいつでも一緒だよって。

おはよう。美希たん、ブッキー。おとうさん、おかあさん。
ミユキさん、カオルちゃん。クラスや商店街のみんな。出会った全ての人に。

おはよう。今日もみんなで、幸せゲットだよ。





“おはよう”

十分な睡眠。爽やかな目覚め。そして始まる一日。
アタシは完璧でありたい。毎日が希望に満ちたものであってほしい。
だから、ランニング。朝ご飯。肌と髪の手入れ。全てに妥協を許さない。

そんな生き方に迷いも後悔も無い。でも、時々ちょっと心がささくれ立つ。
甘えたくなったり、辛くなったりすることだってある。

だけど平気。あの子の笑顔を見たら綺麗に心が晴れ渡るから。
だから平気。あの子とお喋りするだけで、素直に心が安らぐから。
だから今朝も同じコースでランニング。あの子の待つ公園を目指して。





“おはよう”

柔らかな朝日。心地よい風。窓辺から聞こえる小鳥の鳴き声。
わたしを包んでくれる全ての命。感謝の気持ちを込めて挨拶するの。

着替えて簡単に身支度したら犬舎に向かうの。
ワンワンワン。これもおはようなのかな。退屈そうな子を選んで連れ出す。

毎朝の日課。犬のお散歩。辛くないかって? 凄く楽しいよ。
紐から伝わってくるワンちゃんの喜び。わたしの心も弾むの。

嘘。本当はわたしのほうが弾んでる。澄ました顔がときどき崩れてにやけちゃう。
お決まりのコース。もうじきやってくる――――大好きな人。
翼が生えたみたいに軽やかに、長く美しい髪をたなびかせて。

とびっきりの笑顔で迎えるの。そして「おは(ワンワンワン)……」
もうっ! 邪魔しちゃダメ。

おはよう、美希ちゃん。
最終更新:2010年06月26日 21:44