み-161

初々しかったあの頃。
出会ってからたった数ヶ月で深まった仲。
惹かれあう何か。



観覧車。
少女たちの思い出の場所。

否。
プリキュアとして守り抜いた場所。

―――Our sacred ground―――



今も変わらず、ゆっくり。ゆっくりと観覧車は時を刻んでる。
恋人たちの夢を乗せて。



「わぁ!白詰草がいっぱいだよっ!」
「ほんと。綺麗ね。」

窓から見る景色は、二人を幸せにいざなう。

同じ時を。
同じ空気を。

寄り添えば感じる、貴方の温もり。
寄り添えば伝わる、貴方の愛情。

「ゆっくり降りて行く所が私は好き。」
「え?」



せつなは思う。
祈里といる時間は常にゆっくりなのだと。

それはとても心地よく、優しい時間なのだと。


自分には何が出来るのか。
自分には何を伝えられるのか。



「守るわ。」
「ふぇ?」


柔らかい感触。
それは、せつなの決意の表れ。今はそれしかないと思ったから。




祈里は想う。
せつなといる時間は新鮮で刺激的だと。

少女から乙女へと変わる瞬間。それを味わえるのが何より堪らなく。

頬を染めながらもじもじしてみる。
次は手作りのお弁当を渡そう。その次はソフトクリームを二人で食べて。



「せつなちゃん」
「何?」


お返し。
目を閉じてたからおでこに触れてしまったけれど。これが、これこそが山吹祈里。





何度も何度も、二人は約束を交わした。
お陰で観覧車に四回も乗ってしまったけれど。

今の二人は幸せに満ち溢れ、そんな事は関係ないのかもしれない。




観覧車を降りた時、二人に始まる新たな約束の道。

―――Eternal feast―――

きっとそこには、幸せが待っているのだから。



~END~
最終更新:2010年07月12日 22:44