み-225

この子がこんなに、元気な姿でこの日を迎えられるなんて。
あの時の出会いはきっと、神様が千香にくれたプレゼントだったの。


ううん、違う。
プリキュアのお姉さんたちからのプレゼント。
大切な物を千香はもらったのよね。


ねぇ千香。
今年はね、ママすっごく頑張ったのよ?
退院してからもちゃんと病院通ってくれたから、凄くお利口さんだったもんね。
そのご褒美と…



「千香は大きくなったら何になりたいの?」
「プリキュア!!!」
「えっ?」
「キュアパッション!!!」

目を輝かせながら答える我が娘に、私は嬉しくなって。
でも、プリキュアのお姉さんたちはピーチさんとベリーさんとパインさんだったはず…。

「キュアパッション…さん?」
「ママ知らないの?ほらぁ」
そう言って差し出す千香特製のファイルには新しいページが増えていて。

〝まっかなハートはしあわせのかたち!うれたてフレッシュ!キュアパッション!〟

「よにんめのプリキュアなんだよ!おねえちゃんたちおともだちふえたの!」
「そう、みんな仲良しなのね。千香もこれからどんどん大きくなって、お姉さんたちみたいに強くならないとね。」
「うん!ちかがんばるね!」

強い娘に育って欲しい。
そして、幸せになって欲しい。
素敵な出会いと沢山の笑顔をいっぱい振りまいて。




千香から教えてもらったパッションさんの事をメモに書き写し、私は街中を駆け巡った。
CDショップ、本屋さん、お洋服屋さん、スーパーや駄菓子屋さんにも行って。
ちょっと奮発しすぎちゃったかもね。パパに怒られちゃうかしら?

でもね、千香の事大好きだから。
ママはこれからもずっと一緒。約束。

千香。
お誕生日おめでとう。
今日は沢山ご馳走作るからね。



袋いっぱいの娘への誕生日プレゼント。
愛する我が娘へ。母からの愛情を込めて―――


~END~
最終更新:2010年08月14日 00:47