避2-365

「あ~ん、もうどれにしようか迷っちゃうよ!」
「ちょい落ち着きなよ由美」
「別に洋服は逃げないでしょ?」
「アタシも蒼乃さんみたいになりたいのーーーーー!!!」

とあるブティックでのひとコマ。
ファッション誌片手に乗り込むと行き込んだ由美。何故に興奮しているのか?
それはある日の公園での出来事。。。

「キレイ…」
「アタシ今日も完璧!」

「美希…ちゃん」
「ン?」
美希に体を預ける少女。大きなリボンがチャームポイントのあの子です。
「わたし…ずっとそばにいたい…」
「アタシにお似合いじゃなきゃダメよ?」
「そんな…」

「くすっ」
「?美希ちゃん」
「ブッキーしかいないでしょ」

(昼間っから何してるのこの人たち・・・・・・・・・・・)
由美は食べかけたドーナツが口からポロポロこぼれてるのもお構いなしに、二人に見とれていた。

(やっぱ容姿なのかな?)
考えてみれば制服と体操服しかアタシイメージないよ。あ、何言ってんの一人で。
違う違う、そうじゃなくて。
ラブみたいに無邪気でカワイイのもアリ。
東さんみたいに清楚って言うのもアリ。

だーけーど。
やっぱり年上の女性チックにね。おーとーなー!

確信した。由美は完全にスイッチオーバー。
もとい…
スイッチオン。
女性は皆、綺麗になりたいのだ。年頃ならなお更。14歳って青春じゃない。冒険でしょ、やっぱ。

「由美さぁー」
「話かけないでっ」
「あ、あのね、由美ちゃん」
「東さんもしっ!」

目には炎。綺麗になる綺麗になる綺麗になる。。。。。
呪文のように繰り返される言葉に周囲の客もザワザワし始める。

「あ、あのお客様?」
「なんですっ?」
「ご予算はどのくらいで…」





夕方。
いやぁ、静かね。
ドーナツショップでは5人の少女がキャッキャキャッキャと騒いでる。
やれあたしの洋服は若いだの、やれこのメーカーはアタシしか知らないだの。
洋服よりもリボンが一番だって信じてる子もいれば、赤以外は認めないって強情な子もいたりして。
真ん中でのほほんとしてる由美が誰より冷静だったりして。

「やっぱりドーナツだよね」

お次の計画はなんでしょね。
いつだって彼女の心はマックスハート。
火がついたら止まらないんだからっ
最終更新:2010年10月22日 00:16